2016年06月01日

☆2016年5月に読んだ本。

2016年5月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:4811ページ
ナイス数:653ナイス

雨と生きる住まい-環境を調節する日本の知恵 (INAXライブミュージアムブック)雨と生きる住まい-環境を調節する日本の知恵 (INAXライブミュージアムブック)感想
温帯の中でも降水量が多い日本。そこで暮らすためには知恵がいる。雨をどうしのぐか、だ。茅葺き、檜皮葺、瓦葺き。切妻、寄棟、入母屋。水を早く流し切ってしまう、通気をよくして湿気を室内に籠もらせないようにする工夫の成果が日本の伝統建築であることが分かる。写真をふんだんに使い、小さな図録のような仕立ての1冊。レイアウトも丁寧で、写真もいい。いい本ではあるけど、1500円という価格をどうみるかなぁ。展覧会の図録と思えば決して高い訳ではないけど。
読了日:5月31日 著者:INAXライブミュージアム企画委員会
食魔 谷崎潤一郎 (新潮新書)食魔 谷崎潤一郎 (新潮新書)感想
作品から食事の場面を抜き出して考察したり、日記や関係資料から谷崎の食生活をトレースしたり。ただ、色と食慾ともに、個人的には谷崎に親和性を持てない故なのか、読んでいてリズムがつかめず、ぶつりぶつりと小分けしたような文章に乗り切れなかった。末尾の陰影礼讃に出てくる柿の葉鮨のレシピ、高校時代に同書を読んで、一時かぶれたことがあったことを思い出した。杉の葉を敷き詰めたアサガオの小便器の話とともに。
読了日:5月29日 著者:坂本葵
北条氏と鎌倉幕府 (講談社選書メチエ)北条氏と鎌倉幕府 (講談社選書メチエ)感想
烏帽子親、諱、氏族ごとの通字、長子と庶子、本家と庶家、官位など武家社会の常識を押さえつつ、鎌倉殿に於ける北条氏の存在を探る1冊。謎解きが面白い。登場するのは承久の乱の際の義時と元寇の際の時宗。義時は時政にとっては跡継ぎではなく、結果的に後継者になっていたという見立てや、「頼朝が八幡、義時が武内宿彌」の生まれ変わりという説話集の逸話に時代の空気を掬ったり、時宗がモンゴルの襲来もあって独裁的な体制を築くために身内を討ち、皇位継承にまで介入する。吾妻鑑や増鏡などの史料で見事な口語訳ぶりが秀逸。筆者の才気をみる。
読了日:5月28日 著者:細川重男
戦国大名の正体 - 家中粛清と権威志向 (中公新書)戦国大名の正体 - 家中粛清と権威志向 (中公新書)感想
教科書から専門書への階梯を開く意図の1冊。端書きに挙げている「戦国大名」の中の世代差、「天下」の概念、「下剋上」の意味などを事例別に説く。数ページが吉川弘文館などで1冊の本となっている内容なのだから、読者は駆け足を覚悟せねばなるまい。僕は逆の順番で読んでしまったけど、この本を手がかりに次の関心の項目に進めば理解が深まると思うし、入門書としては悪くない。特に外国人宣教師の書簡を手がかりにしているのは新しい試みか。元々は郷村単位の集団が国単位にと進化する中での権力闘争であり、権威付けであり、近世の母胎であり。
読了日:5月26日 著者:鍛代敏雄
コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)感想
流石「ブルーバックス!!」。1杯の珈琲から自然科学の花が咲く。まず植物学的手法でコーヒーノキについて語り、エチオピアの奥地で生まれた豆が全世界に伝播し、広まった歴史を述べる。「おいしさと香り」の相関やら、ガスクロマトグラフィーで味、香りを分析し、DNA解析で系統を探り、さらには鉱石の浮遊選鉱の話で淹れ方を探る。この1杯にどう取り組んでみるかという遊び心と真剣さがどこまでいっても面白い。抽出した香り成分、苦み成分で人造コーヒーを試みたりも。これまでの経験則への科学者としての相対的な評価案とみたてた。
読了日:5月25日 著者:旦部幸博
トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書)トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書)感想
コロンブスが南米大陸から持ち帰ったことで、主食になる素材でもないのに爆発的に世界中に伝播していった唐辛子。そのスピードたるやすごいものです。胡椒を席捲し、遥か東海の小島まで至るのですから。個人的には第1章が難物でした。農学的な観点から起源を探る部分ですが、ここを乗り越えるとあとは一気呵成。元々は何年も収穫できる木本性の植物であったというのはちょっと驚きでした。今も微妙に欧州の北側では普及せず、多様な品種が続いている。入門書であり専門書の風を押さえた素敵な1冊。今の方が味覚が保守化しているのかもしれない。
読了日:5月23日 著者:山本紀夫
中世社会のはじまり〈シリーズ日本中世史 1〉 (岩波新書)中世社会のはじまり〈シリーズ日本中世史 1〉 (岩波新書)感想
日本に古代はあったのかという議論は扨置、中世と呼ばれる時代の始まりを白河からの3代の院政の間に見て、社会の変化を探った1冊。「家」「身体」「職能」の3つの視点からの読み解きが興味深い。この時期に上は五摂家から始まって家という概念が成立したと見る。加えて武門が西に東にと移動し、攪拌された時代であったのが分かる。身体という視点は宗教でみると分かりやすいか。教学を旨とした平安仏教から禅、念仏聖と行を主体にした鎌倉仏教へ。家が成立することで家職、家藝が成立する訳で。和歌、随筆など文学も史料に時代の空気を探る試み。
読了日:5月20日 著者:五味文彦
鎌倉幕府と朝廷〈シリーズ日本中世史 2〉 (岩波新書)鎌倉幕府と朝廷〈シリーズ日本中世史 2〉 (岩波新書)感想
高校教科書ではほとんど登場しない摂家将軍、親王将軍の存在が鎌倉殿の政権維持と帰趨に影響していた。天皇家内での遺産相続、皇位継承の問題と北条家内の執権、得宗の権力確立との関わりを書札礼や古文書から読み解く。筆者の面目躍如。持明院統と大覚寺統に分かれ、南北朝の因をなした萌芽まで。ただ惜しむべし。筆者は通史の叙述は緑色で、史料の解釈・考察は銅色で書いてみたいと「はてしない物語」の顰みに倣いたい旨をあとがきで述べているけど、この意図が全体を読みにくくしている気がする。権門体制論への一つの反証の標榜を狙っているが。
読了日:5月17日 著者:近藤成一
こんなに変わった歴史教科書 (新潮文庫)こんなに変わった歴史教科書 (新潮文庫)感想
学界で定説になるのには30年間は必要というのが文科省教科書検定官の見解だそうだ。歴史学も社会科学の一分野、研究が深化すれば記述が変わるのもまた宜なる哉。技術の進歩もある。鎌倉殿の権力確立を何時にみるか、肖像画の主の変遷くらいは論争として分かるけど、近代史の部分はどう記述するのか、しうるのか。文科省と執筆者の間でどういうやりとりがあるのか、気になるところ。「〜の役」が{〜戦争」になるのは規模や影響を勘案してのことで済むが、歴史的な意義付けも改変が可能であり、恣意的にプラスにもマイナスにも振れうる気がした。
読了日:5月12日 著者:山本博文
段取りの“段”はどこの“段”? 住まいの語源楽 (新潮新書)段取りの“段”はどこの“段”? 住まいの語源楽 (新潮新書)感想
