2011年12月17日

「麻雀放浪記」

麻雀放浪記 [DVD] / 真田広之, 大竹しのぶ, 鹿賀丈史, 高品格 (出演); 阿佐田哲也 (原著); 和田誠 (監督)
1984年の作品。
育った大学の周りには場代が1時間100円、いや90円という雀荘がたくさんあって、面子が足りなくなるとおばちゃんが加わってくれるような世界だった。
可愛いもんだが、阿佐田哲也の麻雀放浪記といか、尾崎士郎の人生劇場の世界がまだのこっていた。

何しろ頭は明晰なのだけど、麻雀にふけるあまり、除籍になった友人も数名。いずれもいい人であり、信ずるに余りある人物なのだが。

そんな思いではさておき、この画面をみると、同い年の真田広之が実に若い。そして鹿賀丈史、高品格、加藤健一、名古屋章、加賀まりこ、大竹しのぶ。登場人物はこれに尽きるのだけど、実に味わい深いし、あの怪しげな戦後の雰囲気を描いて余すところがない。

白黒の画面が効果的で、超大作でも歴史に残る名画でもないけど、心に残る一作です。

年末年始には実にオススメ。登場人物が一人として文科省推薦たり得ることはない名画です。
posted by 曲月斎 at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月29日

「十三人の刺客」#2

つづき、である。

007.jpg

約50年の時を経て、映画も「型」「仁(にん)」で見せる訳にはいかなくなった。
その象徴的な場面が序盤にある。

新篇では、両手両足を切られた百姓一揆の首謀者の娘、というのが登場する。
老中への上申をした江戸家老の一族を殿様が弓で射殺すという場面がある。
旧篇では殿様が斬り殺すという場面はあるのだが。

暴虐残忍な殿様、という人物像を観客に納得させるのには、視覚的にこうするしかないからだ。

実際の処遇として、こういう暴君が出現してしまった場合には「押し込め」「蟄居」という手段がある。薬殺して、幕府には「病死」と届け出る手段もあったろう。
でも、それができない、ということを観客に得心させるには、こういう場面がどうしても必要になる。

両手両足のない少女、というR指定の基となるようなものを出しても。
本当のこの映画の基調低音はこの不虞の姿にある。

006.jpg

次にリーダー像。
役所はすべてに第一線に飛び出していく。しかし、片岡はあくまでも腹の太さ、懐の深さを見せる藝。最終決着の中山道落合宿でも悠長に指揮を執るのが先だ。
「社長シリーズ」の森繁久弥も片岡と同様、しないことが藝なのである。

009.jpg

新篇でもう一つ。秀逸なのが岸部一徳。
千両箱にころび、伊勢谷に犯され。実に剽げた、でも実在感のある役者ぶりだ。
あと、伊勢谷。こんな達者な役者とは知らなかった。どちらかというと白塗りのイメージが強かったのだが、十分砥の粉もできる。藝の幅を広げて欲しいものだ。




posted by 曲月斎 at 03:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月24日

「十三人の刺客」#1

近所のDVD屋に行くと、新作コーナーに「十三人の刺客」が登場していた。

十三人の刺客 通常版 [DVD] / 役所広司, 山田孝之, 伊勢谷友介, 伊原剛志, 松方弘樹 (出演); 三池崇史 (監督)

それだけなら、別に驚くには当たらないのだけど、実はこの映画は旧作のリメークであることを知った。十三人の刺客 [DVD] / 片岡千恵蔵, 里見浩太朗, 嵐寛寿郎, 丹波哲郎, 西村晃 (出演); 工藤栄一 (監督)


まず配役の比較から。
左が新版、右がオリジナル。

【刺客】
島田新左衛門(御目付750石):役所広司→(直参旗本):片岡千恵蔵
島田新六郎(新左衛門の甥):山田孝之→:里見浩太朗
倉永左平太(御徒目付組頭):松方弘樹→(与力):嵐寛寿郎
三橋軍次郎(御小人目付組頭):沢村一樹→三橋軍太夫(倉永配下):阿部九州男
樋口源内(御小人目付):石垣佑磨→(三橋配下):加賀邦男
堀井弥八(御小人目付):近藤公園→(三橋配下):汐路章
日置八十吉(御徒目付):高岡蒼甫→(倉永配下):春日俊二
大竹茂助(御徒目付):六角精児→(倉永配下):片岡栄二郎
石塚利平(足軽):波岡一喜→(倉永配下):和崎俊哉
平山九十郎(浪人・剣豪):伊原剛志→(島田家食客):西村晃
佐原平蔵(浪人・槍の名手):古田新太→(浪人):水島道太郎
小倉庄次郎(平山九十郎門弟):窪田正孝→(九十郎の弟子):沢村精四郎
木賀小弥太(山の民):伊勢谷友介→(木曽落合宿郷士):山城新伍

【明石藩】
松平左兵衛督斉韶:稲垣吾郎→菅貫太郎
鬼頭半兵衛(御用人千石):市村正親→内田良平
間宮図書(江戸家老):内野聖陽→(江戸家老):高松錦之助
浅川十太夫(近習頭):光石研→:原田甲子郎
出口源四郎(近習):阿部進之介→:有川正治
×→ 丹羽隼人:北龍二
×→小泉頼母:明石潮
×→仙田角馬:小田部通麿
×→間宮織部:神木真寿雄
×→間宮小浪:高橋漣
×→大野多仲:堀正夫


