2013年01月01日

2012年に読んだ本(2)。

テキヤ稼業のフォークロアテキヤ稼業のフォークロア感想
考現学の報告書、というこの本の性根を踏まえて読めば、非常に楽しい本です。近所に夏になると、0の付く日(10日、20日、30日)に縁日が立つ環境に育った所為もあるかもしれないけど、おじさんやおばさんたちの日々の生活や社会の一端を知ることができました。本の中で出てくる「擬制的親子関係」という言葉(要は親分と子分の関係)にずっと引っかかりを感じ続けているのですが、この仕掛けを知ることができたのが収穫です。ただ、ひと昔前はテキヤ系といわれていた組織も、広い意味での反社会組織に色分けしていいのか、とも思いました。
読了日:5月23日 著者:厚 香苗
公家侍秘録 7 (ビッグコミックス)公家侍秘録 7 (ビッグコミックス)感想
ストーリーが面白いのだから、ドラマ化したらいいのにね。そもこういうマンガも掲載されていたビッグコミックは恐るべきというべきか。
読了日:5月6日 著者:高瀬 理恵
公家侍秘録 6 (ビッグコミックス)公家侍秘録 6 (ビッグコミックス)感想
だんだん、この辺りにくると、展開が苦しくなってくるような。1話読み切りなのだけど。
読了日:5月6日 著者:高瀬 理恵
公家侍秘録 5 (ビッグコミックス)公家侍秘録 5 (ビッグコミックス)感想
このシリーズは設定の妙、に尽きますね。絵の内容とかはともかく、ストーリーに尽きる。当たったストーリーなら面白い。
読了日:5月6日 著者:高瀬 理恵
公家侍秘録 4 (ビッグコミックス)公家侍秘録 4 (ビッグコミックス)感想
3巻まで持っていて、その後は池波正太郎の「黒白」を焼き直した話が出てきたので疎遠になっていたのだが、思いついて4〜7巻を購入したのでおじゃりまする。
読了日:5月6日 著者:高瀬 理恵
公家侍秘録 3 (ビッグコミックス)公家侍秘録 3 (ビッグコミックス)感想
引っ越しで出てきた。久しぶりに読む。
読了日:5月6日 著者:高瀬 理恵
四国遍路―さまざまな祈りの世界 (歴史文化ライブラリー)四国遍路―さまざまな祈りの世界 (歴史文化ライブラリー)感想
遍路道の傍らに住むようになって、歩く人と歩かれる側の人、という視点が出てきたところで、この本は新鮮だった。行乞のために遍路道を外れる者がいた存在、「オヘンロサン、オシコクサン」対「ヘンド」の差、ハンセン病などの差別故に旅に出た遍路の存在などなど、最近は視点から外されることの多い問題も扱う。印象的だったのは、「××寺」ではなく「××番」と呼ぶことの多い札所という考え方。寺という存在は実は二の次であることを示唆するいい視点だと思う。頼富先生の本と並んで四国遍路本として出色。岩波写真文庫への言及もいい。
読了日:5月4日 著者:星野 英紀,浅川 泰宏
日本の聖地ベスト100 (集英社新書)日本の聖地ベスト100 (集英社新書)感想
期待は端からしていなかったけど、買ってしまったものだと割り切って読んだものの、何ともはや、の本。一応、大学教授であるのなら、しかるべき研究的な側面がないことには、始まらない。単なる個人的な紀行文とその感想、という域を出ない。一時は流行った先生だけどね、トホホ。
読了日:5月3日 著者:植島 啓司
ジョージ・ポットマンの平成史ジョージ・ポットマンの平成史感想
手法としたら、かつてのCX系で放映した「カノッサの屈辱」と同じなのだけど、そこはTX系。予算の枠が限られている中で、よくも作り込んだと思う。もっともらしい話の運びと、もっともらしい有識者のコメント。ある意味で今のテレビ番組の戯画になっているのがこの番組だった。それを活字に起こしたら、という内容になっている。イメージを広げるのなら、併せて発売されているDVDを見ることをおすすめする。最後の最後までもっともらしい結構。たぶん、平成という歴史を語る上では楽しい1冊です。