住まいの用語から派生した言葉を拾い集め、簡単な解説をつけた1冊。トリビア集みたいなものが読みたいのならいいかも。ちょと面白そうに思えたのだけど、中身が薄いかなぁ。広辞苑と逆引き広辞苑片手に書いたような。週刊新潮誌上で広告と抱き合わせの短文ゆえなのか。ふと連想したのが同じ新潮社の1冊、新潮選書「住まいと暮らしの質問箱」(室内編集部)。山本夏彦の「室内」に連載されたコラムをまとめたものですけど、どうせなら質、量とも後者の本の方をおすすめしたいなぁ。
読了日:5月11日 著者:荒田雅之+大和ハウス工業総合技術研究所
キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)感想
増補版の方を再読。巻末に書き足された約70ページの補章の部分を先に読むとよい。Q&A形式で24問、初学の階梯となるような質疑応答が続く。本文を読み返すに付け、「満州国」とは、関東軍(石原莞爾とも言える)の、溥儀の、思惑の上に築かれた「王道楽土」という看板の掛かった砂上の楼閣であったということが緻密に語られる。溥儀は最初は皇帝ではなく執政であったこと、国内官界から出向した岸信介らの官僚がその体制を創り上げたこと、「弐キ参スケ」が跳梁跋扈したこと等々。「満洲は日本の生命線」という偏執が招いた禍殃というか。
読了日:5月9日 著者:山室信一
カストロとフランコ: 冷戦期外交の舞台裏 (ちくま新書)カストロとフランコ: 冷戦期外交の舞台裏 (ちくま新書)感想
公式的な発言と実際の行動は違って当たり前、「したたか」という言葉で括られるのかもしれないスペインのフランコとキューバのカストロ。「米国眼鏡」を通してみると「独裁者」であるけど。父祖の地を同じくし、カソリックという共通した宗教を持つ、しかもイエズス会系の教育を受け、母語がスペイン語。東西対立が厳しかった時代にも自国の利益を追求し、成果を挙げる、大使は召還しても国交断絶はしない等々−−米国中心の安保体制と言い続けて疑わない日本に比べ、成熟した大人の振るまいに見えて仕方ない。東アジアに据え替えてみても……。
読了日:5月8日 著者:細田晴子
戦国夜話 (新潮新書)戦国夜話 (新潮新書)感想
週刊新潮連載の記事、回を重ねる毎に熟れ、和人節ともいうようなリズムが心地よい。古老の聞書のようでもあり。縦横無尽に人名が連射されても怯まず読み進めること。京大系の権門体制論に異議を立てる東大系の中世史学者の雄(孤塁?)なのかもしれないけど。後書きがこの弾幕の内輪話。文科省が人文系の学問は不要と言い出し、哲・文学と歴史は大変だと言われる中、日本中世史の研究志望者の現状は本当にひどいと嘆く。老年に差し掛かったと悟った1960年生まれの筆者は歴史の面白さを社会に紹介し、後学の役に立ちたいと呟く。その意気や佳し。
読了日:5月7日 著者:本郷和人
殺生と往生のあいだ: 中世仏教と民衆生活 (歴史文化ライブラリー)殺生と往生のあいだ: 中世仏教と民衆生活 (歴史文化ライブラリー)感想
最初にあとがきを読むと筆者の意図が把握しやすい。というのは狩猟の話から始まって仏教での殺生戒、往生要集からの地獄観という風に話が進み、ようよう殺生の話に入っていく葛籠折れ。宇治川の網代木(川魚漁)を主に破却され、再建され、禁止しながら一方で贄は要求するということを繰り返す。最大の殺生者ともいえる武士にとっての戦いに関しての記述で終わる。通底しているのは天台浄土教がいろいろな面で顔を出し、価値判断の基準になっている根深さ。筆者言う処の「少数と隙間の方」を追求した研究の振り返り。忍性はあるが、一遍への言及は?
読了日:5月6日 著者:苅米一志
下り坂をそろそろと下る (講談社現代新書)下り坂をそろそろと下る (講談社現代新書)感想
PCとWebが出現した社会となって以降、何が知性なのか。包み込むような文体で諭していく1冊。脊髄反射のような速度、辞書を食べながら暗記するような知識は不要で、むしろ自分が何に拠って自立するのかを確かめることこそ大事であると説く。鍵になるのは自身の文化なのかを直視すること。今の任地に赴任して、或いは来し方行く末を考える時、必ず浮かぶ何か纏め切れない「曖昧模糊としたもの」を端正に因数分解されたような気分になる本。筆者は言う。「寛容と包摂」と−−。だが同時にガロアの言葉が浮かんでいる。「僕にはもう時間がない」
読了日:5月5日 著者:平田オリザ
習近平の権力闘争習近平の権力闘争感想
習は1953年生まれ、花のニッパチである。文化大革命の余波をもろに被った世代。でも彼には父で元国務院副総理・習仲勲の存在があり、つながる人脈「紅二代」がある。習が2012年に党・軍の中央書記を経て2013年には国家主席に成り上がった。この間の権力闘争について短信を繫ぎ合わせて「陰謀の」物語に仕立てたのがこの1冊。面白いのだけど、逆にどうも説得力に欠ける気がする。中国の為政者として目線は国内8、海外2と言われるが、ほぼ権力の掌握を終え、今後はどうするのか。そう毛、ケの再来と言える程の道を目指すのは隘路だが。
読了日:5月5日 著者:中澤克二
殴り合う貴族たち (角川ソフィア文庫)殴り合う貴族たち (角川ソフィア文庫)感想
能「葵上」では六条御息所の生霊が後妻打ちをする。彼女が何で悔しがったか、車争いとはどんなものなのかを想定させるような出来事が実は頻発していたとする。記述は藤原実資の日記「小右記」を中心に、貴族や宮中の実力行使の実態を点綴していく。巻末の「王朝暴力事件史年表」を本文と一緒に見ながら読み進めると頭が整理できると思う。慈圓は保元・平治の乱を以て武者の世になったと言ったが、公権力が不十分で、私的制裁せざるをえなかった平安中期。既に素地は整っていたような気がする。清少納言も紫式部も書かなかった実際の世相がある。
読了日:5月4日 著者:繁田信一
豊国祭礼図を読む (角川選書)豊国祭礼図を読む (角川選書)感想
秀吉の死から豊国社の成立、大阪&江戸の二極化の中の7回忌の大祭(1604年)の盛儀から生まれた屏風3雙。筆者はイエズス会の記録に従来からの日記類などの史料で背景を読み込み、推定した成立順に、豊国神社本→妙法院模本→徳川美術館本と制作依頼者を淀殿、北政所、蜂須賀家政とし、時期、意図を読み解いていく。先行研究を丹念に紹介し、自説を展開していく。就中、徳川本にある歌舞伎者の喧嘩を秀頼と秀忠と見立てて読み解いたのは妙味。今、山口晃や山田芳裕が「分かる奴には分かる」と隠喩をちりばめた仕掛けを自作に描くのにも似て。
読了日:5月4日 著者:黒田日出男
足利尊氏と関東 (人をあるく)足利尊氏と関東 (人をあるく)感想
尊氏とはと問われて足利幕府の初代将軍と答えるのは教科書レベル。でもこの時代に日本史が変わったと実感するような人物であるのが分かる。たぶん鎌倉で生まれて京都への往復は茶飯事、時に中国地方まで下り、また鎌倉に戻って……と実に動き回る。家族の営みより家や一族を重視、その間に鎌倉幕府を倒し、後醍醐天皇を追い出し、実子・弟との諍いもあり……。太平記のように主語が変わるのではなく、尊氏を主語にした視座での叙述が続くので分かりやすい。後段は関東に根を下ろした源家足利氏の振り返りとその遺跡の考古学的ルポ。立体的な本です。
読了日:5月2日 著者:清水克行

