2017年12月02日

★2017年11月に読んだ本。

11月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1436
ナイス数:274

ねじ曲げられた「イタリア料理」 (光文社新書)ねじ曲げられた「イタリア料理」 (光文社新書)感想
所謂、イタリア料理というのは何なのだろう。筆者曰く、トマトはトマト缶出現以前は主要な味ではなかったし、乾燥のパスタは生パスタとは別物で、エキストラバージンオイルやピザ、カプチーノが普及したのはこの半世紀ほど……。確かに日本料理を見ても然りと思いつつ、戦後のアメリカ文化の席捲ぶりは凄まじかった(往年の「旅情」「ローマの休日」を考えても想像できる)。ただ、その根底にあるのは農業の工業化であり、本物を考えると相応の対価も生まれるのは至極当然。折しも種子法廃止の議論もある。気付かぬうちに足下の砂が無くなる怖さも。
読了日:11月24日 著者:ファブリツィオ・グラッセッリ
戦争と農業 (インターナショナル新書)戦争と農業 (インターナショナル新書)感想
1950年頃、世界の人口は推計約25億人。直近でそれが約75億人。増加できたのは食料の確保がある訳で、理由は農業機械と化学肥料と農薬と品種改良の故。勿論、光と影があるのは言うまでもなく、特に筆者の言う「砂時計のネック」(穀物メジャーと大手食品メーカー)の見えざる手が全てに働いているのもまた事実。筆者の懸念は理解できる一方で、現実的に人口が増えた事実の前に、どんな処方箋が有り得るのか。農業が工業化することの弊は分かるが、近代的な生活に慣れてしまった身として不可逆的な進化であったような気も。考えることは多い。
読了日:11月19日 著者:藤原 辰史
日本の夜の公共圏:スナック研究序説日本の夜の公共圏:スナック研究序説感想
スナック、というと大人の空気。そんな空間に就いての考現学。法務、社会学、民俗学、歴史学……etc、各々の世界の専門家が真面目に論じる。読み進めて、この手法は「ウルトラマン研究序説」でも採られた手法であったと気付く。各章も興味深く、二次会の起源から探る日本での酒の飲み方や宴会の慣行、昭和初期のカフェー文化との縁等々。題名にある「日本の夜の公共圏」とは蓋し見事な見立てである。統計的手法による分析も興味深いし、スナックという装置を正面から論じて日本の社会規範の一側面を活写することに成功している。真面目で面白い。
読了日:11月16日 著者:谷口 功一,スナック研究会
愛と狂瀾のメリークリスマス なぜ異教徒の祭典が日本化したのか (講談社現代新書)愛と狂瀾のメリークリスマス なぜ異教徒の祭典が日本化したのか (講談社現代新書)感想
フランシスコ・ザビエルの来日以来のクリスマスに特化した日本史である。最初は教会が担い手だったのが、子供の行事になり、乱痴気騒ぎに続く。戦時中の中断を挟んでまた復活。中で紹介している萩原朔太郎の「今の日本には国民的祭日がない。浮かれるのは『失われた祭日』への郷愁」と評が鋭い。この習俗から日中戦争の勃発が落とした影の大きさが分かる。自身のクリスマスの思い出を振り返ると、狂瀾の後に位置していたことが分かる。「サザエさん」の一コマへの違和感の由来だったか。バブル期も経験し、今は遠い思い出。ただし終章は一寸蛇足。
読了日:11月09日 著者:堀井 憲一郎
同性愛は「病気」なの? 僕たちを振り分けた世界の「同性愛診断法」クロニクル (星海社新書)同性愛は「病気」なの? 僕たちを振り分けた世界の「同性愛診断法」クロニクル (星海社新書)感想
同性を愛する行為は一定程度自然な行為であったろう。宗教的な背景から、18世紀に成立したドイツ刑法の143条で、男性同士の性交、獣姦を包括して公序良俗に反すると定めたことを端緒に様々な「判定法」が出現する。脳、ホルモンバランス等々、珍奇な似非医学が登場した。興味本位で日本でも変態性慾という受け止めが生まれた。その後、精神疾患ではないと医学界での見解が成立したのは1990年、日本の文科省の性非行から除外されたのは94年。長い日陰の歴史を「診断法」という切り口で追跡した1冊。さて衆道の歴史のあった日本では如何?
読了日:11月04日 著者:牧村 朝子
天皇家のお葬式 (講談社現代新書)天皇家のお葬式 (講談社現代新書)感想
盛り込み過ぎた部分もあるか。前段が仏式で営まれた葬送の説明で、後段が神式で進められた明治天皇以降の大葬についての説明。でも一番肝心なところは、仁孝天皇までの仏式と国学思想の入ってきた孝明天皇の葬儀、そして国家神道の色彩で統一された明治以降の葬送へと「変形」した部分にある。神仏分離令であり、神道の国家管理化の道である。ここを焦点に詳述して欲しかった。一方、天皇の棺に題目や名号を紙片に書いて納める習俗が残っていたという。表と奥の意識の差が覘く。竹のカーテンの奥には、皇室の私的な信仰は今も残っているのだろうか。
読了日:11月03日 著者:大角 修

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posted by 曲月斎 at 01:47| Comment(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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