読了日:4月30日 著者:ジョージ・ポットマン,高橋弘樹 (日本語版著者),伊藤正宏 (日本語版著者)
病理集団の構造―親分乾分集団研究 (1963年)病理集団の構造―親分乾分集団研究 (1963年)感想
日本的な結合形態として親分子分関係に注目し、その原理を家や、同族意識と深く関わっていることを明かした上で、親分子分集団を「第一次集団的性格と第二次集団の交錯、累積」とする。このような見解はそれ以降の日本の組織や集団研究の分析に登場するし、家族主義的経営や擬制的親子関係という考え方の生まれる起点にもなっている。800ページの飛ばし読みでもいいがいい本です。
読了日:4月30日 著者:岩井 弘融
戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)感想
「それでも日本は戦争を選んだ」の骨子版、です。どちらを先に読むかは、個人の好みでしょう。平易なのはもちろん講義録である後者ですが。
読了日:4月30日 著者:加藤 陽子
眠る盃 (講談社文庫)眠る盃 (講談社文庫)
読了日:4月30日 著者:向田 邦子
霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫 (277‐5))霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫 (277‐5))
読了日:4月30日 著者:向田 邦子
女の人差し指 (文春文庫 (277‐6))女の人差し指 (文春文庫 (277‐6))
読了日:4月30日 著者:向田 邦子
日本人の性格構造とプロパガンダ日本人の性格構造とプロパガンダ感想
日本に対しては「父性」に基づいて命令をする、この方法が統治の早道であるとの分析は見事としか言いようがない。しかも外部から認められぬ存在となると、本来はようごしてくれるはずの身内までアンチに回るという分析も面白い。単なる大家族制とか封建制で片付けきれぬ部分見事に分析している。しかも数十人への聞き取り調査で達成したところに筆者の剛腕を感じる。ただ、幼少期の排便排尿の躾に帰納するのは、果たしていかがかとも思うが。読んで楽しい1冊。
読了日:4月30日 著者:ジェフリー ゴーラー
鍾馗さんを探せ!!: 京都の屋根のちいさな守り神鍾馗さんを探せ!!: 京都の屋根のちいさな守り神感想
遠目の美人という言葉があるけど、屋根の上の鍾馗さんもそんな存在なのかもしれない。アップでみると威厳があるというより、どこか滑稽な面も見える。 巻末に紹介している瓦屋さんに、思わず発注したくなったのも事実。 とあれ、街角のエポックに注目した筆者に敬服。
読了日:4月29日 著者:小澤 正樹
全国森林鉄道 JTBキャンブックス全国森林鉄道 JTBキャンブックス感想
日本国内で今や森林鉄道が現役で動いているのは、屋久島だけ? でもこの鉄道が日本の林業、いや中山間地の生活を支えてきた。その総まとめ、というか、クロニクルというか。漏れはあるものの、格好な入門書である。でも林鉄が存在していたことを知っていて、なおかつ乗ったことがあるという世代はもう50歳代半ばをすぎている現実。林鉄は文字通り、文明の通路だったことを忘れてはいけないのだが。
読了日:4月15日 著者:西 裕之
魚梁瀬森林鉄道 (RM LIBRARY(29))魚梁瀬森林鉄道 (RM LIBRARY(29))感想
よくまとめてある本です。何より豊富な写真が残されていたのが幸いしているのですが。あとこの手の本で恨みが残るのは、きちんとした地形図を掲載しないことです。複製したものが出ていたらもっと充実していた、と思うのですが。
読了日:4月15日 著者:舛本 成行,寺田 正
ラーメンと愛国 (講談社現代新書)ラーメンと愛国 (講談社現代新書)感想
数週前のジョージ・ポットマン先生の講座のタネ本。この本を映像化するとああなるのかな、と。ま、米国の小麦戦略に目を付けたところが、新味、かなあ。