読書メーター
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2015年08月01日

☆2015年7月に読んだ本。

2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:5572ページ
ナイス数:478ナイス

袁世凱――現代中国の出発 (岩波新書)袁世凱――現代中国の出発 (岩波新書)感想
孫文らの仕立てた中華民国の総統に収まり、「対華二十一箇条要求」を受諾した人物という認識だったけど、本質は「対外的には承認されていても、地方を統治する能力がない中央政府」と「中央政府の支援なしでも自立していける地方政府」という二項対立の上で、この人物は中央に君臨しようとしたという見立てで納得がいく。トップに立っても地方が施策に着いてこなければ其迄。その後、諸外国と結んだ地方軍閥(張作霖と日本が好例)の簇生が毛沢東の現・中国建国まで続いたということ。北一輝の月旦「奸雄の器に非ずして堕弱なる俗吏」が確かに適切。
読了日:7月31日 著者:岡本隆司
日本に古代はあったのか (角川選書)日本に古代はあったのか (角川選書)
読了日:7月31日 著者:井上章一
英語教科書は〈戦争〉をどう教えてきたか英語教科書は〈戦争〉をどう教えてきたか感想
最初の英語の教科書は人種の優劣を説く「ミッチェルの地理書」や「ハーレー万国史」から始まった。戦争の影が忍び寄ってくるにつれ、教材の中にも戦争のテーマが増える。北朝鮮を嗤えないし、僕らが大学で習った時の中国語の教科書(北京語言学院が文革当時、英米人向けに出した教科書の邦訳)を思い出しても、想像がつくというものだ。ただそれ以上に、1988年の英語の教科書で「戦争は人間を残酷にする」という話題を東南アジア人との話する章が、一部与党議員の抗議で削除されたという。気を抜くと今でも今の日本でも何があるか分からない。
読了日:7月28日 著者:江利川春雄
源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究 (講談社学術文庫)源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究 (講談社学術文庫)感想
イイクニ作ろう鎌倉幕府で終わらない、源頼朝の存在意義をかけた葛藤史である。清和源氏の嫡流であることを示しつつ、桓武平氏というブランドと戦いつつ。書状一本、官位の付与だけでは権力は確立しえないのであって、内幕を古文書史料を読み解くことで示した1冊。たぶん、治承寿永の乱は早い時期から「物語化」されているので(それは武門の家々が正統性を示すためでもあろうが)、薄皮が何枚も懸かっている状態で享受されてきた訳で、その薄皮を剥いでいく筆者の手際は快感でもある。末章に挙がる奥州藤原氏追討の見立て、お見事というほかない。
読了日:7月22日 著者:川合康
戦下のレシピ――太平洋戦争下の食を知る (岩波現代文庫)戦下のレシピ――太平洋戦争下の食を知る (岩波現代文庫)感想
戦時下の食料不足は生産力と輸送力の低下による。室町時代の京の飢饉と同じ構図だ。米食が普及したのが大正期、節米から代用品、糧物等と旧に戻したのだから食文化の歴史の退行現象である。あるときは生大豆粉、フスマ、くず米、魚粉等々、飼料のような代物を滋養があるといって食べさせる政策、つまりは戦争状態を招いてしまう政治の貧困が本当の原因である。真面目な顔で婦人雑誌が記事を掲載していたのに敬意を表するし、こんなものをありがたがって食べるような生活に成らぬよう、まず以て政治を健全に保つ努力を国民が続けていく大事さ。
読了日:7月21日 著者:斎藤美奈子
春画のからくり (ちくま文庫)春画のからくり (ちくま文庫)感想
日本の文学と美術は「過剰な装飾」というキーワードで読み解けるという。春画も例外ではない。隠し、見立て、周囲の道具立てで、衣服に含意する世界を見せる。前期の浮世絵からモロに描くことで別の世界を開いた後期の作品まで。「覗き見」も、日本では明治まで性的興奮の対象たり得なかったかもしれぬ(だって家の構造がそうでしょ)。また手淫が宗教的戒律として存在してきた西欧文化からは春画も別の視点から見えると説く。ともあれ、着衣のこだわりは、どこかフェティシズムへの連環を感じさせる。誰が春画を見ていたのかへの関心も興味深い。
読了日:7月19日 著者:田中優子
居酒屋の誕生: 江戸の呑みだおれ文化 (ちくま学芸文庫)居酒屋の誕生: 江戸の呑みだおれ文化 (ちくま学芸文庫)感想
江戸という町は職人や江戸詰めの武士など男性シングル者の多い町。必然的に外食産業、居酒屋が発達する訳で背景を探った1冊。当時常用していた日本酒は池田、伊丹等の上方の酒が船で江戸まで運ばれる間に美味くなることを見つけた人々は余計に酒に親しむ機会が増えた。ただその肴は「切らず汁(おからの味噌汁)」であったり、薬食いだったり。タコが店先に下がっているのが看板代わりとは。最初はチロリで燗をつけていたものが徳利になり、いよいよ安直になっていく訳で。個人的には本を読んでいて、鶯谷の居酒屋鍵屋の風情を思い出しました。
読了日:7月18日 著者:飯野亮一
教授の異常な弁解 (文春文庫)教授の異常な弁解 (文春文庫)感想
週刊文春の連載。軽い読み物という点からいうと、同じく文春に連載していた高島俊男の「お言葉ですが」を連想していたのですが、ちょっと味わいが足りない感じ。それはそれで独自のツチヤ・ワールドなのですが。
読了日:7月17日 著者:土屋賢二
少年と少女のポルカ (講談社文庫)少年と少女のポルカ (講談社文庫)感想
個人的な感想です。最後まで文体への違和感がぬぐえず、筋を追うのがやっと。作者との年齢の差を感じてしまったなぁ。学園ものなのですが、脳の中で絵が描けない感じでした。読解力、想像力不足かぁ。
読了日:7月17日 著者:藤野千夜
日本の軍隊を知る: 基礎知識編 (地域のなかの軍隊)日本の軍隊を知る: 基礎知識編 (地域のなかの軍隊)感想
今年は戦後70年、旧日本陸海軍という機構やその習慣、法令規則自体が記憶の彼方に消えようとしている中、実際はどうなのかという説明を試みた1冊。徴兵制という仕掛けから、徴兵忌避、陸軍の駐屯地、海軍の鎮守府の分布や性格、在郷軍人という存在、軍事郵便、軍隊生活全般に至るまでまとめている。従軍僧や神官、軍馬、演習等にも言及している。先行研究の論文紹介も行き届き、入門書としては手頃だと思う。色んな分野で述べられていることは多岐に渉るが、やはり15年戦争が始まって以降というのはそれ以前と際だって異なるのが印象的。
読了日:7月17日 著者:
昭和の洋食 平成のカフェ飯―家庭料理の80年昭和の洋食 平成のカフェ飯―家庭料理の80年感想
国内の映画、ドラマ、漫画などに登場する食卓の様子を分析することで、背景にある世界を描き出すことを試みた1冊。基調低音は他の著作と同じで「戦前生まれの母親は戦中戦後に育ち、料理を覚えられず、その子供世代に料理が苦手という図式が引き継がれた」という見立てだ。加えて地域社会、大家族制の崩壊や住空間(台所)、家族構成の変化も加わった。ただ筆者は「飯は誰かと一緒に食べた方が美味しい」というテーマを論証し続けているといえる。そして危惧するように「料理を作って食べる、食べさせる文化」は今、脆弱になっているのも事実。
読了日:7月16日 著者:阿古真理
昭和育ちのおいしい記憶 (単行本)昭和育ちのおいしい記憶 (単行本)感想
「小林カツ代と栗原はるみ」を読んでの転進だったので少し期待はずれ。というのは随筆漫筆であり、何か切れ味も薬味も欲しい方だから。多分、料理の随筆でも辰巳浜子の「料理歳時記」や四方田犬彦の「ひと皿の記憶」みたいな内容なら違ったかも。それでも家計調査や農産物調査のデータに人口動態を絡めて、料理の変化に時代相を絡めて考えるのは筆者ならでは。面白い。さらに「食文化は結局刷り込みと慣れだ」とか、「人と親しくなるのは体験を共有すること、手っ取り早いのは同じ物を食べることだ」など、筆者らしい切口上が心地よい。
読了日:7月13日 著者:阿古真理
夢野久作全集〈8〉 (ちくま文庫)夢野久作全集〈8〉 (ちくま文庫)感想
この中に所収の「キチガイ地獄」のみをキンドルで読了。言わぬが花のどんでん返し、こういう展開の小説もあるもんですね。北海道・大雪山から樺戸監獄、さらには九州へと話が展開するのですが。一人称独白形式の小説ながら、その手際にはお見事というしかない鮮やかさ、です。
読了日:7月12日 著者:夢野久作
ふしぎなイギリス (講談社現代新書)ふしぎなイギリス (講談社現代新書)感想
筆者は毎日新聞の外報記者。俎上に載るのは主にサッチャー以降の英国の有り様だ。合理主義者の英国民が何で王室という存在の存続を認めているのか、議会と国民(納税者としての辛辣な視点も含めて)の関係であったり、看板はどうあれ実を取る国民性であったり。視座が多角的だ。1976年、木村治美が「黄昏のロンドンから」でルポした後の様変わりぶりが分かる。「アングロサクソンの国」という米国との対等な立ち位置から「ジュニアパートナー」という表現への変容、超大国を如何に扱うか。愚直な日本と彼我の差を感じざるを得ない。
読了日:7月11日 著者:笠原敏彦
例外状態例外状態感想
市民の危急が迫った場合、法の規定がない場合、法の執行停止が宣言されることがある。そんな状況を「例外状態」と呼ぶ。古代ローマからこの問題は存在した。今もグアンタナモ基地があるように「例外状態」はある。西欧での例外状態の由来や変遷を論考する。今次国会の安保法制も事前にこの間隙を埋めるため、というのが一つの理屈ながら、誰が強権を振るうのか? 日本で行政府の長が振るうことを認めるとすれば危い。間接民主制で議院内閣制。そこまでの信認を付与していないというのが実感ではないか。戦時と平時は同時に存在しうるが。
読了日:7月9日 著者:ジョルジョアガンベン
支那米の袋 (青空文庫POD(ポケット版))支那米の袋 (青空文庫POD(ポケット版))感想
1人称小説、夢野自家薬籠中の独白体小説。浦鹽なんて言葉(ウラジオストックのこと)が出てきたり、被虐趣味の女性が出てきたり。筋立てはご存じどんでん返し。でも読んでいて江戸川乱歩(1894年生)とか横溝正史(1902年生)とかを連想していました。ちなみに夢野は1889年生、でした。
読了日:7月9日 著者:夢野久作
少女地獄 (1976年) (角川文庫)少女地獄 (1976年) (角川文庫)感想
最初に読んだ時はこの文庫本。再読したのは先日届いたキンドル。昭和の文庫本は活字が小さいので老眼にはつらいと思っていた矢先に、電子書籍を薦められて、ついに手を出す。Amazonで書籍検索をしているはずがいつの間にか青空文庫につながっていて、代金は0。確かに著作権切れだから当たり前なのだけど、何か不思議な感じもする。電子書籍、まだ使い慣れていないので何ともいえないけど、数ページすっ飛ばして読むこともあるので、愚直に指で送るのが何か億劫。まさか夢野久作にこんな形で再会するとは思っていなかった。相変わらず新鮮。
読了日:7月9日 著者:夢野久作
「皇国史観」という問題―十五年戦争期における文部省の修史事業と思想統制政策「皇国史観」という問題―十五年戦争期における文部省の修史事業と思想統制政策感想
「国体」という特殊な価値を体現している国家に対する絶対的優越感=観を「皇国史観」。文部省の役割が大きいことが分かる。1935年の天皇機関説事件を契機に2度に渡る国体明徴声明、満州国、北支への進出に関連しての田中智学による「八紘一宇」の提唱等々。「国体の本義」「臣民の道」の発行、高文試験での国史必須化と官製歴史書「国史概説」の登場……。すべて帰納されるのは当時の歴史学界の空気になかったか。「近代に於ける学問=『純正史学』と教育=『応用史学』」という二重構造、つまり「密教と顕教」の関係を受容してきたことに。
読了日:7月8日 著者:長谷川亮一
英国二重スパイ・システム - ノルマンディー上陸を支えた欺瞞作戦英国二重スパイ・システム - ノルマンディー上陸を支えた欺瞞作戦感想
偵察衛星も、インターネットや携帯電話の傍受も存在しなかった時代の話。第二次世界大戦の欧州戦線の一つの転換点だったノルマンディー上陸作戦に関しての情報戦の裏話である。英情報網の優秀さを裏付けるような話で、今は米がそんな覗き見の仕事を一手に担っているのだろうな、と。本書に出てくるのだけど、駐独大使であった大島浩陸軍中将が日本向けの外交電がほとんど連合国側に筒抜けだったという逸話は国内の有様を示すようなエピソードだ。独中枢の意向を知らせることとなった情報は詳細で多岐だったという。日本陸軍の性格を示すようだ。
読了日:7月6日 著者:ベン・マッキンタイアー
小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 (新潮新書)小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 (新潮新書)感想
戦後家庭料理史、日本の女性史である。昭和前半生まれの世代は家の伝統料理や知恵を知らずに育った。家事を覚える時期が戦中戦後の混乱と飢餓の時代。家事負担の煩わしさから開放を意図して子の世代に教えなかった、られなかった。で、昭和後半生まれの世代も料理に苦手意識を抱き、「オレンジページ」などに依った。高度成長期を挟んで家族構成、住環境が変わった。バブル期を挟んで家計構造が変わる。伝統的な調理法は残せないのだ。そこで旗手として現れたのは小林と栗原。2人に限らず多くの料理研究家を紹介し、内容を充実させた好著!!
読了日:7月3日 著者:阿古真理
山賊ダイアリー(6) (イブニングKC)山賊ダイアリー(6) (イブニングKC)感想
相変わらずの「山賊暮らし」ぶり。だいぶ板に付いてきたというか。ハト、ウサギ、カモ、たまにシカ、川にコイを釣りにいく話まで。ストレートに話が展開していかないのが、らしいといえばらしくて、いいのかも。筆者が住んでいるのがやはり岡山。中国山地はやはりこの辺とは少し、山の様相が違うのかもしれません。今、住んでいる辺りでは狩猟期間に入ると、イノシシを狙うハンターが結構います。害獣駆除でシカも対象になります。もっとイノシシが話に出てくるかなと思いつつ……。この巻はDVD付きverもあるのですが、通常版です。
読了日:7月2日 著者:岡本健太郎