【幕府】
土井大炊頭利位(老中):平幹二朗→(筆頭老中):丹波哲郎
×→老中:香川良介


【尾張藩】
牧野靭負(木曽上松陣屋詰):松本幸四郎→:月形龍之介
牧野妥女(靭負の息子):斎藤工→:河原崎長一郎
牧野千世(妥女の嫁):谷村美月→:三島ゆり子

【その他】
芸妓お艶・山の女ウパシ(2役):吹石一恵→芸者おえん:丘さとみ
三州屋徳兵衛(落合宿庄屋):岸部一徳→三州屋徳兵衛(木曽落合宿総代):水野浩
両腕両足の無い女:茂手木桜子→×
×→加代:藤純子(富司純子)

時代の変化を感じますなあ。
と、同時に何を見せたいか、という変化を感じる。

この旧作は1963年封切。
日本映画の金字塔「七人の侍」が公開されたのが、1954年。
この間に何があったか。吉田茂→鳩山一郎→石橋湛山→岸信介→池田勇人。
日本は戦後の混乱から脱却し、日米安保改定の熱狂を超え、高度成長期へと突入する。
映画からテレビへ、農村から都会への人口の流動。

七人の侍で黒沢が見せた集団劇による格闘シーン。この本編はこの集団格闘劇を目指したのはいうまでもない。村が宿場町に変わっただけにて、東宝にできた新志向の時代劇を東映も制作して、起死回生の一作としたかったのではないか。あるいは、戦前からの時代劇スターの集団葬送劇とも見ることができる。片岡知恵蔵は主演最後の映画。嵐寛寿郎、月形龍之介・・・。

もうこれらのスターを主役として見る、所作を違和感なく受け入れられる世代がぎりぎりになっていたのではないか。東映はこの作品以降、一気に任侠映画の路線に舵を切っていく。型を見せて満足させる芝居から、情・理の通った劇へ。旧作はその転換点、最後の光芒だったのだ。
posted by 曲月斎 at 17:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月01日

3月に見たDVD

3月の鑑賞メーター
観たビデオの数:1本
観た鑑賞時間:128分

オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
この映画の脚本の素晴らしさ、手際の良さは原作を読み直してみるとよく分かる。人物造形、話の運び方。実に原作を上回る出来というのがよく分かる。そしてこの舞台となった車両には1等寝台と2等寝台が半々にあることも分かった。そう、だからケチな主人も召使を寝台車を利用させるのである。本を読み、映画を見直し、また本を読む楽しい企てである。
鑑賞日:03月17日 監督:シドニー・ルメット

鑑賞メーター
追記
posted by 曲月斎 at 01:05| Comment(1) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月01日