読了日:3月26日 著者:速水 健朗
漢詩の名作集〈下〉漢詩の名作集〈下〉感想
その点で、この本は読んだ本、というのは適切ではないかもしれない。でも、古めかしい分類に戸惑うかもしれないけど、網羅している分野が広く、古詩から日本の攘夷派の志士まで拾っているのが、この本の特質。日本人の漢詩、というのを再発見する手がかりになるかもしれない。
読了日:3月26日 著者:簡野 道明,田口 暢穗
漢詩の名作集〈上〉漢詩の名作集〈上〉感想
簡野道明といえば、小生が最初に接した漢和辞典の角川書店の「字源」の筆者。何が書いてあるのか、小学生にわかるはずもない。そして、古い活字は半分潰れかかっていて、いよいよ読みにくい。この本も明治書院の古い冊子の中の1冊。新しく組み直して、仮名遣いを一部改めただけで、新しい命がこの本に吹き込まれた。通読するというよりも、拾い読みするのが楽しい本。
読了日:3月26日 著者:簡野 道明,田口 暢穂
四国遍路とはなにか (角川選書)四国遍路とはなにか (角川選書)感想
五来重先生の本を読んでから、この本を読むと、すこぶる理解が進みます。というのは、五来先生の宗教民俗学に基づく見解を、合理的に説明してくれるからです。筆者は真言宗の現役僧侶で、その著作を読む機会はなかったのですが冷静な論理の展開はすこぶる好感が持てます。四国遍路とは何なのか。熊野へのしんこう、あるいは観音信仰に由来する補陀落信仰に、日本の古来からの山の神、祖霊信仰、海の彼方を見る常世の国の思想などなど、重層的になっているこの信仰をそう簡単には絵解きしきれないからです。その点でこの本は意欲的でもあります。オス
読了日:3月15日 著者:頼富 本宏
補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)感想
大部の著作ながら、お急ぎの向きは訳者あとがきと解説を読めばことは足ります。でもカイバや小麦、兵の数と数字を積み上げながら補給の大切さを解いて行きます。非常に論理的で楽しいです。ただ。何をいえば地図が欲しい。数葉ははいっているのですが、続出する地名にちょっと参りました。でもそれを割り引いても長い戦争の歴史の中で、実は主計兵の果たした役割の大きさを教えてくれます。もう一度クラウゼビッツの戦争論を読み直したくなりました。違う印象になるかもしれない。
読了日:3月7日 著者:マーチン・ファン クレフェルト
空海さんに聞いてみよう。 心がうれしくなる88のことばとアイデア空海さんに聞いてみよう。 心がうれしくなる88のことばとアイデア感想
内容はとても示唆にとんでいるし、空海の性霊集を今度じっくり腰を据えて読み直してみたいと思いました。実に密成さんのお力大、であります。ただ、組み版の体裁が気になりましたね。質問部分が小さめの活字で左側ページの右側に1行で組んであり、答え部分がその4倍くらいの大きさをで答え部分が載っています。要は答えが先に目に入ってしまうんです。で次のページがその典拠になった文とその原文が小さく組んであります。本当はもっと本文がしっかり掲載されていた方がいいですね。あと密成さんの原稿が2ページ。ここの部分は前著に続いて素敵。
読了日:3月7日 著者:白川密成
人魚はア・カペラで歌ふ人魚はア・カペラで歌ふ感想
久しぶりに丸谷センセの随筆で面白いと思ひましたね。これも掲載誌が「オール讀物」といふ歴史のしからしむるところではないかしら。基本的にこの方は書評家なんでせうね。見たての妙味とwebを飛び回る時の快感。ただ引用が多いのと、ちよつと話し口調に近い文が気になる方もいるでせうが。この本の影響で瀬戸内寂聴の「奇縁まんだら」を買つてきてしまひました。あと本は一気呵成に読むものといふ言説は確かにそうでせうね。このところ読みさしの本が増えているのもその所為かもしれない。
読了日:3月7日 著者:丸谷 才一
散歩もの (扶桑社文庫)散歩もの (扶桑社文庫)
読了日:2月25日 著者:谷口 ジロー,久住 昌之
