2018年03月02日

★2018年2月に読んだ本。

2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1341
ナイス数:245

貴の乱 日馬富士暴行事件の真相と日本相撲協会の「権力闘争」貴の乱 日馬富士暴行事件の真相と日本相撲協会の「権力闘争」感想
成程ね、という内容。相撲協会、いや、相撲会所は力士が主体でも、力士以外が運営に介在してきた。番付版元、相撲茶屋等々。その後の歴史で、力士出身以外の人間には権限を持たせない方向で組織を変えてきた。一方、実務を担う面で、事務方の存在は不可欠。相撲協会は人材に恵まれなかった。本書で俎上に上がるのは小林慶彦氏。専横に対し、外部の人間を掌握するだけの力量が、在京の理事に乏しかった結果がこの混迷の原因。事務方にの管掌事務を把握できる取締、頭取=つまり理事が不在だったということ。「ハサミは遣いよう次第」といえるような。
読了日:02月25日 著者:鵜飼 克郎,岡田 晃房,別冊宝島特別取材班
日中戦争―和平か戦線拡大か (中公新書)日中戦争―和平か戦線拡大か (中公新書)感想
筆者1924年生まれ、「日中十五年戦争史」の筆者1925年生まれ。この世代ならではの臨場感が行間に覘く。ただ、歴史は人の営みである以上、内外の政府、軍部の動きを詳述しようとすればするほど、彼らの判断の背景が大事に思えてくる。文中、1944年1月に三笠宮が南京で行った講話(173p)を紹介している。冷静に数字を見、人の意思を判断すれば宮の発言の蓋然性は容易に理解できるだろう。行きがかり、本音と建前、蔑視など人間の奢りがこの戦いを生んだとみたい。単に個人の誤判断の累積とみることは歴史を見誤ることになると思う。
読了日:02月21日 著者:臼井 勝美
1933年を聴く:戦前日本の音風景1933年を聴く:戦前日本の音風景感想
昭和8年。東京音頭が町に流れた年。戦時中ではあるけど、まだ大陸での出来事の時代。そんな時世に流行した音楽、音を追いかけていくことで世相を描く。新民謡の登場や国際連盟脱退の式典などを通じ、地方と都会、共産党への弾圧と右翼運動の勃興などを点綴していく。手法としては新鮮だけど、掘り下げが粗い気も。最後のサイレンが皇太子誕生の奉祝歌の歌詞に登場、次の空襲の時代につながる予兆と見立てるのは興味深いが。本書のような筋立てには「ディマジオの奇跡」(1941年を描いた1冊、M・シーデル)のような筆法が似合う気がする。
読了日:02月20日 著者:齋藤 桂
日中十五年戦争史―なぜ戦争は長期化したか (中公新書)日中十五年戦争史―なぜ戦争は長期化したか (中公新書)感想
15年戦争を新書で簡潔にまとめている1冊。それぞれの節目での人事構成や、事件の一覧、或いは年表に地図と、ツボを押さえている。本文351ページの中で節目は外していない感はあるものの、本書は1996年刊。今では同じテーマで執筆された山中恒の「アジア・太平洋戦争史(上下)」(2005年刊、岩波現代文庫)や、「日中戦争全史(上下)」(2017年刊、笠原十九司、高文研)が紙幅が違うとはいえ、通史として一日の長がある気がする。その一方、旭川の聯隊で終戦を迎えた筆者ならではのあとがきが玩味すべきで、筆者の姿勢に敬意。
読了日:02月18日 著者:大杉 一雄
源氏と坂東武士 (歴史文化ライブラリー)源氏と坂東武士 (歴史文化ライブラリー)感想
系図は豊富だが、地図は少なく、頭で絵を描くのが難しいので、巻末の年表を先に押さえたい。東国で在地の豪族が蜂起→京から派遣された武家貴族が登場→そのまま東国に在留→派閥抗争あり、武力統合あり、という流れを繰り返す。中でも源頼義、義朝、義平の3世代が鍵を握っていく。本書ではその武門が姻戚関係や乳母の繋がりで結び付く様を分析していく。ただし、頼朝が鎌倉殿となった頃には旧来の勢力はほとんど駆逐されていた点、そして貴種を頭領に頂こうとする心象が今一つ、釈然とできないまま。坂東武者も生き残りは大変だったということか。
読了日:02月07日 著者:野口 実
戦前日本のポピュリズム - 日米戦争への道 (中公新書)戦前日本のポピュリズム - 日米戦争への道 (中公新書)感想
新書判で概説的ながら、「ポピュリズム」という言葉で日露戦争後の日比谷焼き打ち事件以降のエポックを綴っていく。藤野裕子が「都市と暴動の民衆史」に詳述している日本での「民衆」の誕生、そして新聞に代表される輿論形成を受けて、振幅が大きくなる。単純明解な、正論重視の方向に進みやすい性向は、今も変わってはいない。寧ろ、SNSの登場で加速している。阿川弘之が謂う「軽躁」が齎すものが、せめても日本国憲法による「箍」で納まってきたと思ってきたが、それすら今や危うい。戦争を経験した者が退場すると又、妄想が広がりやすいのか。
読了日:02月06日 著者:筒井 清忠

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posted by 曲月斎 at 22:28| Comment(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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