2007年02月28日

勧進帳/承前

先日、謡の師匠のところに稽古に行った。

また、前回と同様に安宅の勧進帳独吟。やはり、声が続かない。タバコの所為もあるし、長年の稽古不足もある。

特に、勧進帳は歌舞伎でもお馴染みの通り、弁慶が白地の巻物を勧進帳と称して読み上げる場面。ずっと強吟(現在の謡には基本的には弱吟と強吟の2種類のパートがある。弱吟は下→中→上と音階があるのだが、強吟の方は音の上げ下げというより息の強弱。昔は弱吟同様の上がり下がりがあったと言われるが、現在は上音と中音は同じ、下の中音と下音が同じ)なので、息で謡う感じなのである。

さらっと一通り謡った後、師匠のひと言は「音の上げ下げがまだ間違っている。もっと緩急を自在に付ける感じで、そのためにはもっと謡い込むしかないね」。自分では、晩年の近藤乾三の独吟みたいにさらさらと自在に謡うのがイメージだったのだが、たぶん、師匠は先代銕之丞のイメージが脳裏にあるのだろう。

とはいえ、まだ声量だけは何とか。というのは振り返ってみれば大学の4年間、授業に出ない日はあったけど、部室で謡本を開かない日はなかったからだ。先輩が後輩を捕まえて「ちょっとやるか」と始まってみっちり。特に学生の場合は、師匠が教えた通りというよりも、自分で能を観に行って、いいと思ったり、かっこいいと思ったりすることが教える側に混じり込んでいるから、師匠役の色が一人ひとり違う。ともかく理論武装する必要もある。

帰り際、師匠と飲んだ時に、「もっと現役は能を観て欲しいなあ」とつぶやいた。学生時代4年間で、ともかく能は観に行った記憶がある。しかも流儀に拘わらず。その時に見聞きしたことは今でも財産だと思っている。

1.jpg

今年、師匠は8月9日に多田富雄の新作能「長崎の聖母」を渋谷のセルリアンタワー能楽堂で再演するそうだ。「新作能をやるっていうことはやはり刺激になる。この世界の中にだけいればそれはそれで楽、なのだけどね」


posted by 曲月斎 at 02:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 三間四方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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