孤独のグルメ (扶桑社文庫)孤独のグルメ (扶桑社文庫)感想
単行本の他に同じ内容の文庫版を買ってしまった。文庫で十分なのだけど、読みやすいのは単行本。
読了日:2月25日 著者:久住 昌之,谷口 ジロー
孤独のグルメ 【新装版】孤独のグルメ 【新装版】感想
松重豊が名演であるというのがしみじみとわかった。。淡彩の原作に色を添えているのが。原作ももちろん余趣がある。主人公の設定が妙、酒が飲めないというのが。
読了日:2月25日 著者:久住 昌之
独楽園 (ウェッジ文庫)独楽園 (ウェッジ文庫)感想
薄田泣菫というと、冨山房新書にあった「茶話」にトドメを刺す。文章に才気が満ち満ち、斎藤緑雨に通じる味わいの妙のゆえだ。ちなみに本書は最晩年。茶でいえば出がらしの感がある。日向ぼっこしながら書くような文章はどうも性に合わないみたい。こに本の中では、平曲波多野流最後の検校である藤村検校の話。廃れた藝はどんなに貴重でも聞き手がいないという逸話と「絵の難しいところ」という一編。画家大雅堂にある御仁が「絵の難しいところは?」と問い掛けたところ、「紙の上に何一つ描いていないところでしょうな」と答えたとか。こういう話の
読了日:2月18日 著者:薄田 泣菫
歴史人口学で見た日本 (文春新書)歴史人口学で見た日本 (文春新書)感想
人口の推移から歴史を解析しようにいうのが歴史人口学。筆者はその先駆的存在らしい。日本にこの概念を導入し、江戸時代の「宗門改帳」から人口動態を分析することを始めた。筆者の研究史回顧の部分と、解析結果の事実の提示が混在しているのが難点なのだけど。考え方としては少し前の「デフレの正体」に通じるもの。読み物として興味深いのは江戸時代の農村と都市の平均年齢の差を示した部分、近代に入ってからの考察、そして日本の民族的起源にまで考察した部分。数学でいう微積分の明快さに似ている読後感。
読了日:2月18日 著者:速水 融
芝居の食卓 (朝日文庫)芝居の食卓 (朝日文庫)感想
歌舞伎の舞台に登場する食を狂言回しに筆を走らせた1冊。鯛、シャモ、豆腐、蕎麦、酒……。登場する素材はさまざま。今度、その芝居を見る機会があれば、筆者の挙げたその逸話をきっと思い出すだろう。で、気になった素材を2つ。「夏祭りの献立」で出てくる鱧皮膾。そういえば心斎橋の蒲鉾屋で売っていたっけ。もともと鱧好きだけど、ちょっと機会があれば、ね。それと「3人の女中」という一編。脇役の仲居をさせたら逸品だった女形の話だけど、現実の世界でも、料理そのものと同時にどうサービスされるかが肝要、と思い至りましたな。
読了日:2月17日 著者:渡辺 保
能のドラマツルギー―友枝喜久夫仕舞百番日記 (角川ソフィア文庫)能のドラマツルギー―友枝喜久夫仕舞百番日記 (角川ソフィア文庫)感想
喜久夫は晩年しかしらない。小柄で白髪の老人だった。でも舞台に上がると別物であった。そんな体験がまずある。仕舞の妙は、白湯を飲んで甘露と思う心境に似ている。能を囓った人間には少しまどろっこしくなるほどの構成が難なのだけど、こうしないと読者には説明がわかってもらえまい。印象批評、の極端な形、文章であろうと思う。承知で挑んだ筆者の力量にまた感服。最後に私見を。仕舞を実際に見てみると、所作云々もさることながら、五感を通じて残った記憶こそがすべてになる。相撲の取組もそうだが、人間の脳は巧みな取捨選択をするものだ。
読了日:2月12日 著者:渡辺 保
小津安二郎先生の思い出 (朝日文庫 り 2-2)小津安二郎先生の思い出 (朝日文庫 り 2-2)感想
松竹蒲田の大部屋俳優から、小津安二郎監督作品の常連に。晩年は「男はつらいよ」に欠かせぬ存在になった笠智衆。俳優としての恩人小津をどう見ていたのかを語った1冊です。1928年の「若人の夢」から62年の「秋刀魚の味」までほとんどに出演し、無声からトーキー、白黒からカラーと小津の歩みとともに歩んできた人ならではの言葉が綴られています。著作の中では「ベストワンは『東京物語』」と話していますが、巻末の解説で子息・徹氏が「ずっと家族には『父ありき』と話していた」という内輪話まで含めて、秀逸な回顧記です。