2011年2月に観たDVD。

2月の鑑賞メーター
観たビデオの数:31本
観た鑑賞時間:3186分

椿三十郎<普及版> [DVD]椿三十郎<普及版> [DVD]
羅生門〜七人の侍〜蜘蛛巣城〜隠し砦の三悪人〜用心棒と続く黒沢映画の一つの系譜の集大成と言っていい。今の日本の映画にはこれらの埃っぽさと野太さが出せないのかも知れない。娯楽映画の極北にある1本だと思う。
鑑賞日:02月28日 監督:黒澤明
椿三十郎 通常盤 [DVD]椿三十郎 通常盤 [DVD]
オリジナル版のあるつらさ。イヤでも本編と見比べてしまう。主人公の厚みの差よりも、脇を固める人々、つまり本編でいう入江たか子とか伊藤雄之助とか、藤原釜足とか。そういう俳優陣の厚みの差の方がずっと気になった。ご覧になったら即、ビデオ屋に行ってオリジナル版をご覧になるのをお勧めする。
鑑賞日:02月28日 監督:
洲崎パラダイス 赤信号 [DVD]洲崎パラダイス 赤信号 [DVD]
新珠三千代、三橋達也の組み合わせで見せる東京版「夫婦善哉」かなぁ。今の洲崎(東陽町)の景色との変貌に驚くばかりだけど
鑑賞日:02月28日 監督:川島雄三
彼岸花 [DVD]彼岸花 [DVD]
まず女優が美しい。有馬稲子、山本富士子、久我美子、田中絹代。プラスアルファの浪花千栄子。第2:「桜井決別」をテーマに、戦争を挟んでどうにもならない時の流れを見せた最後に後味の良さ。滋味豊かな1本である。
鑑賞日:02月28日 監督:小津安二郎
墨東綺譚 [DVD]墨東綺譚 [DVD]
津川雅彦がいい。永井荷風という高等遊民の姿勢をうまく見せている。それとこの1作だけで消えたようなお雪役の隅田ユキの美しさはこの1本に記されただけでも値打ちがある。
鑑賞日:02月28日 監督:新藤兼人
お早よう [DVD]お早よう [DVD]
小津の映画では秀逸。日本の家屋は寒かった。隣近所と鼻をつき合わせる暮らしだった。それがイヤとなったら、今は「無縁社会」「孤族」という。なかなかに人間は扱いづらい生き物であり、中庸は難しい。
鑑賞日:02月28日 監督:小津安二郎
日本海大海戦 [DVD]日本海大海戦 [DVD]
こういう戦争物の映画が毎年夏に公開されていました。かつては。その映画を享受していた世代が消えるとともに、そういう映画は姿を消しました。ある意味において、その戦後の日本の戦争映画の山脈の最高峰にある1本といってもいいのかもしれません。
鑑賞日:02月28日 監督:丸山誠治
日本のいちばん長い日 [DVD]日本のいちばん長い日 [DVD]
出てくる女優は新珠美千代ただ1人。ともかく暑苦しい映画です。でも一夜明けた後の日本の開き直りぶりはご存じの通り。何でこんな手間をという問いに「これは大日本帝国のお葬式なんだから」と答える東郷茂徳の言葉がすべてでしょう。官僚機構という絶大な組織を停めるためにも手続きが必要だったのであります。
鑑賞日:02月28日 監督:岡本喜八
体育館ベイビー [DVD]体育館ベイビー [DVD]
これもまた、BL探求のために観た1本。でも焙じ茶の冷めたのを白湯で割ったみたいな、なんとも後味も残らないような1本。何で受けるのかがわからん。山なし、オチなし、意味なし、の意味は分かった気がする。
鑑賞日:02月28日 監督:
眼下の敵 [DVD]眼下の敵 [DVD]
ロバート・ミッチャムとクルト・ユーゲンスの魅力なのかなあ。Uボートと駆逐艦の戦いは実に知的でなおかつ正々堂々たるもの。戦争映画であることを忘れさせてくれるような内容です。何度観ても飽きない。この作が公開されて数年後。今度は「史上最大の作戦」が封切られるのですが、この時のキャストが結構出ている。それを見比べても面白い。ま、でもこれは南大西洋だから映画になったので、これが南太平洋だったら、こういう作品は成立しないんでしょうな。ハリウッドでは。
鑑賞日:02月28日 監督:
BOYS LOVEBOYS LOVE
どんな分野の作品が並んでいるのか、数本続けてみたけど、何に対して関心を持つ人間がこの映画を鑑賞するのか、いま一つ理解ができなかった。
鑑賞日:02月28日 監督:
彼女が水着にきがえたら彼女が水着にきがえたら
評価はどうあれ、1980年代末。世間がバブルと呼ばれた時代の佳き思い出であります。オフィスの机の上には灰皿こそあれ、パソコンは1台もなし。携帯もなし。人と人が話をきちんとしなければいけなかった時代を懐かしく思うのはなぜだろう?
鑑賞日:02月28日 監督:馬場康夫
スキトモスキトモ
なんじゃ、こりゃ。毒にも薬にもならない。蒸留水の水割り。
鑑賞日:02月28日 監督:三原光尋
点と線 [DVD]点と線 [DVD]
この映画の主人公はほかでもなく、山形勲と高峰美枝子である。悪役のアクがきついからこそ、多くの登場人物が出てきても、話がぶれない。もはや、時代考証が必要なような映画になっているのだが。例えば「安田寓」なんて表札。今時ないよね。
鑑賞日:02月28日 監督:小林恒夫
ゼロの焦点 [DVD]ゼロの焦点 [DVD]
この映画を横浜のジャック&ベティで観たとき、何て有馬稲子が美しいのだろうと思った。そしてDVDで見直すと、改めて有馬稲子、久我美子が美しい。今の女優さんにはない美しさが、この映画の魅力である。
鑑賞日:02月28日 監督:
天国と地獄 [DVD]天国と地獄 [DVD]
日本映画で1本、といえばこの映画かもしれない。物語の結末の半生加減を差し引いても、それ以外の展開が緻密。何度見返しても飽きることがない。それと子供のころの横浜の街が画像に覗く。郷愁もない交ぜに。