読書メーター
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2015年07月01日

★2015年6月に読んだ本。

2015年6月の読書メーター
読んだ本の数:28冊
読んだページ数:7777ページ
ナイス数:684ナイス

人物で語る数学入門 (岩波新書)人物で語る数学入門 (岩波新書)感想
高校時代、三角、微積、数列、行列式と続いた辺りで挫折した記憶の下、この本を読み始め、頭から読解は無理と判断。ただ、古代ギリシアでピタゴラスやユークリッドに始まった数学は、16世紀のデカルト、17世紀のフェルマ、デカルト、ライップニッツ、18世紀のオイラー、18世紀のガウスと才能と好奇心を繫ぐように発展したことだけは分かった。さらに特に中世の数学者の多くは大学では哲学や法律学、神学などを修めた訳で、高校時代の恩師に「数学は理解することではなく、考え方を学ぶことが大事なのだ」と後にいわれたことを思い出した。
読了日:6月30日 著者:高瀬正仁
時代を刻んだ貌―田沼武能写真集時代を刻んだ貌―田沼武能写真集感想
金高堂本店で見付けた。人物写真というのは難しい。表情、構図、カメラのレンズと被写体との間の空気も写る。言動や言葉が写真から聞こえてくるような1枚が続いている。背景の絞り込み加減まで緻密に神経が行き届く。更に編集も見事だ。1人1ページ、志賀直哉〜永井荷風〜谷崎潤一郎〜佐藤春夫〜里見クと続く。ページをめくるのが本当に楽しくなる。向かい合わせに載っている三島由紀夫と石原慎太郎。被写体が本の中で語り合っている如く。中でも向坂逸郎と吉田健一。見事だ。写真家という職業に就いて人生が豊かになったと結ぶ氏。続編に期待。
読了日:6月28日 著者:田沼武能
きのう何食べた?(10) (モーニング KC)きのう何食べた?(10) (モーニング KC)感想
月1度のペースで連載して単行本はほぼ年に1回。そのペースに乗って主人公のシロさんとケンジというカップルの生活は少しずつ変わっていく。親の老い、勤め先での立場や役割分担の変化、そして何より自身の身体。そのわずかな変化を1話に仕立て上げていく上手さ。同時に生活のリズムを自然に見せていくのが料理。季節の移ろいと共に取り上げられるメニューが変わり、1年が過ぎていく。時の流れを読む愉悦というべきか。日々の生活で節目になるのが2人の食事。相変わらず段取り、手際の良さには感服するばかり。食べることって大事だな、と思う。
読了日:6月27日 著者:よしながふみ
へうげもの(20) (モーニング KC)へうげもの(20) (モーニング KC)感想
BSマンガ夜話で取り上げられたのがきっかけで読み始めたこのマンガも早20巻。この巻では大久保長安、高山右近が舞台から退場し、古田織部の身辺は本当に寂しくなってきた。登場人物が円熟してくるにつれて、筆致も内容も一緒に成熟している気がする。もうすぐ大阪冬の陣。最期の時が近づいている。
読了日:6月26日 著者:山田芳裕
世論調査とは何だろうか (岩波新書)世論調査とは何だろうか (岩波新書)感想
筆者はNHK放送文化研究所世論調査部副部長。世論調査とは何かを易しく解説した本。統計の専門的な知見や論理、解析が大きな比重を占める分野だが、報道記者から現職に移って「参与観察」したルポである。週刊こどもニュースの3代目おとうさんの面目躍如。調査の意味、起源から方法、調査の実態、将来の姿まで縦覧する。偏差、調査の母数、無作為抽出、RDD等々用語説明も明解。就中重要な部分は分析の手法。常に調査には誤差があり、調査者のバイアスが掛かる、ビッグデータの読み誤りがあるという謙虚さを強調する姿勢は筆者ならではの視点。
読了日:6月26日 著者:岩本裕
選書日本中世史 2 自由にしてケシカラン人々の世紀 (講談社選書メチエ)選書日本中世史 2 自由にしてケシカラン人々の世紀 (講談社選書メチエ)感想
所謂、南北朝から室町時代という区分に関しての本。摘まみ食い感はあるけど、先行研究を紹介していく。例えば日本の「公」という言葉は「小宅(おやけ)」に対しての「大宅(おおやけ)」という概念から生まれたと説いたり、太平記を土台に「公」と普通の人の関係が変動した時期を分析したり。中で京都で起こった飢饉が流通システムの破綻に起因するものから、流入人口増で供給が間に合わなくなった原因に分かれるとか、尊氏が見物した田楽と義満が見物した猿楽での観客の差とか。ある意味で旧世代と新世代の確執が時世を動かすのかもしれない。
読了日:6月26日 著者:東島誠
昭和陸軍全史 3 太平洋戦争 (講談社現代新書)昭和陸軍全史 3 太平洋戦争 (講談社現代新書)感想
日米開戦について「中国市場の争奪戦というより、英国とその植民地の帰趨を巡って始まった」と説く。この巻での視座は、日米開戦当時の武藤章陸軍省軍務局長と田中新一参謀本部作戦部長の2人。知性があり、適切な判断をする時もあれば、居丈高になって決断を誤る時もあり。満州事変以降、同じ人間が、時間軸の中で揺れるのが不思議。ただ日、中、独伊、ソ、米英と各々思惑があり、力関係があり、状況判断がある。一局面を見て結論は出せない。日本の力の実態を把握すれば、誰も米国相手の戦いに勝機を見いだせていなかったことは確かに明白だが。
読了日:6月26日 著者:川田稔
草原からの使者―沙高樓綺譚 (文春文庫)草原からの使者―沙高樓綺譚 (文春文庫)感想
先ず以て有川浩の解説が秀逸!! 下ネタは作家にとって禁じ手なのだけど、書き手によってはファンタジーとして成立しうると説く。確かに最後の1篇「星条旗よ永遠なれ」は男性が「打ち止め」になると旗が飛び出すという逸話だ。米退役軍人と日本人妻の人情話に仕立てているのが何ともすごい。表題作「草原からの使者」は浅田にとっては自家薬籠中、お手のものの話だ。ただ当時の競馬場で特券を大量に刷り出す話や、「星条旗〜」で「米国では隠居ができない」という主人公のつぶやきなど、洒落た警句に満ちているのが、この人ならでは。続編を期待。
読了日:6月23日 著者:浅田次郎
選書日本中世史 1 武力による政治の誕生 (講談社選書メチエ)選書日本中世史 1 武力による政治の誕生 (講談社選書メチエ)感想
中世日本の枠組みを考える上で黒田俊雄が提唱した「権門体制論」は斯界で支持されているそうだ。だが筆者は異議を唱える。単純化すると、天皇であれ、寺社であれ、武力の前には無力なのだと。論証のために手紙(綸旨、御教書、直状等々)の遣り取りを追跡したり、「取次」等の役職(中枢と地方を繋ぐ役目)の人物を詮索したり。実証的で説得力があります。また戦前の皇国史観の影響を清算しきっていない、という指摘は興味深い。唯物史観でも尚武の気風は続き、網野善彦の出現が別の時流を形成したという。社会科学の学徒たらんとする筆者に拍手。
読了日:6月22日 著者:本郷和人
選書日本中世史 3 将軍権力の発見 (講談社選書メチエ)選書日本中世史 3 将軍権力の発見 (講談社選書メチエ)感想
日本史の教科書ではさらりと済ます南北朝時代。混乱の極みでした。兄弟で足利政権を作ったかと思えば離反して南朝に合流したり、北朝の血統が絶えかかったり。武力による政権は源頼朝(或いは平清盛)以降に成立したとされつつも、「太政官符」「官宣旨」といった朝廷由来の文書の効力が有効だったことから権力構造の複雑さを読み解きます。南都北嶺といった宗門勢力もいる。最初は為す術なかった武家政権も3代義満の後半になって武力鎮圧という手を発見するまでの話です。最終章の「公家と武家」を最初に読むとよろしい。ま、古文書の鬼の本。
読了日:6月20日 著者:本郷恵子
ナチスの財宝 (講談社現代新書)ナチスの財宝 (講談社現代新書)感想
ルポは新聞記者にとって入門編です。藝として確立するのは難しい。あったこと、見たことをそのままに書いていては成立しないから。その点、この本は至芸の一つかもしれない。旧ソ連レニングラードの宮殿にあったモザイク画が旧独軍に略奪され、戦後摘発されることから話が始まります。琥珀の間の財宝の追跡がナチスの残党が南米に逃れた話に転じ、ロンメル将軍の財宝(山下将軍の財宝の話に似てます)になり、最後はヒトラーの美術館建設の野望まで一気に進んでいきます。昨今評判のフェルメールもその中の1枚。確かに戦後ドイツの裏面史です。
読了日:6月20日 著者:篠田航一
ぼくらの近代建築デラックス! (文春文庫)ぼくらの近代建築デラックス! (文春文庫)感想
共同筆者の門田慶喜曰く「建築は建築家だけではなく施主、大工、政治家、華族、軍人、小説家……。建物の周りには様々な人がいる。逸話と物語の宝庫。自動車評論家の徳大寺有恒が言うように『車の楽しみは結局は人間の楽しみ』」と。そこに尽きる。辰野金吾の3大万歳、大阪で活躍した渡辺節、宮廷建築に活路を見出した片山東熊、妖怪の主伊藤忠太、傍流の王妻木頼黄などなど草創期のメンバーから多くの職人上がりの建築家まで。2人の談論風発つきることなく楽しい。嘗ての藤森照信の「建築探偵シリーズ」に続く文脈。2人の異能の作家に拍手。
読了日:6月19日 著者:万城目学,門井慶喜
幕末から維新へ〈シリーズ 日本近世史 5〉 (岩波新書)幕末から維新へ〈シリーズ 日本近世史 5〉 (岩波新書)感想
教科書の日本史とはひと味違う立体感が楽しい本。11代将軍家斉の時代から話は始まる。16人の妻妾から男児26人・女児27人を作ったこの方は寛政の改革の一方、財政的な窮乏と権威低下を招く。川越藩、庄内藩、長岡藩を同時に転封する三方領地替えは継嗣家慶が取り消さざるを得なくなり、天保の改革も失敗。ナポレオン戦争や毛皮用のラッコ猟で北辺に外国船が近づく。金と力がない中で頼った天皇の権威にいつか将軍家側も振り回されるようになる。国内と国外、江戸と京都、地方。学問の進捗と貨幣経済等々。同時代を輪切りにしてみせる愉悦。
読了日:6月17日 著者:藤田覚
しをんのしおり (新潮文庫)しをんのしおり (新潮文庫)感想
2005年刊。弟や友人との日常生活の中で妄想を膨らませ、文字化していく。明晰な文章であるにも関わらず、自由奔放な乙女の心は追いかけるのが大変だ。ただ時に見せる才が恐ろしい。古今集の凡河内躬恒の口語訳(乙女訳というべきか)は見事だし、BUCK-TICKの追っかけをし、宝塚歌劇に心を躍らせる姿にはまた掬すべきものがある。これらの随筆(というか雑文の分類という方がふさわしい)は筆者の「小説」という創作活動の余技という範疇ではなく、大いなるジャンピングボードになっているのが分かる気がする。文の落差がすごい。