読了日:2月12日 著者:笠 智衆
贈与の歴史学  儀礼と経済のあいだ (中公新書)贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書)感想
品物の贈答が儀礼として確立したのは室町時代と言われる。足利幕府、天皇家、寺社とそれぞれの社会相互の間で贈答が繰り返される。前例に基づいたり、相手をどう見るのかという変化だったり。この辺までは想像がつくが、目録が先に贈られて、実物がなかなか届かなかったり、贈り物を受けた側が不満を表して半分だけ受け取ったり。目録が半ば後世の為替手形のような役割を果たしていたり。結納や表彰の儀礼で残っている目録、折紙が負っていた役割も意外だった。貨幣経済と贈与の関係など、知的な刺激に富んだ1冊だった。
読了日:2月11日 著者:桜井 英治
大江戸世相夜話―奉行、髪結い、高利貸し (中公新書)大江戸世相夜話―奉行、髪結い、高利貸し (中公新書)感想
江戸時代の人は実に筆まめだ。身の回りで起きたこと、聞いた話などを書き留めた。そういう文骸を解して編み直すと楽しい読み物になる。この本はその好例。遠山の金さんの彫り物が桜吹雪か女の生首か、という話題やら、将軍の肉声を探ったり、オランダから献上の象の顛末だったり。脈絡のない話だから変化に飛んでいていい。1項目の分量も適切。元は吉川弘文館の季刊誌用の連載だったそうで、丁寧な筆運びだ。
読了日:2月9日 著者:藤田 覚
学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常 (中公新書)学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常 (中公新書)感想
丹念に証言を集めました、って感じの本。一方で、筆者の意向、意志に基づく選択もあるのだろうな、という感じも垣間見えます。要は戦時中学徒動員で学窓なかばにして出征していった若者がどんな思考を抱いていたのかを探った1冊です。エリート意識あり、選民としての不遜あり、過酷な条件に引き吊りおろして等しくなろうとする根性あり。あの神宮外苑雨の学徒出陣で答辞を述べた人物は戦後、鹿屋体大の理事長になっていたり、最前線に駆り出されるのを免れる数々の恩典があったり。日本の官僚機構は様々な仕掛けを考えるものよと関心したり。
読了日:2月8日 著者:高田 里惠子
鉄道と日本軍 (ちくま新書)鉄道と日本軍 (ちくま新書)感想
気がつかず再読してしまった。内容が不足。もっと軽便鉄道などに視野を広げ、中段の「プチ坂の上の雲」部分を削除するがよかろう。
読了日:2月6日 著者:竹内 正浩
中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史感想
テーマは中央集権型(筆者のいう郡県制)の宋代、元代とそれ以外の時代の地方分権型(筆者のいう封建制)を2項対立を提示、この物差しで日本史を見てみると、という仕掛け。ミソは2項対立です。江戸幕府と明治政府の連関性、建武の新政の革新性などは正鵠を射たものです。だが2分法は詭弁の温床になりがち。白か、黒か。時代、人の世は単純に割り切れるものではない。人口、物の生産など計量的な部分を重視したら、説得性に富んだものになったと思うのですが。どこか「張り扇」と「小拍子」の音がするような気がします。
読了日:2月5日 著者:與那覇 潤
マンチュリアン・リポート (100周年書き下ろし)マンチュリアン・リポート (100周年書き下ろし)感想