鑑賞日:02月27日 監督:黒澤明
七人の侍 [DVD]七人の侍 [DVD]
スクリーンで見たのが1991年。20年ぶりに観る。本当に「神は細部に宿る」という言葉の通りの1作。間然とする映像がどこにもない。やはり名作としかいいようがない。
鑑賞日:02月27日 監督:黒澤明
霜花店(サンファジョム) 運命、その愛 [DVD]霜花店(サンファジョム) 運命、その愛 [DVD]
男がゲイで、女性を抱けない。 「犬神家の一族」の陰のプロットですわな。犬神の場合には抱かせた男が穏健だったから話が次に進んだのですが、 この物語の場合には、抱かせておいて、後で嫉妬するのだからタチが悪い。虐殺のシーンが多く、血しぶきが飛ぶので本当にスプラッター。高麗風の直源氏物語の若紫ではないけど、ゲイの君主が好みの「小姓」を育て、世継問題の圧力が高まると王が小姓頭に妃である女性と交わることを命じる。2人がうまくいくと今度は嫉妬し、いとも簡単宮刑を命ずる。日本は去勢の技術なく宦官も宮刑もなかったのに安堵
鑑賞日:02月23日 監督:ユ・ハ
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
やはり名作。昨今のCG作品にはない序盤の喧噪、よく見るとイスタンブール駅頭で襦袢のような着物を着て、髷を結った日本女性風の姿があったり、アフリカの王侯のような隊列があったり。本当に楽しい。一転、寝台車の中に舞台が移ると、緻密な構成。推理小説の王道を画像化すると、こういうことになるのだろう。配役も豪華。オールスターキャストである。どうでもいいことなのだけど、最後の雪の壁の中を列車が走り過ぎていくシーンはふと市川コンの横溝シリーズのラストを連想させる。市川の作にはこの作品の換骨奪胎が見えるのも面白い。
鑑賞日:02月14日 監督:シドニー・ルメット
ブエノスアイレス [DVD]ブエノスアイレス [DVD]
何かよく分からん。どうもテンポが合わない。
鑑賞日:02月11日 監督:ウォン・カーウァイ
陸軍中野学校 開戦前夜 [DVD]陸軍中野学校 開戦前夜 [DVD]
若い日の細川俊之、そして女間諜の小山明子。いいなぁ、若いって。筋ですか?みれば分かります。開戦前夜に東京を舞台に間諜合戦があったということです。
鑑賞日:02月09日 監督:井上昭
陸軍中野学校 密命 [DVD]陸軍中野学校 密命 [DVD]
東京を舞台に英国の間諜との闘争を描くのが本編。山形勲、内田朝雄、久米明と悪役を老獪な役をやらせたら、ピカ1揃いなのだけど。どうも高田美和の芝居が浮いてしまうんだな。野際陽子と一緒で、とてもきれいではあるのだけど。
鑑賞日:02月09日 監督:井上昭
陸軍中野学校 竜三号指令 [DVD]陸軍中野学校 竜三号指令 [DVD]
いよいよ冗漫。でもこういう怪しげな役の松村達雄、大楠(安田)道代、松尾嘉代となぜか、妙な存在感があるのだな。舞台は上海、重慶政府との和平交渉をするというのが話の筋。それが漏洩するのを防ごうというのが話のあらすじです。
鑑賞日:02月09日 監督:田中徳三
陸軍中野学校 雲一号指令 [DVD]陸軍中野学校 雲一号指令 [DVD]
何か、みるみるうちに、陳腐になっていくのが分かるような作品。神戸を舞台に大陸側からの女間諜と、主人公らが対決するという設定ですが。余計なことだけど、こういう憲兵隊員の造形とか、佐藤慶は上手かったなあ。
鑑賞日:02月09日 監督:森一生
陸軍中野学校 [DVD]陸軍中野学校 [DVD]
全部で5作あるこのシリーズ。やはり一番デキがいいのはこの第1作だろう。やはり市川雷蔵がいい男である。旧陸軍の間諜になった男が、家を許嫁を、次々と捨てて、一人前の間諜になっていく、という話。少し陰影のある男を演じさせたら、いい俳優ですな。雷蔵は。
鑑賞日:02月09日 監督:増村保造
おくりびと [DVD]おくりびと [DVD]
やはり、山崎努の藝が光る。僻目の眇目、なのだけど。現代版の「お葬式」(伊丹十三監督)であり、地方にも都市化、核家族化が及んでいるのを思う。
鑑賞日:02月07日 監督:滝田洋二郎
金環蝕金環蝕
全体として筋立てが陳腐。ダム建設に絡む政治資金捻出工作が話の根幹だが、どうも豪華な配役陣の演技の方が上で、切迫感が見えてこない気がする。宇野重吉、三國連太郎、西村晃……。日本の誇る怪優が素晴らしい。途中に出てくる赤坂界隈の家並みがなぜか懐かしく見える。
鑑賞日:02月05日 監督:山本薩夫
総長賭博総長賭博
あかん。高倉健主演の「博打打ち 総長賭博」と間違えた。どうも様子が違うとは思ったのだが。
鑑賞日:02月05日 監督:
八甲田山 特別愛蔵版 [DVD]八甲田山 特別愛蔵版 [DVD]
やっぱり面白い。軍という機構の中で、どう個が考えを示していくべきなのか。改めて考えてしまう。
鑑賞日:02月05日 監督:森谷司郎
霧の火-樺太・真岡郵便局に散った9人の乙女たち- [DVD]霧の火-樺太・真岡郵便局に散った9人の乙女たち- [DVD]
何とかこの話のテーマを今風にしたかった竹山洋なのだろうが、ちょっと仕掛けに無理がある気がする。テーマが散漫になってしまった。同工異曲の「氷雪の門」の方がまだすっきりとしている。
鑑賞日:02月05日 監督:
裏窓 [DVD]裏窓 [DVD]
何度観ても面白い。仕掛けがあちこちに伏せてあって、後の場面につながっていく、それを発見する楽しさ。やはり名画だ。
鑑賞日:02月05日 監督:アルフレッド・ヒッチコック