読了日:6月16日 著者:三浦しをん
日本の名作住宅の間取り図鑑 (エクスナレッジムック)日本の名作住宅の間取り図鑑 (エクスナレッジムック)感想
一般庶民の家は別としても、家というものが常に「来客」を想定して作られてきた歴史と読み解けると思います。客と家人の動線を別にするために「中廊下」ができたり、「表」と「奥」の区別や、店と奥の別であったり。便所が2カ所になったり、洋館風の建物がくっついたり。ただ時代が下がると、家の敷地としての広さを確保することが難しくなること、家族の単位が核家族化することなどから、家がプライベート空間としての意味が強くなっていく過程が見えます。この本は江戸〜昭和の住宅を取り上げているのが一種の生活史となっています。
読了日:6月15日 著者:大井隆弘
空海はいかにして空海となったか (角川選書)空海はいかにして空海となったか (角川選書)感想
正直に言います。すこぶる学術的でありまして、広汎な史料を博索して、そのわずかな断片から佐伯真魚から空海へと変身していく過程を探ろうとしているのですが、いささかに全体像が見えにくい。個別の挙証がどう本体に繋がっていくのか、博学の士には何も苦にならないのであろうと拝察しますが、ちょっと選書という形態では難解に過ぎる気がしています。行間から実に篤学の士である様子は伝わってくるのですが。
読了日:6月13日 著者:武内孝善
道路の日本史 - 古代駅路から高速道路へ (中公新書 2321)道路の日本史 - 古代駅路から高速道路へ (中公新書 2321)感想
筆者は1925年生の元建設官僚。日本道路公団などを経て関連法人の道路歴史研究所理事長。古代の駅制に始まる道の概念と現代の高速道網の発想が近いとか、移動手段が古代の馬から近世の徒歩に変わると道も姿を変えたという指摘や、名神高速を開通させる際に世界銀行から招いたワトキンス、道路計画のドルシュ、土質・舗装のソンデレガーという「お雇い外国人」の教えを受けた世代である筆者の感慨は興味深い。また国交省、農水省、各地方自治体と管理主体がばらばらな道の規定を一元化する「道路総合法」の制定提唱は正論だけど実現するかな。
読了日:6月12日 著者:武部健一
桃色トワイライト (新潮文庫)桃色トワイライト (新潮文庫)感想
大河ドラマの「新撰組」が登場しているから、2004年ごろの連載なのだろうか。掲載誌は分からないけど。この方の随筆はすこぶる楽しいので手を伸ばしたけど、本書では筆者のスピード感について行けなかった。ニヤッとしている間に対象物は遠くに走り去っているような感じ。残るは真抜けた己が顔ということになる。このスピード感(というかものを事柄を省いていく感覚)について行ける人にはおもしろいし、共感できる1冊なのだろうけど。「爆笑の大人気エッセイシリーズ」という売り文句に取り残された自分が……。
読了日:6月11日 著者:三浦しをん
日本木造遺産 千年の建築を旅する日本木造遺産 千年の建築を旅する感想
これも木造建築か、と思う。就中佳いのが、菅の舟頭小屋。のべ床面積約1坪。畳1畳と土間。生活ができるのだ。川崎の日本民家園にあるらしい。福井・大瀧神社、岩国・錦帯橋等々、写真に惹かれて買った1冊。藤塚光政の写真がいい。で、巻頭を飾るのが播州小野の浄土寺浄土堂。実に素敵な堂内なのだが今は撮影禁止なのだそうだ。昔の写真を所収しているけど、それがまたいい。空撮(たぶんドローン)写真があるのだけど、氏のこの写真の類の方はまだ練度が低い気もする。藤森照信センセイの説明文、腰原幹雄氏による構造説明と、行き届いた1冊。
読了日:6月11日 著者:藤森照信
小説を、映画を、鉄道が走る (集英社文庫)小説を、映画を、鉄道が走る (集英社文庫)感想
連想に任せて、鉄道が出てくる映画、小説を綴っていく。随筆だから仕方ないけど、読み進めると発想について行くのにちょっと疲れる。でも映画「張込み」、小説「オリンピックの身代金」の夜行列車、林芙美子の「房州白浜海岸」、吉村昭の「東京の戦争」などを含む一篇は心に残る。映画に当時の風景が残っていることの意味を説かれて成程と。「砂の器」再読したくなった。個人的に印象的だったのは旧制一高時代の芥川龍之介が外房での海水浴について書いた一文。「海水浴と云うのは名ばかりで実は波にぶんなぐられにはいるのだから堪りません」
読了日:6月11日 著者:川本三郎
ハルビン駅へ 日露中・交錯するロシア満洲の近代史ハルビン駅へ 日露中・交錯するロシア満洲の近代史感想
ロシアの根底に流れる汎スラブ主義。欧州からアジアまで制覇するのが歴史的使命感と遅れてきた帝国主義国としての現実。東清鉄道を創設し、資金的な裏付けを担った露清銀行を設立して話が始まる。中心がハルビンという新しい町。鉄道が荒蕪の地を開発の拠点に変えた。利権が生まれればロシアの大蔵省と外務省、陸軍省との主導権争いが生まれる。軍人、旧教徒やユダヤ人の入植、満州の大豆輸出が経済活動を生み、日清、日露の戦争を経る間に力関係が変わっていく。ユーラシア大陸の西から満州、朝鮮を観るを視点が新鮮。結論を先に読む方が楽かも。
読了日:6月9日 著者:ディビッド・ウルフ
メディアの苦悩――28人の証言 (光文社新書)メディアの苦悩――28人の証言 (光文社新書)感想
わずか1年余ほど前の本だけど、中身の一部はもう古くなっている気がする。活字媒体というか、テレビというか、既存のメディアのありようというのはいよいよ分からなくなっている気がする。そして重心が偏った時にどうするのか……。
読了日:6月6日 著者:長澤秀行
侍従長の回想 (講談社学術文庫)侍従長の回想 (講談社学術文庫)感想
元・中公文庫所収。1944年8月から1946年5月まで、侍従長として昭和天皇に仕えた人の随筆。1次史料として読む場合には注意が要る。第1に旧海軍出身であること。畢竟旧陸軍系統の人物評は辛口になる。第2自身の見聞を見極めること。8月15日の記述、朝日新聞を引用している。多分、二重橋前の光景を見ていない。ともあれ動乱の時期に日本の中枢にいた者が記憶を基に綴った文という点で値打ちがある。映画「日本のいちばん長い日」の描写に色濃く反映している。また、学術文庫版の価値は保阪正康の解説の部分。先に読んだ方がいい。
読了日:6月6日 著者:藤田尚徳
満州事変から日中戦争へ―シリーズ日本近現代史〈5〉 (岩波新書)満州事変から日中戦争へ―シリーズ日本近現代史〈5〉 (岩波新書)感想
加藤陽子は分かりやすい本を書く人ですが、この本の内容を平明にするためには3分冊くらいにしないと無理です。読者は観覧車に乗ったつもりが、昨今流行のジェットコースターに乗せられていたようなものです。書いてある内容は理性的、中立的で学術的ですが、新書で1冊という体裁、分量に、このいくつもの補助線(外交、世界情勢、財政金融、陸海軍と各国の軍事力、国民の生活などの統計資料などなど)が必要な事象を収めていくのは無理です。満州事変以後を書いたいい本ですが、教科書から1歩進んだところで、という時にはおすすめできないです。
読了日:6月4日 著者:加藤陽子
満鉄調査部 (講談社学術文庫)満鉄調査部 (講談社学術文庫)感想
国策会社の満鉄で植民地経営の企画立案を担ったのが同社の調査部。赤化するロシアとの関係の研究が入ってきたり、世界が中国大陸の権益に注目する中で始まる15年戦争の中、満州に留まらず広く日本の権益を探る機関に変貌していく。今日考えている以上に共産主義的な考え方は魅力的に映った部分があり、左傾する者もいたり、関東軍を中心とした軍部に阿る部分もあったり。ただ、この時に身に付けた感覚は戦後、自民党を中心とした政治体制の中でも大きな影響を残したのは事実。例えば椎名悦三郎。概説的な内容。なお本書は平凡社新書の再編版。
読了日:6月3日 著者:小林英夫
沙高樓綺譚 (文春文庫)沙高樓綺譚 (文春文庫)感想
前回勧めた2篇を再読。「小鍛治」の方は読み返すと、探偵小説の鉄則「ノックスの十戒」にあるとおり、前半に登場した人物が最後に鍵を握っているという仕掛けであり、モデルの人物をだれに想定するかも楽しい。蒼風か太郎か? 「雨の中の刺客」の方は何でもない別れが最後の引き金になっていく。日常生活にはそんな瞬間があちこちに転がっているのだと改めて思う。 そして全編。沙楼のモデルというか、イメージには、華道家の栗アfが2000年代初頭までやっていたという六本木の高級ゲイバー「西の木」のイメージが投影している気がする。
読了日:6月2日 著者:浅田次郎
沙高樓綺譚 (文春文庫)沙高樓綺譚 (文春文庫)感想
1編目の「小鍛治」と5編目の「雨の中の刺客」がいい。前者は刀剣鑑定を家業とする友人が主人公を秘密の会合に誘うことから話が始まる。自然な展開で刀剣の「折紙」を付ける鑑定作業、また出自不明の名刀が現れ、話が展開していく。後者は高度成長期に博徒系ヤクザに入り込んだ男が綾なすままに斯道の真ん中を歩く羽目になった回顧談。「天切り松」の口調に近く、話の流れが自然だ。「誇張や飾りを申されますな、聞いたら夢にも他言なさいますな」という女装の主人の台詞は、濃いビロードのような世界を作り出す決め台詞か。解説の百田尚樹が蛇足。
読了日:6月1日 著者:浅田次郎
増補 八月十五日の神話: 終戦記念日のメディア学 (ちくま学芸文庫)増補 八月十五日の神話: 終戦記念日のメディア学 (ちくま学芸文庫)感想
第2次大戦が終結して今年で70年。日本で終戦記念日といえば8月15日になる。だが歴史的には昭和天皇の降伏詔書が公表された日であり、ポツダム宣言受諾は8月14日、降伏文書の正式締結は9月2日になる。1945年からしばらくは、8月14日や9月2日の記憶が残っていたものの、記憶が8月15日に収斂された過程を記した本。政府の戦没者追悼式典や昔からの旧盆の習俗が重合した結果ながら、筆者の言う如く、8月15日は戦場銃後や敵味方の別ない慰霊の日とし、無条件降伏した9月2日を敗戦の日と分けた方が昨今の議論が明解になる。
読了日:6月1日 著者:佐藤卓己

読書メーター
posted by 曲月斎 at 15:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月01日

☆4月に読んだ本

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2404ページ
ナイス数:186ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/25109/matome?invite_id=25109

■「二〇世紀民俗学」を乗り越える―私たちは福田アジオとの討論から何を学ぶか?
「民俗学は滅んでも仕方ない」という惹句に読み始めた本だけど、論議のための論議、神学論争のような印象だった。人口減少の中、集落自体が消失し、学問の手掛かり自体が消失している中、今に生きる学問としての道を模索しようとしているのは分かるけど、それ以前に、研究の手法が衰退し、長いスパンで考える土壌が流しているのではないか、ということだけは分かった。いくら国や県、市町村が無形文化財の指定をしても、それ自体がなくなっているのが現実だから。
読了日:4月29日 著者:福田 アジオ,菅 豊,塚原 伸治
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28281360

■聖書考古学 - 遺跡が語る史実 (中公新書)
「旧約聖書考古学」の方が相応しい。旧約聖書の中でもモーゼ5書の「律法」、続く史書の「預言者」部分を重点に、考古学の成果と付き合わせて、史実を探るのがこの学問。探るというより、むしろ伝承者意図考察すると言った方が正解かもしれぬ。中で筆者が「旧約聖書と古事記の構造、成立過程」の類似性を指摘しているのは、面白かった。極東の日本で古代オリエント史の参究に励む筆者に敬意。ただ図版をもっと挿入し、見やすい位置におくこと、さらには頭の中を整理しやすいよう年表、系譜をいれるなどの工夫が欲しかった。馴染みが薄い世界だから。
読了日:4月28日 著者:長谷川 修一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28264078

■サムライとヤクザ: 「男」の来た道 (ちくま文庫)
「男伊達」「達引き」等々、ジェンダーの観点からは少し埃をかぶった感のある言葉だが、どっこい生きて使っている。男という概念を探った1冊です。 武士道なるものが成立するまで、「かぶき者」=無頼の町奴が出現したという。そして幕政下の綱紀粛正で存在が滅んだ後、今度は大名の籠かきなど、現業部門を担うガテン系の「陸尺(ろくしゃく)」という存在が生まれ、幕末期には単なるホワイトカラーと化した武士に変わり、兵役を担ったという。さらに明治期に至ってのやくざへの進化はご存じの通り。面白い1冊。ただ「ちくま新書」の再版です。
読了日:4月24日 著者:氏家 幹人
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28143462

■ゴルフは寄せとパットから考える (日経プレミアシリーズ)
3年間、ゴルフと付き合って、素敵だなと思った選手の1番手。日本ではなかなか生のプレーを見る機会はないけど、スタイリッシュという言葉がぴったりです。 そんな今田竜二の本です。 62度のロブウエッジを軸に、パッティングに対しての考え方も、すこぶる示唆に富んでいて楽しい本です。彼と同じような感覚を持っているのは、池田勇太ではないでしょうか。 ただ、聞き書きの編集が稚拙。同じ話が重複したり、聞き手の技量のなさで、もう一押し、引き出せる言葉があったのではないかと。その点が惜しまれます。PGAツアー復帰を願いつつ。
読了日:4月20日 著者:今田 竜二
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28011923

■不動明王 (岩波現代文庫)
元々は朝日選書の1冊。成田山が1968年に新本堂を落成した際、関係者に配るために筆者に執筆を依頼して上梓したという。 不動信仰というのは身分の上下を問わず受け入れられてきた歴史がある。 前段はその享受史を丹念に紐解いている。空海が招来した密教に於いて効力、主尊の大日如来の化身という位置づけが説かれ、上臈への傾倒を深めて民衆から離れた密教、その一方で地に足を付けた僧もいて広く浸透したとのた指摘は興味深い。 後段は大日経やその注釈書、法会の在り方などを原典に遡って説く。学識としての自負に満ちている。良心的。
読了日:4月17日 著者:渡辺 照宏
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/27935452

■歴史の愉しみ方 - 忍者・合戦・幕末史に学ぶ (中公新書)
1話3〜4ページで読み切り。歴史の本というと、堅苦しく思えるが裃を脱いだ筆運びに、よどみなく読み進める。 古文書を元に歴史を解明していくというのはごくオーソドックスなスタイルだが、そこに現代の視点(たとえば忍者の労災死亡率とか、新幹線からの関ヶ原見物作法とか)があるのが妙味。 それと、3・11以降、歴史学者として、この問題に取り組もう(特に中世、あるいは東国などの地方の)記録が少ないのを埋めようと決意した辺り、ふと「経済とは経世済民の意、さて文学研究や如何に」と頭を抱えた学生時代の我が身を思い出した。
読了日:4月17日 著者:磯田 道史
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/27935179

■米陸軍サバイバル全書 [新版]
存在を知って、好奇心を持って、読み終えた1冊。 生き残る、生き延びるためには、多くの技術が必要なのだなあ、と改めて実感しました。 再三、出てくるのが「シェルター」という言葉。あと飲料水の確保ということ。 万一の場合は、この2点を本当に考えなくてはいけません。 「煮沸しても浄水剤を入れよ」と重ねて警告しているのが、いかにもアメリカ的。途中で竹槍の作り方まで紹介されていました。 しかし、サバイバルキットだけで、荷物がいっぱいになってしまいそうな気分にもなりました(使えば壊れるという注記もありましたが)。
読了日:4月14日 著者:米国陸軍省編
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/27850546

■大研究 日本の道路120万キロ (じっぴコンパクト新書)
人間が生きていく上で、道という存在は欠かせません。で、日本という国ではどんな道であれ、法律的な根拠があり、設置する人間の意思が働いている。 そういう基本的なことを教えてくれる1冊です。 筆者は「酷道」マニアとして知られている人物。道路にかける愛情?というか好奇心が結実した1冊といえるでしょう。 印象的だったのは旧内務省系の建設省と、旧鉄道省系の運輸省が各々道路を管理してきたということ。今は国交省という名になっていますが……。農道や林道を管理する農水省の存在も。錯綜した権益が今も禍根として残っていますが。
読了日:4月13日 著者:平沼 義之
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/27829641

■地名に隠された「南海津波」 (講談社+α新書)
東海、東南海、南海トラフ地震の津波被害想定域の中の地名から「浜・州・島・田」など、低湿地を含意する地名を拾い出し、過去の被害の記憶を探ろう、というのが本の主題。 ただ、内容は総花的で、このサイズの新書にまとめるのには無理がある内容だ。また、抽出している地名が、国土地理院の2万5千分の1地形図掲載の地名検索で探せる程度のものにとどまっているのが恨みだ。 今は地形図上からも、実生活からも消えている「小字」にこそ、本当は含意は多く含まれていると思うのだが。 ただ旧版の地形図を使ったり、工夫しているのは評価。
読了日:4月11日 著者:谷川 彰英
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/27771494

■戦前の生活: 大日本帝国の”リアルな生活誌” (ちくま文庫)
さらさらと読み進めてしまうのだけど、雑駁な印象は免れない。 旧制高校の学生らのご乱行は北杜夫の「どくとるマンボウ青春記」の世界。阿部定の話も新味にかける。 強いて言えば、当時の物価と今の貨幣価値を換算して実感を持たせようとする努力は買うけど、「都新聞」の社会面の切り貼り、って感じかなあ。 概観というか、戦前の日本がどんな暮らしだったのか、ということを、発見しなおすきっかけにはなるかもしれないけど。
読了日:4月7日 著者:武田 知弘
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/27683893

■カツオ人間写真集
やっぱり高知に住みゆうき、暫時、買うたちや。 写真集になったらまた、違うた趣よねえ。 この本見てパラダイス山本の「マン盆栽」思い出した。マン盆は普通の盆栽にフィギュアを置いたがぁで、物語を可視的にしちゅうがやけんど、この本は実際の景色にカツオ人間を立たせちゅうきに、ただの名所写真集やない。ちゃんと物語を生み出しちゅう。 きもかわ、て言われゆうけんど、ぎっちり愛嬌があるヤツやき。 それと副産物。ト書の高知弁がネイティブに近いき、こりゃぁまことに土佐弁の教科書よねえて、いいゆう人もおる。(方言を修正)
読了日:4月3日 著者:
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/27566920

■カツオ人間写真集
やはり高知に住みゆうき、真っ先にこうたちや。写真集にばなると、またまことにちごうた趣よねえ。 この本ば見てから、パラダイス山本の「マン盆栽」ば思い出したが。マン盆は普通の盆栽にフィギュアを添えることで、物語を可視的にしゆうけんど、この本は実際の景色にカツオ人間をたたせることで、単なる名所写真集ではない、物語を生み出しゆう。きもかわ、とか言われゆうけんど、実に愛嬌があるヤツやき。 それと副産物。この本のト書きで入っている高知弁ば、すこぶるネイティブに近いけん、土佐弁の教科書じゃ、いいゆう人もおりゆう。
読了日:4月3日 著者:
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/27566165


▼読書メーター
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2012年12月01日

11月に読んだ本。

2012年11月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1632ページ
ナイス数:73ナイス

政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)感想
日本が戦前の一時期に経験した政友会と民政党の2大政党制。現下と比較し、筆者は「既視感がつきまとう」と記す。氏は民政党に見立てた民主党には官僚を使いこなすことを学べといい、政友会に見立てた自民党は東北の農村から東京のスラム街まで調査して政策を導きだそうとした例にならい、包括政党を目指せと説く。時間はあるのか焦燥感がわく。民意の複雑な連立方程式の解を求めての連立政権の再編、国民と痛みを分かち合える指導者の出現、政治参加に対しての国民の責任感の回復……。今時の総選挙でも考えるべき課題提示がこの本にはある。
読了日:11月30日 著者:井上 寿一
誰も書けなかった防衛省の真実誰も書けなかった防衛省の真実感想
仕事関係の本。氏の来歴から始まって、防衛大臣としての経験を踏まえ、現場の目線、上からの目線でこの組織を問うた本。文民統制とは政治家(つまり命令権者)がしっかりしているかどうかを問う制度であり、制服組が事務方に入っていない組織は変、ということに尽きるのであります。財務省であれ、外務省であれ、現場を経験して事務次官になっていくのに、この省だけは制服組ではなく内局から昇進していく。そんな歪みを指摘している本です。ただ、昭和史への反省もあり、どこまで新しい人材登用策がとれるか、つまるところ上の力量です。
読了日:11月24日 著者:中谷 元
右でも左でもない政治―リベラルの旗右でも左でもない政治―リベラルの旗感想
これも仕事の関係で読んだ本。 個人的な見解として、筆者が「リベラルの旗」として指摘しているのは @繁栄の基礎となる社会インフラの整備の後、国民や地域社会の主体性にゆだねる A熟柿の政治。国民的な合意形成を重視する。憲法のあり方など政治が前のめりに誘導してはならぬ。 B日米同盟を基軸にしながらも国連中心主義とアジア近隣諸国の信頼関係構築 C守るに値する国づくり D経済至上主義への警戒感を持つこと−− をあげている。首肯すべき点は多い。一歩間違うと夜郎自大になってしまう国民性ゆえに。
読了日:11月23日 著者:中谷 元
お言葉ですが…〈別巻5〉漢字の慣用音って何だろう?お言葉ですが…〈別巻5〉漢字の慣用音って何だろう?
読了日:11月23日 著者:高島 俊男
なぜ自民党の支持率は上がらないのかなぜ自民党の支持率は上がらないのか感想
仕事の都合があって読了。日頃、氏がホームページで書き綴ってきたことをまとめたものであるという。 @1冊の本にしたときには、部立てにせず、時系列の方が読みやすかったかもしれない。 A外交論、防衛論は自家薬籠中のものであると感心した。明快である。 Bその一方で、この本では地方の振興、再生はどうすることから始めるのか、という部分がもっと具体的に持論を展開されていたらよかったような気がする。たぶん、地方にいると、自分たちがいかな状況にあるかという自覚すらないままになってしまう気がするから。
読了日:11月23日 著者:中谷 元
ことばと文字と文章と―お言葉ですが…〈別巻4〉ことばと文字と文章と―お言葉ですが…〈別巻4〉感想
1年経って、読んだのも忘れて再読。今次の評価は前回と逆。「漢字」というツールを使って一定の文化圏を築いてきたこのエリア、発音はどうあれ、文章語として互いに意味が通じ合うという意味で「文語文」という文章が成立してきた、という指摘は新鮮。今まで文語文&口語文という対句は何度となく見てきたけど、これが一番明解な考え方です。落ち着いて読むと違うものですな。ただ、表題部分の約130ページが出色。外地での日本語教育や「閩妃殺害」の話はちょと筆者のお好み、なのでしょうな。
読了日:11月20日 著者:高島 俊男
未完のファシズム: 「持たざる国」日本の運命 (新潮選書)未完のファシズム: 「持たざる国」日本の運命 (新潮選書)感想
上手い本です。15年戦争の末期、「持たざる国」日本は精神力ですべてを解決することに一縷の望みをかけた。でもこの発想は実は第一次大戦の戦訓から「持たざる国」という自覚の下に展開していったことであると立論して見せます。「短期決戦で」と考えた小畑敏四郎、「持てる国への変容を」と考えた石原莞爾&田中智学、「精神力で」と考えた中柴末純、そして末期を看取った酒井鎬次−−。各々狂気と自覚しつつ突き進んだのがよく分かります。そして「統制派」と「皇道派」の違いを明快に説いた本。狂気と正気は紙一重です。何より後書きが秀逸。
読了日:11月5日 著者:片山 杜秀

読書メーター
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2012年07月02日

放置状態

このところ、完全に放置状態ですね。

最近はフェイスブックを試しています。
もし、小生の本名をご存じの方はそちらにアクセスを。

性分的にはブログが一番、合っている気がしているのですが・・・。
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2011年12月14日

iPad登場

ついに私の手元にもiPadが登場しました。
会社の職場の忘年会の福引きで手に入りました。
いざ手元にもiPadが登場してみると、通信環境の整備が必要。
Wi-Fiを導入、値引きを利用してノートPcを購入。

何かと時勢について行くのは、大変ですな。
posted by 曲月斎 at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月04日

某月某日。

・某日。
風邪である。
もう妙な空咳は2カ月は続いているだろう。
タバコが一因であるのは明らかなのだけど、やめられない。
タバコが極端にまずくなると、こりゃ風邪だと判断している。

咽頭通、全身の倦怠感、鼻づまり、咳、黄褐色の痰。決していい状態ではない。
静養が一番なのだけど、そうもいかない。

でも今週は火、水の仕事を吹っ飛ばし、関西への出張を取りやめ、週末の上毛への出張だけに絞るようにする。もう体が持たない。

・某日
TBSがまた横浜の譲渡先を探しているそうだ。今度はモバイルゲームの大手だそうだ。
確かに民間放送が球団を保有するというのは時代遅れだし、収益が上がる事業でもない。
コンテンツとして魅力もない。
ただ、日本の場合、球団保有がビジネスとして成立していない。
アメリカなら、収益を上げる体質にして転売するという投資も成り立つけど、日本ではそういう素地がない。
しかもプロ野球の球団は公共財だ。
フランチャイズの移転はそう容易ではない。

セ・リーグは特に、変化の時期を逸してしまった。それは巨人戦があったからで、親会社もそれに依存する経営体質が色濃い。でも当の巨人がもはや地上波デジタルで放映しなくなっているくらいだ。
何か、プロ野球に熱狂できる人が羨ましい。

今までスポーツに種々の形で接してきたけど、それは職業としてであって、ナショナルパスタイムのようなものではない。何に興味を持ったかといえば人にであって、それ以上でも以下でもない。

先が見えてしまうとどうも面白くはない。

・某日
仙台だった。
仙台といえば、牛タンに笹カマボコである。
牛タンは別項で書いた通り。今回は素晴らしい店を教えてもらった。
で、笹蒲鉾である。
長年、土産といえば、鐘崎の「大漁旗」を選んできた。今はなきおおばひろしのイラストが何となく好きな所為もある。

でも、地元のタクシーの運転手氏に訊くと「白謙(しらけん)がいい」という。何でも石巻の産だそうで、仙台駅にも出店があるという。

阿部蒲鉾店や鐘崎はあちこちにあるのだけど、この白謙は1カ所だけ。新幹線の中央改札口の左手にあるだけだ。やっと探し当てて、手に入れる。
実は石巻には2大メーカーがあり、一方がこの話題の白謙、もう一方が粟野蒲鉾店

運転手氏曰く、「昔は粟野が一番だったんだけど、少し甘口で」
食べ比べていないので何とも言えない。ちなみに粟野蒲鉾店も仙台駅の新幹線中央改札口の右手にあります。

なお、個人的には白謙の紅ショウガちぎり天が結構うまいと思いましたな。

・某日
名古屋である。
美濃忠である。

ちょうど栗蒸し羊羹である。image01.jpg
なぜか黒糖風味のカステラ地とつなぎ合わせになっていて、風趣に富む。
いい味です。

加えてなぜか本店で
castella2.jpg
味噌カステラが売っていました。
八丁味噌味のタレが表面に塗ってある、これもまた豆味噌王国名古屋らしい味。

秋は和菓子店にとっては腕の見せどころですな。

今年は栗粉餅を食べ損ねたのが恨みに残っているのでありました。
posted by 曲月斎 at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月25日

「国鉄列車ダイヤ千一夜―語り継ぎたい鉄道輸送の史実」

再三の事故や事件が起こった組織ほど、その再発に懸命になるもんです。
その点で船舶と鉄道はミスの集大成みたいなものです。
逆の例が今回の原発といえるでしょう。
国鉄列車ダイヤ千一夜―語り継ぎたい鉄道輸送の史実 (交通新聞社新書) [単行本] / 猪口 信 (著); 交通新聞社 (刊)

手痛い犠牲を繰り返すうちに、限られた資源の中でどう鉄道輸送を安全に進め、大量に速く、旅客や荷物を移送するのかというテーマに取り組んだ人々の苦闘の歴史です。

勿論、コンピューターなんてなかった時代の。
線を引くだけの話なら面白くなかったかもしれません。山陽新幹線開業時に想定外の16分の遅れをどう解消するかの工夫や、各鉄道本部ごとの葛藤もあって興味深い。安芸の宮島で全国の担当者があつまって会議をしたというのも時代を感じさせる話です。

ファクスもなかった当時、列車の遅延や運休、臨時列車の増発、運休、貨物列車の運行や回送車の運行などなど、多彩な情報が指令から駅長へそして運転手や駅員にと伝わっていた時代、鉄道電報や鉄道電話が果たしていた役割、各指令が藝のように捌いていたサマを見ると。頭が下がります。

ただ、今日の経済優先の世の中にあって、消えていった急行列車や、時間のかかる長距離列車の復活はぜひ果たして欲しいことであります。かつての京都〜下関(山陰線経由)や新宿〜松本(中央線、篠ノ井線)列車は復活して欲しいですね。これは高齢化社会にニーズにも合っていると思うのですが。
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2011年01月07日

年始。

年始は異様にアクセス数が跳ね上がる。
その理由は……。

だいぶ昔に、浅草寺など天台系で広くつかわれて居るおみくじの中身をばらした記事があるからで、普段にないようなアクセス数になるのである。

そういえば浅草寺におみくじをひきに行かなくなって何年にもなる。今年は行ってみるかな。

さて。
きょう6日はなじみの飲み屋の始業日。
まず野毛・若竹に行ってお年賀。一応、FFにも挨拶を忘れず。
で、アポロに廻って、知人と別れてから、ALC。

つまらない儀礼かもしれないけど。
人間ってもらったこと、あげたことって、妙に覚えているもんです。
お年賀もそう。

妙な記憶に残る以上、そこそこのものを、ということで、選んだのは美濃屋の栗蒸し羊羹。

各、お店ともに、今年もまたお世話になります。
posted by 曲月斎 at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月15日

マウスピース。

最近、寝るときにマウスピースをつけている。

左下の奥歯が歯周病になってしまったのは、もう1年余も前。
後輩のJ歯科医師が熱心に歯石を取り、抗生物質を注入して、と手当を尽くしてくれたおかげで徐々に症状が治まってきた。

J君が最後に持ち出したのはマウスピース。きちんと型をとり、オーダーメイドである。

何でも寝ている間に歯ぎしりなど余計な負荷が患部にかかるといい結果を生まないのだそうだ。
マウスピースをつけるようになって、朝起きたときのモヤモヤ感は減ったような気がする。

人間、寝ていない間は何をしているか分からぬものだ。


そういえば、大学時代にアメフットをしていた畏友がこんなことを言っていた。「プレー中にしゃべらないかんヤツはオーダーメイド、ラインみたいにしゃべらないでいい連中はお湯につけて形を整える安物を使っていたんですわ。もうあんな安物ないやろなあ」マウスピース一つにしても、差別があるのを知った。
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2010年06月25日

ア式蹴球と手形法

どうでもいいんですけど、とりあえず、決勝Tに進出ですな。

要は、闘莉王とか、中沢とかが目立たない試合というのはいい試合、ということなんでしょう。
守備がどうこうという論議をしているア式蹴球よりも、点を取る選手が目立つ試合の方が、はるかに健全ではあると思う。野球でいえば、捕手のインサイドワークが目立つような試合っていうか。

しかし、NHKの放送の夜郎自大ぶり。情けないね。

ところで、手形割引とか、白地手形、融資手形なんていう言葉を最近聞かないと思って、そういう商習慣がなくなっているのかと思ったら、それは「コマーシャルペーパー(CP)」という呼び名に変わっていただけなのね。

何か、日本の知性の低下を感じるのは小生だけだろうか。
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2010年02月03日

携帯電話なしの1日。

きょうは携帯電話を机の上に置き忘れたまま、自宅を出てしまった。
途中で気が付いたけど、もう遅い。取りに戻る時間がないので、そのまま仕事に出たのだけど。

1)ないと、連絡が大変。
少し昔までは公衆電話だけだったけど、今考えると結構、不自由なもんです。それにこのごろは公衆電話自体が減っているし。
サイフの中に入れていたテレホンカード。もうなくなっていました。

2)意外にi-modeを遣っていた
電車の時刻表検索、天気予報、ニュース。遣っていないつもりでも、結構つかっていたんですな。ないとやはり不便。

3)不在着信多数、メールも多数。
不在着信がたくさん。伝言も数件。メールも多数。
こんなに小生にアクセスがあったのかいなと思うくらい。
そんなものかも。

という訳で携帯電話は侮りがたい。やはり。
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2010年01月02日

日本地名大辞典……

timei_kadokawa_n2.jpgこのところ、買いそろえたくて仕方のない本の中に、この角川書店の日本地名大辞典があります。(写真は愛媛県編)

だいたい、1冊が三省堂の大辞林ぐらいの大きさで全52巻(だったかな)もある代物。昭和の大合併までの事象が入っているものです。

同じ趣向で平凡社が地名大系というのを出したのですが、こちらは50音順ではなく本当に地誌という感じだった記憶があります。

角川の本。かつての売値からは今はそうとう下がっています。でも揃いの本を置く場所があるかどうか。

なにこれと手元にあれば検索しそうな本ではあるのだけど。本への妄執なのかしらん。

大晦日の晩。母親がしみじみと言いました。「おまえは子供もないし、独り身なのだから、あの本の山をどうするつもりなのか。先々をもう考えておいた方がいい」と。親の言葉となすびの花、ではあるのですけど、こればかりは妄執の方が先に立ちそうな気がしています。まだ幸いにも空き本棚があるもんで。母親が続けました。「普通ならおまえの部屋には1家4人くらいは暮らせるのに。本がねえ」。何も言いますまい。
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2009年09月17日

ニガウリその後。

2009091716070001.jpgニガウリその後、である。

ニガウリはこのごろ、次々と実っている。
長レイシも丸っこいのも次々。

実は葉っぱの方は結構、黄色くなっているのが目立っているのだけど、その一方で元気なのもある次第。
2009091716090000.jpgとなると、もう少し、このままで置いておこうかなと思っているのであります。

しかし、日がだいぶ南に傾くようになってきました。
日差しが部屋の中まで入ってくるようになっています。
考えてみると、真夏は日中、太陽が南に回っている時は天頂に近いところを通っている訳で、部屋の中にはあまり差し込んでいないんですな。
2009091716080001.jpg
緑のカーテンは日差しを遮るというよりも、物理的な効果とすれば壁面が熱を帯びるのを防ぐ、あるいは葉っぱからの蒸散作用による気化熱を期待する、といった意味なのかもしれませんな。
posted by 曲月斎 at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月06日

「桂吉坊がきく 藝」

桂吉坊がきく 藝
「桂吉坊がきく 藝」

桂吉朝の遺弟子である。

対談の相手は小沢昭一、茂山千作、市川團十郎、竹本住大夫、立川談志、喜味こいし、宝生閑、坂田藤十郎、伊東四朗、桂米朝。
中で面白かったのはやはり自家薬籠中の立川談志、喜味こいし、桂米朝の3人。

なかなかの聞き上手で、こういう弟子を残したのも吉朝の遺徳だろう。読んでいて楽しい本だった。注釈も結構丁寧。

元々は「論座」の連載だったらしいけど、こういう雑誌がなくなったのも、寂しい気がする。

NHK風な吉朝一門ではあるのだけど、吉坊はどんな風に育っていくのだろう。余計なことだけど、そんなことを思った。談志との対談を読んだ後で。
posted by 曲月斎 at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月24日

宝塚にて。

宝塚である。

武庫川に沿った「小さな湯の町」だったはずであるが、今では大阪のベッドタウン。

久しぶりにきて(というか、震災前以来かもしれない)驚いた。
2009062419130000.jpg

武庫川の南岸は木造の旅館が立ち並び、武庫川の水面に家の灯が映っていた風情だった。いまでは温泉旅館は1軒だけだそうだ。

という訳で、今夜の泊まりはオールドホテル。
2009062418070000.jpg

窓の外の木の緑がきれいだ。

窓のカギも時代を感じさせる風情。
こういうのもいいもんです。

2009062418070002.jpg

ここは宝塚ホテル。その本館。廊下は低いけど客室は高い天井、
こんなところでパソコンをたたいているのは無粋なんですけどね。

posted by 曲月斎 at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月10日

休み時間も管理?!

この前、タクシーに乗った。
ふと運転席のダッシュボードを見ると、スピードメーターの左脇に紙で塞いだ穴がある。
運転手殿に聞いてみると、機械式のタコメーターをハズしたあとだという。

「いや、電子式に切り替わりましてね」と運転手殿。
以下、その話だ。

電子式だと、毎日、出発の時にカードを入れ、それを帰庫すると提出するのだそうだ。もちろんエンジンの回転速度が記録されているものだから、「運転が粗いとか、急発進しすぎだなんていうことになるんですね」
それで運転技量を特AからEまで判定されるのだそうだ。

もっとうっとうしいのが休憩時間。4時間に1度、必ずエンジンを切って休憩しないとどんなに運転が上手でも判定が2段階も降下するそうだ。「いや、その休憩時間も11分以上なんです。10分じゃダメ。だから今はこれを持ってますよ」と運転手殿は料理などに遣うタイマーを見せてくれた。何でも12分にセットしてあるのだそうだ。

「何か機械に管理されているようでイヤだね」というと「もう、こうなったらゲームでもやっているつもりじゃないとやっていられませんよ」と自嘲と諦念が混じったような声で答えてくれた。

今やgpsの装備は当たり前、効率のいい配車もそれで実現している。便利と効率化が何か行きすぎているような気もした。
posted by 曲月斎 at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月24日

明太子 新鋭アジ比べ

用意したのは福岡空港で入手した稚加榮と椒房庵の明太子。
どちらも老舗に拮抗してしる人そしるブランドとなっている。
で用意したのはどちらのブランドも安い、切り子とお徳用品。お徳用品の方が少しすくないかな。

焼酎のあてとして明太子をつまむという方法で比較した。

丸は椒房庵。味がしっかりしていること、それに尽きる。
稚加榮は生状態の部分が残っているのだがそれが持ち味であり、欠点にもなるということ。

次の福岡出張では「椒房庵」を買って帰ることになる。とりあえずは。
posted by 曲月斎 at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

緑のカーテンその後。

緑のカーテン大作戦のその後である。
まず、キュウリが異様に元気で、伸びまくっている。2株しか植えてないのに、辺り野をはらうが勢いで、伸びている。ニガウリの苗に髯がじゃまをしたらたちまちにニガウリの元気はなくなってしまったほどである。あわててきょう、株と株の間を広げるよう徒労する。

2009052412410000.jpgそれでも悪条件の中、ニガウリ3株、ヘチマ2株、ひょうたん1株は元気に伸びている。期待のササゲの伸びが遅いのがしかたないとはいえとも、気がかりである。

さてグリーンのカーテン作戦の後方作戦も用意しなくてはなるまい。緑のカーテンが完成した時にはそこでプハーッとビールが飲みたい。ビールとくれば枝豆である。

雨の中をサカタのタネまでお買い物である。
畏友のT君は「だだ茶豆」がいいといい。小生は丹波の黒豆に未練を残し、同時にこれを収穫しようという1石2鳥作戦である。
きっとうまくいくんだろうな。不安じゃが
posted by 曲月斎 at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑事雑用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする