2008年05月07日

「幻の大連」

「幻の大連」


大連といえば、戦前の南満州鉄道の起点であり、満州への入り口として殷賑を極めた町だ。そこに少女時代を送った作者の回想記である。

何冊か、この時代を振り返った本を読んだ記憶があるけれど、これほど多彩で展開の面白い本は記憶にない。
張作霖の爆殺、阿片王と言われた石本竭セ郎の逸話、男装の麗人川島芳子との邂逅、大杉栄らを惨殺した甘粕正彦などなど、歴史上の人物がごく身近な存在として登場してくる。どんなドラマよりも、何気ない片言双句に本人の息遣いを感じることがあるけれど、そういう感じだ。

そして繁栄した町も所詮は、植民地の町という砂上の楼閣であったという述懐。母親に「祖国あっての植民地ですよ」とたしなめられるこの少女は今年92歳だそうな。歴史の中に体験は消えていくのだろう。


posted by 曲月斎 at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。