鑑賞メーター


【注】以上、何も今月に全部観たわけではないので念のため。そこまでヒマではないもので。matome_gimage_76936_1.jpg
posted by 曲月斎 at 02:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

「オリエント急行殺人事件」

1974年制作。

オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] / アルバート・フィニー, ローレン・バコール, イングリッド・バーグマン, ジャクリーン・ビセット, ショーン・コネリー (出演); シドニー・ルメット (監督)
この映画を見ていて、「ノックスの十戒」というのを思い出した。正統な推理小説が成立するための構成要件のようなものだ。曰く。

1.犯人は物語の当初に登場していなければならない
2.探偵方法に超自然能力を用いてはならない
3.犯行現場に秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない
4.未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない
5.中国人(超常現象を駆使する人物)を登場させてはならない
6.探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
7.変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない
8.探偵は読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
9.“ワトスン役”は自分の判断を全て読者に知らせねばならない
10.双子・一人二役は予め読者に知らされなければならない


もう一つ。ヴァン・ダインの二十則というのもある。
1.事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない。
2.作中の人物が仕掛けるトリック以外に作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない。
3.不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題はあくまで犯人を正義の庭に引き出す事であり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。
4.探偵自身あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。これは恥知らずのペテンである。
5.論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない。
6.探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。
7.長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。
8.占いとか心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。
9.探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである。
10.犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。
11.端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。
12.いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい。
13.冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである。
14.殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。
15.事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。
16.よけいな情景描写や、わき道にそれた文学的な饒舌は省くべきである。
17.プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる。
18.事件の結末を事故死とか自殺で片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ。
19.犯罪の動機は個人的なものがよい。国際的な陰謀とか政治的な動機はスパイ小説に属する。
20.自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである。
犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法
インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる
指紋の偽造トリック
替え玉によるアリバイ工作
番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる
双子の替え玉トリック
皮下注射や即死する毒薬の使用
警官が踏み込んだ後での密室殺人
言葉の連想テストで犯人を指摘すること
土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法


これらの規則に照らし合わせても、実によくできた映画であり、見直してみる価値はあった。

昨今のCG作品にはない序盤のイスタンブールの喧噪。アジア地区から欧州地区へ渡る連絡船乗り場からそれは始まる。駅頭に於いてもまたしかり。よく見るとで襦袢のような着物を着て、髷を結った日本女性風の姿があったり、アフリカの王侯のような隊列があったり。本当に楽しい。

一転、寝台車の中に舞台が移ると、緻密な構成だ。
上記の推理小説の王道を画像化すると、こういうことになるのだろう。
配役も豪華。オールスターキャストである。

ポワロ役が喧しいのはさておき、実によく作り込んであると思う。手札がどこかで示されているのだから。

そしてどうでもいいことなのだけど、最後の雪の壁の中を列車が走り過ぎていくシーンはふと市川崑
の横溝シリーズのラストを連想させる。
いってみれば、市川崑の作にはこの作品の換骨奪胎が見えるのも面白い。いわば本歌取りのような。それだけ、この映画が「古今集」たる所以なのだろう。
posted by 曲月斎 at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月09日

「八甲田山」承前

八甲田山死の彷徨 (新潮文庫) [文庫] / 新田 次郎 (著); 新潮社 (刊)以前に書いた「八甲田山」の話の続きである。

1)女優がきれいだ。
中でも白眉は秋吉久美子だろう。31連隊の宇樽部からの案内人役で出てくるのだが、実に雪の妖精のような姿である。今日の日本の女優にはない透明感がある。

2)地図、地図というけれど
この映画の中で「地図」という言葉が何度も出てくるのだが、旧陸地測量部発行の5万分の1地図「八甲田山」「十和田湖」「三本木(現図幅名十和田)」などの図歴を振り返ると、大正3年の測図とある。つまり地図のなかったエリアを平板測量して地図化したのは大正3年、発行されたのは同4年ということになる。
映画の中では墨版の地図が何度か出てくるのだけど、ではこの地図はどこが測量し発行したものだったのだろう。青森東部、青森西部でも測図は大正元年。利用した可能性があるのは伊能図などを元にした20万分の1輯成図だが、この縮尺で細かい地形を論じるのはほとんど無理がある。さて、どんな地図をつかっていたのだろう?

ということで、この映画に嵌った方のファンサイトもあるようだ。ま、いろいろなことを考えさせてくれる映画である。
posted by 曲月斎 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月07日

「八甲田山」

八甲田山 特別愛蔵版 [DVD] / 高倉健, 北大路欣也, 丹波哲郎, 三國連太郎, 加山雄三 (出演); 新田次郎 (原著); 橋本忍 (脚本); 森谷司郎 (監督)ということで、レンタル店で見付けたので、見てしまった。これを初めて、というかこの前見たのは、今はなき馬車道の横浜東宝会館。1977年の真夏だった記憶がある。

見た当時の印象を言ってしまえば、善玉の高倉健と北大路欣也に、悪玉の三国連太郎、という印象だったのだけど、この歳になって見直すと、全然違う印象になりますな。

組織論として、北大路欣也の演ずる役が如何に優柔不断であるか、あるいは、軍隊とは上下関係に於いて意見具申を許さぬ組織体であるか、ということをよく教えてくれる感じになります。上に「サラリーマン社会」云々の解説がありますが、それは言わずもがなのことでしょう。

昨今、NHKの情報宣伝よろしきを得て、「坂の上の雲」風というか、明治の軍隊は健全だったみたいな風潮もありますが、決してそんなことはないわけで、一色に染まってしまう風潮にはいい警鐘かもしれません。

映画自体のデキとすれば、当時はすごいと思ったけど、饒舌に過ぎるところがあったり、同じ雪の中のシーンで場面が5連隊と31連隊の両方を行き来するので、非常に分かりにくいところもあったり。名編だった印象が強かっただけに、ちょっと意外でしたな。回想シーンの入れ方なんかは「砂の器」の手法をまねていて、創意に欠けると思うし。

ま、とあれ、この事実は映画の舞台となった2年後、黒溝台の会戦で生き残った方々も全員戦死したそうですから、何ともいいようがありません。その事実を八甲田山を背景にした字幕で見せるという手法も正直のところ、いいとは思いません。

おお、書き忘れていました。芥川也寸志の映画音楽はそれはそれはいいものです。荘重で軽妙で。この世代の黛敏郎もそうですけど、映画音楽は若い才能が実験する場でもあったことを改めて教えてくれます。
posted by 曲月斎 at 03:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月22日

「闇を横切れ」

闇を横切れ [DVD] / 川口浩, 山村聰, 叶順子, 滝沢修, 高松英郎 (出演); 増村保造 (監督)新聞記者が格好良かった時代の活劇ものです。

ただの活劇になっていないのがこの1編の妙味というべきか。増村保造という監督の趣味なのか、どうもブルーフィルムの匂いがします。

あらすじとしては九州の田舎町(イメージとして今は北九州市になっている八幡か、戸畑、若松って感じかなぁ)の市長選からみの話が縦糸。保守系の現職市長は街の顔役と表裏一体、自治組織はもちろん、警察までもが顔役の影響下にある現状。今回の市長選では革新派が立候補するが、その候補がラブホテルでストリッパーと情死騒ぎを起こすことから話が始まる。情死はありえない状況、事件に絡んだ目撃者や証言者が次々と怪死し、真相は闇の中に。それを追及するのが若い記者。追えば王ほど肝心なところで話が切れていく。で、最後にその情報が次々と漏れていた本当の黒幕は、というところで話は終わるのであります。

今となってはありえないし、個人情報保護法やその他諸法令のみならず、各新聞社の職業倫理規定に基づき、かような無頼な事は許されるはずもなく、かつての「事件記者」の乗りなのですが、この映画の一番面白いのは、「時平の七笑」のような実悪の存在を見せたことです。実にいい人が実は一番悪い人、という幕切れ、もう少し切れ味が良ければ今も評価されうる1編になった気がします。でもそれは当時とすれば精いっぱいのことかも。

タダの勧善懲悪ではない、今も変わらぬ新聞社の姿の一端を見せてくれているというべきか。

そもそもは、大昔にテレビ東京かどこかの深夜映画で見て、気になっていたんですけど、やっと再会することができた、という感じの作品です。よくDVD化されていたもんだと思うくらい。

これで1980円ならまあ、お値打ちでしょう。
posted by 曲月斎 at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月02日

予告編の不思議。








以上、小津安二郎の映画の予告編なのですが。
どうも見ると、今面白いと思うポイントと、当時のポイントが微妙にずれている気がしてならないのですが。

ご覧になっていかがでしょう?
posted by 曲月斎 at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月08日

「キャンディード」佐渡裕版

知人に誘われ、渋谷の文化村オーチャードホールまで「キャンディード」を見に出掛けた。
この日は兵庫公演の後、東京公演の楽日。

レナード・バーンスタインの作品で、かのウエストサイド物語の前年に作られたというこの一編。ころされては生き、生きては殺されを繰り返す、まるで「真夜中の弥次さん喜多さん」状態の内容。

作品の深いテーマは別にして、場面転換の妙味、ミュージカルのような華麗な歌と踊りと、めくるめくようなダンスの切れ味。これだけを楽しんでも十分な内容であります。

指揮の佐渡裕という人のニンにこの作品があっているというか、この師にしてこの弟子ありというか、バーンスタインの1950年代から60年代にかけてのまぶしいようなアメリカという国を体現した人のいい面を上手く継承したのであるな、と思いますな。

特上の席で拝見して、誠に得難いひとときを過ごしたことでありました。
posted by 曲月斎 at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「氷雪の門 樺太1945年夏」再考

ちらと前に書いたけど、
この映画はスラップスティック戦争映画である。

まあ、実によく日ソ不可侵条約を一方的に破棄し、8月9日に対日宣戦布告。で、満州、樺太、千島の3方面から侵攻を始めたのだけど、沖縄同様、樺太も民間人を交えての戦闘地域となった訳で、特に北緯50度の国境線に近いエリアからの居留民の避難の悲惨さは想像に難くない。

この間の悲劇としてはこの映画がテーマとしている真岡郵便局の女性交換手の集団自決があるが、このほかにも北部西海岸・恵須取の近郊、大平鉱山で起きた大平炭鉱病院事件というのもあるのを知った。重症の患者と共に病院に取り残された看護婦がソ連軍の侵攻に伴い、集団自決を計ったというもの。ある意味で真岡の事件よりも悲惨な結末とも言える。

ただ、同時にこれらの話の多くは北海道新聞ではなく、かつて北海道にあった日刊紙、北海タイムスの連載が元になっているというのも興味深い。

ま、ともかくよく民間人がソ連兵に銃殺、機銃掃射、艦砲射撃で蹂躙される場面が続く映画である。で、今、この映画が再発掘されるのは、浅田次郎の小説、北千島占守島での攻防戦を描いた「終わらざる夏」などの発表とも絡んでいるのかもしれない。

ま、重いテーマの映画だし、もっと知られてもいい作品だとは思う。
posted by 曲月斎 at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月20日

「氷雪の門 樺太1945年夏」

karati3.jpg
karati2.jpg









karati1.jpg
今から、36年も昔の映画が日の目を観ることになった。

上記の標題の作品で、1945年に日本が敗戦の詔勅を世界に渙発した後も、北満州や樺太、千島では戦闘行為が続き、多くの邦人がその犠牲になった物語である。

舞台は樺太の西海岸、真岡。この地図で見ると、北緯50度を境として南半分が日本領、北半分がソ連領だったわけで、本来は軍事行動は停止するはずが、ソ連軍の南下策により、日本で最後の地上戦が行われることになった。中で、真岡郵便局で電話交換業務に当たっていた9人の女子交換手が服毒自殺を遂げたという悲劇的な事件が題材になったのが、この映画だった。
maoka.jpg
真岡は西海岸の要衝の年で、50度の国境を突破してきたソ連軍の侵攻を大泊や内地に向けて発信する位置になった。

72086.jpg迫り来る赤軍の猛攻の下、最後まで通信の業務に準じた乙女らの姿は結構、感動的であったと記憶する。

というのもなぜか、一般向けには上映中止となったものの、学校映画で見た記憶があるのである。こういう映画をなぜ選定したのか。当時の我が母校の空気が反映しているようで、いまとなってはおもしろいのだけど。

それはさておき、近く改めて公開されるよし。もういちど、シネスコサイズでぜひ見ておきたい1本ではある。実際の舞台となった真岡は実は結構、樺太の南に位置していたことが改めて分かった。それだけに、それ以北の町との通信回線(だいたい線路と一緒に敷設される)を維持するために改めて要衝であったことが分かるし、迫り来る赤軍の恐怖もまた格別であったろうと思う。

詳しいことは上映委員会のHP
posted by 曲月斎 at 01:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月25日

「白い巨塔」


白い巨塔 [DVD]

白い巨塔 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD



白い巨塔の財前五郎といえば、死んだ田宮二郎の当たり役。映画の方は本作の続編が出る前に映画化されているので、後の結末まで知っている身には正直のところ、モノ足らない幕切れだ。

田宮二郎の人物造形がすこぶる稚拙で、脂ぎった感じ、権力への妄執をにじませる部分がまだ未熟なのにもかかわらず、脇を固める小沢栄太郎、加藤嘉、東野英次郎、滝沢修などなど、メンバーのアクが強くて、実に医学界の雰囲気を醸し出していると思う。

田宮は後に、この作品をもう一度、フジテレビで映像化する。


白い巨塔 DVD-BOX1〜浪速大学医学部教授戦〜

白い巨塔 DVD-BOX1〜浪速大学医学部教授戦〜

  • 出版社/メーカー: フジテレビ
  • メディア: DVD




白い巨塔 DVD-BOX2 〜誤診裁判第一審〜

白い巨塔 DVD-BOX2 〜誤診裁判第一審〜

  • 出版社/メーカー: フジテレビ
  • メディア: DVD




白い巨塔 DVD-BOX3 〜誤診裁判第二審〜

白い巨塔 DVD-BOX3 〜誤診裁判第二審〜

  • 出版社/メーカー: フジテレビ
  • メディア: DVD



こちらも主要キャストを本編からそのまま引き継ぎ、敵役に山本学を得て、実に見事。放映が終わる前に、田宮自身が猟銃自殺を遂げたのだけど、記憶だと、猟銃自殺の方がずっと後だったような気がする。
DVDだと9枚にもなるらしい。今はもう売っていないのでAmazonでもとっても高い。
どこかの貸しDVD屋さんにないかしらん。
ぜひ、見直してみたいものだけど。

そういえば、大映の永田雅一と対立していた田宮が、五社協定の縛りの後も、この再映像化のために四苦八苦したという逸話を何かで読んだのだけど……。最近読んだことなのに、忘れてしまった。トホホ。

てなことを書いているうちに、田宮と児玉清が学習院大で同級だったことを知る。うーん。人間の綾は分からん。
posted by 曲月斎 at 22:32| Comment(1) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月29日

歌舞伎座さよなら公演。

kabukiza201004b.jpg気が付けば4月で歌舞伎座は閉館、建て替えである。

仕事先から戻る途中、歌舞伎座の前を通りかかった。
4月は3部公演にて、1部が海老蔵ら若手主体のだんまり、吉右衛門の熊谷陣屋。2部が幸四郎の寺子屋に、菊五郎、団十郎、吉右衛門の三人吉三。3部が助六で団十郎に玉三郎。何れも見たい狂言ながら、強いて選べば3部かなぁ。

久しくあの玄関をくぐっていないが。思い返せば当代団十郎襲名興行で3カ月間、昼夜と通しで通ったこともあったし、今に語り伝えられる孝夫&玉三郎の助六も忘れがたい。あの時の意休は13代目仁左衛門が息子の初役ということで付き合っていたっけ。3代目実川延若のあの古風な顔立ちは何の狂言で見たのだったろう。food_photo_coffee1.jpgともかく我が青春の味、あの3階のカレーライスを名残に食べに行く機会を何とか作らなくては。

戸板康二や渡辺保のような見巧者でもなく、一介の物好きであれ。何か今感じておかなくては機会を逃すみたいな、感じが歌舞伎座にはありますな。小屋があるから芝居があるのではなく、芝居があるから小屋があるという論理ではあるにせよ、渡辺保が書いているように、あの歌舞伎座には息づいているものが潜んでいる気もする。

posted by 曲月斎 at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月27日

「村の写真集」


村の写真集 [DVD]

村の写真集 [DVD]

  • 出版社/メーカー: エスピーオー
  • メディア: DVD



5本借りてきたDVDのシリーズ。「村の写真集
以前にさらっとみて、淡い色彩がきれいだったのを覚えていたもので。

あらすじはダムに沈むことになった村の家族の写真集を作ることになって村の写真館のオヤジ(藤竜也)が息子(海東健)といっしょに仕事をし、2人の間の対立が和解に向かうというストーリー。
よくあるパターンの話ではあるのだけど、それが四国は徳島、吉野川上流の村の景色の中に淡くとけ込んでいてなかなかの佳編なのである。テレビ局がスポンサーらしく、プロットが多すぎるのはちょと難点なのだけど、すべて阿讃の山並みの中の出来事、畑を耕して天に至るみたいな集落が点在するこの辺りの景物の中で見ると、情趣が深い。