ミルフィーユ形式の小説は「壬生義士伝」と同じ構造。張作霖爆殺事件についての真相究明を昭和天皇が陸軍若手将校に下した構えで話は進む。機関車の独白が挟まっているのだけど、ちょっと甘口。どうしても「機関車トーマス」を連想し、飛ばし読みにせざるを得なかった。筋としては関東軍の犯行というのは周知の事実。逆に張作霖がなぜ奉天に戻ったのかという一点に収斂していくのだが、「藪の中」にした方がよくはなかったか。満州報告書の最終信は白紙なのだが、本当は黒沢明の「天国と地獄」のように違う結末を筆者は用意していた気がする。
読了日:2月5日 著者:浅田 次郎
失言恐慌―ドキュメント銀行崩壊 (角川文庫)失言恐慌―ドキュメント銀行崩壊 (角川文庫)感想
きっかけは演劇評論家渡辺保の生家が昭和の金融恐慌の端緒となった東京渡辺銀行だったということから。時の蔵相片岡直温が衆院予算委で「東京渡辺銀行が到頭破綻をきたしました」と失言のゆえに倒産に至った一件だ。歴史の彼方のこと、当事者はすでに他界しており、すでに資料に依るしかない。一般的な認識は小銀行の経営ミスに起因するというものだろうが、それは当時の大蔵省官房文書課長の口碑が出典と知る。佐高信の文章は頗る攻撃的なものが多いが、抑えた筆致で双方の登場人物を綴っていくことで、断定しないでも見えてくるものがある。秀。
読了日:2月4日 著者:佐高 信
君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい感想
浅田センセの随筆は、「勇気凛々瑠璃の色」の筆致の方が好きだ。私小説風というか、身辺雑記という風情の題材は、軽妙に仕立てた方が読みやすい。戯画化というか。そも随筆の楽しさは、書き出しから途方もない天地に場面転換してくれる妙技にある。その点で、未刊行の掌編を集めたこの1冊にはその藝が希薄な気がする。
読了日:2月3日 著者:浅田 次郎
オオカミの護符オオカミの護符感想
大口真神のお札ってのは、ひと昔前まではよく門口で見かけたものです。オオカミは日本では食物連鎖の頂点にある哺乳類であり、昨今、人口減少の続く中山間地での獣害(シカ、イノシシ、サルなど)を駆除する形で存在していたのです。ニホンオオカミが明治年間に絶滅して以降、山間に人がいるうちはまだしも、今や限界集落という言葉も定着した通り、山から人が消えました。オオカミへの信仰は、太古に生まれたものであろうし、里と山の間の関係を示す証があの「お札」だったわけです。それを自分の目線の高さで追いかけた1冊。好感が持てます。
読了日:2月3日 著者:小倉 美惠子
日本人の性生活日本人の性生活感想
確かに興味深い内容の1冊では、あるだろう。しかし、今の人間が読み返す時、ドイツ人が書いた「遠野物語」みたいな感じが拭えない。専門書?を飛ばし読みする暴挙の末の感想ではあるが、オリエンタリズムに基づいた好奇心、高い目線からの博索ぶり。彼らがなぜこの極東の島国にかくも篤い関心を寄せたのか、本を読みながら考え込んでしまった。内容は実に多岐に渡る。筆者は多分、概念として成立間がない民俗学者としての「プラントハンター」のような心境だったか。今はなき「夜想」のような感じの本。中古で買ったのでまだ許せるか、という感じ。
読了日:1月29日 著者:フリートリッヒ・S. クラウス
蝶々にエノケン 私が出会った巨星たち蝶々にエノケン 私が出会った巨星たち感想
中山千夏、と言っても、若い方はご存じないだろう。1970年代頃までテレビや舞台で活躍し、80年代には参院議員を1期務めた。ジェンダーという言葉の前、ウーマンリブといっていた頃に時代の人だ。子役からの長い芸歴の持ち主で、出会った多くの役者、芸能人の子役目線で見た思い出話。途中で気がつくのだけど、筆者自身の見聞と、webで検索した情報とがない交ぜになっている。自身の見たこと聞いたことで綴ってくれた方が面白いのに、と思ったのだが。印象深い挿話を一つ。「仁丹というと、詩人のサトウハチローと越路吹雪を思い出す」。
読了日:1月29日 著者:中山 千夏
へうげもの(14) (モーニング KC)へうげもの(14) (モーニング KC)感想
はるばる来ぬる旅をしぞ思う、という感じ。このマンガを読み始めて幾年月である。本巻は徳川家康の上杉討伐から、関ヶ原前夜まで。途中で笑えるのはやはりガラシャ夫人が西軍方に攻められて「猛反撃」する場面と、幽齋センセの古今伝授の逸話かな。一幕だけ出る登場人物が多くなって、いよいよ作者が「走っている」感じもある。でも、何とか山田先生には、最後までがんばってほしいなあ。無事に完結することを祈るばかり。
読了日:1月28日 著者:山田 芳裕
あの日からのマンガ (ビームコミックス)あの日からのマンガ (ビームコミックス)感想
あの震災からもうすぐ1年。あのときに「マンガ」という手法で何かをしようとする筆者の姿勢にひたすら感服。ある意味で、朝日新聞夕刊の4コマ漫画に加えて、ストーリーものも一緒に載せてあるのだけど、実にしりあがり調。振り返って読んでみても十分におもしろい。故に手元に届いたのは6刷目だった。震災、津波、原発事故と続いたあの時期の空気を見事に切り取っているのに感じ入るばかり。おすすめです。
読了日:1月25日 著者:しりあがり寿
父・金正日と私 金正男独占告白父・金正日と私 金正男独占告白感想
筆者は東京新聞の外報部記者・編集委員。本の内容は一言で言えば、取材メモの開陳に近い。北京空港で出会ったのを僥倖に(というのは本当かどうかわからぬが)、メールのやりとりを繰り返し、途中で澳門でのインタビューもはさみつつ、金正日死去の後にやりとりをしたというメールで締めくくっている。内容は、特に新味もないし、金正男の真正の発言であるという根拠もない(筆者がいうところによれば日本語はそんなに得意ではないそうな。朝鮮語→日本語、あるいは英語→日本語の変換が正確であるかどうかもわからぬ)。ちょっと看板倒れ?
読了日:1月23日 著者:五味 洋治
江戸の縁起物――浅草仲見世助六物語江戸の縁起物――浅草仲見世助六物語感想
助六といえば、浅草の仲見世にある細工物店。紙、泥、竹に木を材料に豆寸法の縁起物が売っている。きっぷのいい先代の女将がいた頃は、よく狸の人形を買ってきたものだ。今でも観音様にいけば覗いて見る。楽しいんだけど、手作りの一点物だから高い。あれこれできないのが現実だが、写真にまとまると楽しい。今でも机の正面には助六で買った今戸焼の火鉢・河童が鎮座している。何とかご無事なのは河童様のおかげかしらん。
読了日:1月18日 著者:木村 吉隆
写真集・火の見櫓写真集・火の見櫓
読了日:1月18日 著者:石川 元之
写真集・火の見櫓写真集・火の見櫓感想
読んだ、というよりも眺めた、という方が正確だけど。志太榛原に勤務していたとき、町のあちこちに火の見櫓が残っていた。というのは自治体の消防能力(いわゆる消防署)だけでは災害に対応できるマンパワーはなく、消防団の役割が大きいからです。消防団はホースを使う。干すための場所がいる、従って火の見櫓なのです。柔らかめの調子の白黒写真が写す風景は優しい景色です。人間同士のつながりの濃淡を示す指標が火の見櫓の存在なのかもしれない。そんなことを考えました。 写真を見ているだけでも、結構心和みます。用の美、もあるし。
読了日:1月18日 著者:石川 元之
日本伝統音楽の研究 (2)日本伝統音楽の研究 (2)感想
やっと古本屋で見つけた2巻目。この本ではわらべ歌から、民謡、雅楽、能楽、長唄、詩吟・・・・。ありとあらゆる、とさえ思えるほどの、日本の音楽を採譜し、リズムの展開について考察している。最後はアジア音楽との比較でその本質を探ろうとしていたのだが、筆者の急逝に伴い、最終章はメモの画像収録となっている。 博索一途、事実に寄り添うように論理を抽出していく筆者の姿勢は、学者としての誠意ゆえだろう。ぜひきちんとした形にして世に残したかったに違いない。 それと今のOSがあったら。もっと深い研究まで進めていただろう。
読了日:1月18日 著者:小泉 文夫
大解剖 日本の銀行―メガバンクから地銀・信金・信組まで (平凡社新書)大解剖 日本の銀行―メガバンクから地銀・信金・信組まで (平凡社新書)感想
筆者は日本の銀行(特に資金量の大きな3大メガバンク、地銀上位行)は今や、ビジネスモデルを見失って、収益を何で上げ、何を業務としていくのかがわかっていない、と指摘する。金融危機に直面している欧米の銀行は範とするに足らず、護送船団方式で育ってきた邦銀に今後の海図がないという。また、地域密着型の金融機関であるはずの信金、信組ほど、地域との「絆」を失っているのではないかと指摘する。 確かにこれからはネット銀行の時代なのかもしれない。預金と決済が中心の個人にとって便利な銀行は。 でもやりきれない気分になる本。
読了日:1月18日 著者:津田 倫男
教養としての日本宗教事件史 (河出ブックス)教養としての日本宗教事件史 (河出ブックス)感想
日本の宗教においてのエポックを点綴した本。1項目ごとの読み応えにはかけるが入門的通史という点では可。大学の一般教養の教科書のようですね。ただ、筆者の本領が発揮されるのはやはり新宗教の分野。日本の信仰風土について、遠藤周作が「沈黙」の中で記述した一文を引用しているが、これがすべてだろう。それともう一つ。「おひとり様宗教」という視点が新鮮。筆者は「真如苑」をあげている。カウンセリングに近いとその内容を説明している。高度成長期の「創価学会」「立正佼成会」から少子化の時代を迎えての信仰の新形態の指摘は興味深い。
読了日:1月13日 著者:島田 裕巳
ソーシャルメディア炎上事件簿ソーシャルメディア炎上事件簿感想
「炎上」ってのは、パソコン通信の時代から見たし、「ネチケット」なんていう言葉があり、炎上する一方でオフミで親交を暖めるなんてこともあったりして。そういう原始時代は終わったのですね。個別の事件と対応、興味深かった。ただ、この本の要旨はといえば、IBMのソーシャルコンピューティングのガイドライン。引用になるけど「身分を明かして1人称で語る/価値を付加した情報の発信に努める」などなど、195ページの内容に尽きる気がします。それまでの事象検討は、この1ページのため、という感じ。ある意味で勉強になりました。
読了日:1月12日 著者:小林 直樹
日本ラーメン秘史 (日経プレミアシリーズ)日本ラーメン秘史 (日経プレミアシリーズ)感想
筆者が一生懸命、ラーメンを食べて、思索を巡らせているのはよく分かります。昔、通っていたスナックの隣が某有名店で、その話も出てくるので懐かしく読みました。ただ、食い物の話を文章に書くのは実に難しいことです。うまいと思うことをどう表現するのか。実にたくさんの店の名前が登場して、それだけでも楽しいのかもしれませんが、素人には絵が想像できず、豊富な情報を生かせない、という感じです。筆者の熱意に驚嘆するばかりにて。
読了日:1月11日 著者:大崎 裕史
ホームレス歌人のいた冬ホームレス歌人のいた冬
読了日:1月9日 著者:三山 喬
新装改訂版 新書判 山口組動乱!!2008-2011 司忍六代目組長復帰と紳助事件新装改訂版 新書判 山口組動乱!!2008-2011 司忍六代目組長復帰と紳助事件感想
既に筆者は新潮新書「暴力団」で、既にマフィア化するしかない暴力団の現況を指摘している。本書はその中でも山口組の抱える現況に絞って論を進めていく。5代目組長の時代の幹部と6代目組長になってからの新幹部の登用と、それに伴う軋轢。あるいは6代目組長が基盤にしてきた中京圏、特に愛知県警との関係など、論は展開して行く。角界に飛び火した野球賭博の件や、それ以前に朝青龍が現役時代に行ってきた乱行と暴力団の関係、或いは先の島田紳助の件と話は進んでいくが、どうもこの辺りは薄味。加筆部分だけにちょっと残念。
読了日:1月2日 著者:溝口 敦

2012年に読んだ本まとめ
読書メーター


posted by 曲月斎 at 03:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。