藤竜也はいい芝居をする。息子と和解をした後の「テヘっ」という笑いがいい。圓生の照れた時の笑いにも似る。
そういえば、海東健って最近見ないなあと思ったら、俳優を廃業していたらしい。俳優の廃業っていうのもあるんですな。臭いけど、結構いい味の役者だと思っていたのだけど。NHKの朝の連続ドラマで脚光を浴びた男優ってのはダメなのかね。


家族の肖像

家族の肖像

  • 作者: 立木 義浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1990/09
  • メディア: 大型本



この作品の裏には、絶対、この1冊のイメージがあると思う。
立木義浩の写真集だ。何のことはない、家族の集合写真を集めた1冊なのだけど、その集合写真の裏にある家族の思いがよく出ている。
今、めくってみるとすでに物故した人も多い。この家族はどうなったのだろうと思う。そう、小津安二郎の「東京物語」では家族の集合写真がその後の家族の変転の象徴として登場するけれど、その意味で家族の集合写真というのは、冷厳なものになるのかもしれない。


寺町三丁目十一番地 (福音館創作童話シリーズ)

寺町三丁目十一番地 (福音館創作童話シリーズ)

  • 作者: 渡辺 茂男
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 単行本



写真館、最近もう見掛けなくなってきた仕事だ。映画の中では乾板を入れたり出したりする大判のカメラをつかっていたけど、そのころの写真館一家の話をプロットにした童話。この1冊も忘れがたい。ガキのころに読んだ本だけど、妙に心に残る。
posted by 曲月斎 at 16:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月24日

「華麗なる一族」


華麗なる一族 [DVD]

華麗なる一族 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD



この前、TSUTAYAの「まとめて5本」セールで借りてきたうちの1本。
山崎豊子の原作云々はもう書き尽くされているから割愛。
結局、この映画も佐分利信なんだな。
佐分利信、山村聰っていう路線の役者が好きなのかも知れない。
この映画と1度目のテレビドラマ化はともに1974年。右端の2007年のTBS版が記憶に新しいところ。
映画を見直してみると、日本というよりも今の上海を連想する。
まだ神戸港が「扇港」と言われる呼び名がふさわしかった時代の話だ。

万俵大介・・・・佐分利 信→山村  聰→北大路欣也
万俵寧子・・・・月丘 夢路→久我 美子→原田美枝子
万俵鉄平・・・・仲代 達也→加山 雄三→木村 拓哉
万俵早苗・・・・山本 陽子→柏木由紀子→長谷川京子
万俵銀平・・・・目黒 祐樹→林  隆三→山本 耕一
万俵万樹子・・・中山 麻里→山口いずみ→山田  優
万俵二子・・・・酒井和歌子→島田 陽子→相武 紗季
美馬一子・・・・香川 京子→三ツ矢歌子→吹石一恵
美馬 中・・・・田宮 二郎→佐藤  慶→仲村トオル
高須相子・・・・京 マチ子→小川真由美→鈴木 京香
一之瀬四々彦・・北大路欣也→大和田伸也→成宮 寛貴

DVD2枚組。仲代達也の芝居ってのがどうも相性に合わない気がする。それと西村晃とか、小沢栄太郎、北沢彪、加藤嘉、中村伸郎、花沢徳衛……。ワキを固める俳優が個性的なのが楽しい。


華麗なる一族 DVD-BOX

華麗なる一族 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • メディア: DVD




さて、今度は機会があればこっちのバージョンも……。ない、ない。
posted by 曲月斎 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月23日

「獄門島」

141-1560.jpg昨晩はTSUTAYAに出掛けた。
今、5本で1000だそうだ。で借りてきた1本が「獄門島」

市川コン監督の作品である。言わずと知れた横溝正史ものである。主演は石坂浩二。

娯楽作らしく、最初に登場人物の説明場面が続いて、話が展開する。今みても間然とするところのない作品だ。ワキを固める佐分利信、東野栄次郎、大滝秀治といい役者がそろっているなぁと思うことしきり。

あと、太地喜和子のせりふ回しで杉村春子を連想させるような場面がいくつかあったのが驚き。

「季違いじゃがしょうがない」は佐分利信だから言える一言だなぁ。
posted by 曲月斎 at 16:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ひつじ ひつじ

知人に教えてもらった画像です。
ホントにこういうことを真剣にやるから、おもしろい。

やはり遊びは真剣にやらないと。

それと……。恐るべし三星電子、ってところでしょうかね。
posted by 曲月斎 at 01:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月24日

「酒は大関」

最近、稲垣吾郎が出ている大関のCM。
だれの焼き直しなのかな、と思っていたら、
田宮二郎でした。そうあの。大映のスターであります。



幕切れのところが、圓生の「テヘっ」みたいな感じなんですけど、これが今のヤツにはないなぁ。



白い花なら 百合の花
人は情けと 男だて
恋をするなら 命がけ
酒は大関 心意気

赤い花なら 浜なすの
友と語らん 故郷を
生まれたからには どんとやれ
酒は大関 心意気

夢は人には 見せぬもの
勝負するときゃ 馬鹿になれ
それでいいのさ 男なら
酒は大関 心意気

女泣かせる やつよりも
好きだと言わない その背に
女心は もえるもの
酒は大関 心意気

花と咲くのも この世なら
踏まれて生きる 草だって
唄を唄って 今日もまた
酒は大関 心意気

って、唄:加藤登紀子 作詞作曲:小林亜星だったんですな。
大関のサイトにこんなページがありました。


posted by 曲月斎 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする