2013年01月01日

☆2012年に読んだ本(1)

2012年の読書メーター
読んだ本の数:125冊
読んだページ数:31637ページ
ナイス:818ナイス
感想・レビュー:118件
月間平均冊数:10.4冊
月間平均ページ:2636ページ

ダムの科学 -知られざる超巨大建造物の秘密に迫る- (サイエンス・アイ新書)ダムの科学 -知られざる超巨大建造物の秘密に迫る- (サイエンス・アイ新書)感想
門外漢にもダムの何たるかを冷静に教えてくれる入門書。トリビア的には、重力式のダムで、鉄筋をほとんど構造体には入れないとか、コンクリートも大粒の固練りで仕上げるとか、一般の建築物とは違う、ダムならではの不思議も教えてもらってちょっとお得、という感じ。身近にあるロックフィルダムの水利権更新が間近に迫っていることもあって読んだのだけど、濁水対策とか、自然負荷の軽減とか、今や日進月歩ですな。高度成長期に造ったダムも老朽化しているんです。あと黒四ダムってのは今も大した存在であるのだな、というのがよく分かります。
読了日:12月27日 著者:一般社団法人 ダム工学会 近畿・中部ワーキンググループ
9条どうでしょう (ちくま文庫)9条どうでしょう (ちくま文庫)感想
総選挙の最中、一つの単語が脳裏を離れなかった。「軽躁」である。ほんの60余年昔の日本という国を因数分解すれば、この言葉になると指摘したのは阿川弘之。筆者の論考はさておき、一色に染まってしまいやすいのが自分を含めての特質であるかもしれないというのは、誰も否定できないのではないか。本書で内田樹が書いている「内政的矛盾」を受け入れ、いきていくのがいい。GHQ民政局が提示した現憲法であるにせよ、軽躁さを自覚した当時の先人が受け入れた叡知という気がする。やはりこの件は自覚的に先延ばしにするのが一番いいように思える。
読了日:12月24日 著者:内田 樹,平川 克美,町山 智浩,小田嶋 隆
妄撮男子妄撮男子感想
写真の合成の趣向がちょっと気になって買ってみたけど、どうやって処理しているのか、とうとう分からなかった。今どきの写真は画像処理ソフトでどうにでもなるものなあ。
読了日:12月22日 著者:
文様別 そば猪口図鑑文様別 そば猪口図鑑感想
読んだというより、眺めた本。小さな蕎麦猪口の世界に広がる無限の意匠を次々と紹介してくれる。どうしてこういうデザインになるのかは、よく分からない。でもその形や色が小粋に見える。別に古伊万里でなくても古有田でなくても、現代の作家の作品でも楽しい。その本歌を集めた1冊。もう少し図版が大きいといいんだけど、文庫サイズだから仕方ないですね。
読了日:12月21日 著者:
世界軍歌全集―歌詞で読むナショナリズムとイデオロギーの時代世界軍歌全集―歌詞で読むナショナリズムとイデオロギーの時代感想
辞典本。世界の軍歌の流れを、ナショナリズムの目覚め、国民国家の盛衰、イデオロギーの時代、総力戦体制の完成、多極化する世界の5部立てで分類、その時代に成立した曲の歌詞を原詩、邦訳という形で紹介していく。冒頭の1曲目は「ラ・マルセイエーズ」。そして筆者は「今やYouTubeで簡単に曲を聴くことができるので、それを聞きながら読んでほしい」とも。Webとこういう形で融合した本が出現したのがすごい。それと先行したサイトで今は閉鎖されてしまった「軍歌索盤考」の名が懐かしかった。とてもいいサイトだったのだが。
読了日:12月21日 著者:辻田 真佐憲
随感録 (講談社学術文庫)随感録 (講談社学術文庫)感想
紐育のウオール街に端を発した大恐慌の下にあって、台風の最中に窓を開けるようなものと言われた金の旧平価での解禁を指揮した井上準之助蔵相。その政策を後押ししたのが浜口雄幸だ。「国家のために斃れるのは本望」と語り、ある意味では決断できる政治をしたかのように評価する向きもあるが、状況を勘案すれば如何だったろう。むしろロンドン軍縮会議を成功させたことに意義があったものの、彼がある意味で戦前の日本で舵を切ってしまった部分があるのは否めない。「率直な心情」とはいうものの、本音の10分の1も書き残して居ない気がする。
読了日:12月14日 著者:浜口 雄幸
アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲 (集英社文庫)アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲 (集英社文庫)感想
表題の内容は第1章の「強さこそがすべて」の各編に書かれているだけ。ステロイドはすごい。「大きく、強く、速く」をモットーにスポーツに取り組むと、こういう悲劇も起こるだろう。それが旧東欧のような社会主義国ならいざ知らず、資本主義の権化のアメリカで起こっているというのはポンチ絵だ。でもこの件に関しては人のことをいえないのかもしれない。2章以下それ以外の章、項目はトホホのアメリカスポーツ寸景集でごく軽い読み物。何分、日本と違って広大なアメリカのことだ。何が起きていても不思議はないし、4大スポーツがすべてではない。
読了日:12月14日 著者:町山 智浩
日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)感想
豊かさって何なのだろ、と考えさせられる本です。放浪を何度も繰り返した山下清ですが、駅のベンチで大半は寝た、といいつつも、三度三度の食事にはありついていた訳で。他人(というか家族以外)を宿泊させることすら、希有になっているのが今の時代。少し余裕があれば施しもする。ゆとりが実は日本という社会を作ってきたのではないか、とも。「兵隊の位」であり、「目方で何貫か」が関心事であるにせよ、除外せずに受け入れていた社会のありよう、というのを考えさせられる1冊です。と当時の新聞記者は実にいい加減でした。目に浮かぶような。
読了日:12月10日 著者:山下 清
私の歌舞伎遍歴―ある劇評家の告白私の歌舞伎遍歴―ある劇評家の告白感想
評論とはどういう作業なのかを解説した本です。素人が宛て推量、好き嫌いで、佳い悪いを言うのと、評を業として生きる人間が記す言葉の差がよく分かります。古典芸能はとにかく見続けること、そうするとある瞬間に今まで見えなかったものが見えてくるようになる。僕もかつて経験したことです。筆者はさらに江戸時代に遡る歌舞伎の原典に立ち返り、当て書きしている脚本であるからその役者の藝に思いを巡らせ、と話を展開していきます。詰まるところは「型」にその規矩があると言います。歌舞伎に限らず、書き物をする人は考えるところ多、でしょう。
読了日:12月10日 著者:渡辺 保
写真がうまくなる デジタル一眼レフ 構図 プロの見本帳写真がうまくなる デジタル一眼レフ 構図 プロの見本帳感想
正直にいうと、あまり参考にはなりませんでした。「構図」って何だろう、と考えると、自分がそれまでに見てきた(実景であれ、絵画であれ、写真であれ、映画であれ)、アレッと思う絵が一番、参考になるからです。あれこれと考える間もなく写す写真が多い所為かもしれません、こんなことを考えるのは。でもその一瞬を切り取る、一番象徴的になるような絵にする、と考えていった結果が「構図」になるのではないかなあ。個人的には広角系の上手い使い方の参考になるかと思ったのですが。選考会狙いのアマ写真家向け、という感じ。
読了日:12月10日 著者:立花 岳志,できるシリーズ編集部
大河内俊輝能評集 2 能の見方・考え方・楽しみ方大河内俊輝能評集 2 能の見方・考え方・楽しみ方感想
能の評論というのは、ほとんど成り立たない分野だ。なぜなら、同じ古典演劇でも歌舞伎や文楽は数日間は興行されるけど、能は1日、それも1回限りの藝。となれば、評してもそれは演者に対しての無益な先入観を読者に植え付けるだけになる。わかりきってはいるのだけど、つい読んでしまった。そして大いなる後悔。自覚はあるのだろうけど、これでは團菊ジジイ以下だ。若いころの筆の冴えを知るだけに、これはこれは「老いてはせぬが花なり」ではなかったか。
読了日:12月4日 著者:大河内俊輝
政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)感想
日本が戦前の一時期に経験した政友会と民政党の2大政党制。現下と比較し、筆者は「既視感がつきまとう」と記す。氏は民政党に見立てた民主党には官僚を使いこなすことを学べといい、政友会に見立てた自民党は東北の農村から東京のスラム街まで調査して政策を導きだそうとした例にならい、包括政党を目指せと説く。時間はあるのか焦燥感がわく。民意の複雑な連立方程式の解を求めての連立政権の再編、国民と痛みを分かち合える指導者の出現、政治参加に対しての国民の責任感の回復……。今時の総選挙でも考えるべき課題提示がこの本にはある。
読了日:11月30日 著者:井上 寿一
誰も書けなかった防衛省の真実誰も書けなかった防衛省の真実感想
仕事関係の本。氏の来歴から始まって、防衛大臣としての経験を踏まえ、現場の目線、上からの目線でこの組織を問うた本。文民統制とは政治家(つまり命令権者)がしっかりしているかどうかを問う制度であり、制服組が事務方に入っていない組織は変、ということに尽きるのであります。財務省であれ、外務省であれ、現場を経験して事務次官になっていくのに、この省だけは制服組ではなく内局から昇進していく。そんな歪みを指摘している本です。ただ、昭和史への反省もあり、どこまで新しい人材登用策がとれるか、つまるところ上の力量です。
読了日:11月24日 著者:中谷 元
右でも左でもない政治―リベラルの旗右でも左でもない政治―リベラルの旗感想
これも仕事の関係で読んだ本。 個人的な見解として、筆者が「リベラルの旗」として指摘しているのは @繁栄の基礎となる社会インフラの整備の後、国民や地域社会の主体性にゆだねる A熟柿の政治。国民的な合意形成を重視する。憲法のあり方など政治が前のめりに誘導してはならぬ。 B日米同盟を基軸にしながらも国連中心主義とアジア近隣諸国の信頼関係構築 C守るに値する国づくり D経済至上主義への警戒感を持つこと−− をあげている。首肯すべき点は多い。一歩間違うと夜郎自大になってしまう国民性ゆえに。
読了日:11月23日 著者:中谷 元
お言葉ですが…〈別巻5〉漢字の慣用音って何だろう?お言葉ですが…〈別巻5〉漢字の慣用音って何だろう?
読了日:11月23日 著者:高島 俊男
なぜ自民党の支持率は上がらないのかなぜ自民党の支持率は上がらないのか感想
仕事の都合があって読了。日頃、氏がホームページで書き綴ってきたことをまとめたものであるという。 @1冊の本にしたときには、部立てにせず、時系列の方が読みやすかったかもしれない。 A外交論、防衛論は自家薬籠中のものであると感心した。明快である。 Bその一方で、この本では地方の振興、再生はどうすることから始めるのか、という部分がもっと具体的に持論を展開されていたらよかったような気がする。たぶん、地方にいると、自分たちがいかな状況にあるかという自覚すらないままになってしまう気がするから。
読了日:11月23日 著者:中谷 元
ことばと文字と文章と―お言葉ですが…〈別巻4〉ことばと文字と文章と―お言葉ですが…〈別巻4〉感想
1年経って、読んだのも忘れて再読。今次の評価は前回と逆。「漢字」というツールを使って一定の文化圏を築いてきたこのエリア、発音はどうあれ、文章語として互いに意味が通じ合うという意味で「文語文」という文章が成立してきた、という指摘は新鮮。今まで文語文&口語文という対句は何度となく見てきたけど、これが一番明解な考え方です。落ち着いて読むと違うものですな。ただ、表題部分の約130ページが出色。外地での日本語教育や「閩妃殺害」の話はちょと筆者のお好み、なのでしょうな。
読了日:11月20日 著者:高島 俊男
未完のファシズム: 「持たざる国」日本の運命 (新潮選書)未完のファシズム: 「持たざる国」日本の運命 (新潮選書)感想
上手い本です。15年戦争の末期、「持たざる国」日本は精神力ですべてを解決することに一縷の望みをかけた。でもこの発想は実は第一次大戦の戦訓から「持たざる国」という自覚の下に展開していったことであると立論して見せます。「短期決戦で」と考えた小畑敏四郎、「持てる国への変容を」と考えた石原莞爾&田中智学、「精神力で」と考えた中柴末純、そして末期を看取った酒井鎬次−−。各々狂気と自覚しつつ突き進んだのがよく分かります。そして「統制派」と「皇道派」の違いを明快に説いた本。狂気と正気は紙一重です。何より後書きが秀逸。
読了日:11月5日 著者:片山 杜秀
古典劇との対決―能・歌舞伎・僕達の責任 (1959年)古典劇との対決―能・歌舞伎・僕達の責任 (1959年)感想
ま、60年安保前夜の本です。シテ第一主義、幽玄絶対主義などなど、戦前から続く能への評価への精一杯のアンチテーゼを示そうとしているのですが、悲しいくらいに稚拙、凡庸。「芸術家たらんとする行為を放棄しながら、芸術家として遇されたいという矛盾の谷間に、能楽師は常に漂泊している」と喝破するのは簡単なんですけどね。今となっては能にそれだけの熱を持って語っても聞いてくれる民がいない現実。ただ、雀百までといいますが、この人の言っていることはそう進歩していない、というのがよく分かる1冊ではあります。渡辺保もこの洗礼の下に
読了日:10月31日 著者:堂本 正樹
街場の文体論街場の文体論感想
「文体論」というよりも、言葉とは(意思の疎通とは)どういう仕掛けなのか、ということを説いておられます。講義録だから読み手としても軽快に、でも考えながら読めます。司馬遼太郎や村上春樹についての見立てが即妙。ただ文章を書くことを商売とすれば、「やさしく読みやすく」がともかく第一条件。内田先生のようになかなかに達意の文章というのはかけないものだ、と思い知らされます。
読了日:10月21日 著者:内田樹
四字熟語の中国史 (岩波新書)四字熟語の中国史 (岩波新書)感想
漢字2字の組み合わせで生まれる熟語。筆者はAとB(ex.矛盾)、BをAする(ex.臥薪)、Aと同じB(ex.名称)、AのB(ex.乱世)、Aと非AのB(ex.売買)の5類に分ける。それを2倍にしたのが四字熟語。「温故知新」の訓読を朱子学から古学に目を転じて論じたり、「不射之射」では中島敦の名人伝に論及したり。「宋㐮之仁」では春秋の公羊伝や左氏伝(余談ながら春秋三伝の残り一つは穀梁伝)の話が出たり。単に四字熟語の話というより、丸谷才一の中国版、という飛躍の仕方。楽しい1冊。
読了日:10月18日 著者:冨谷 至
差別語からはいる言語学入門差別語からはいる言語学入門感想
2012年6月発行のちくま文庫版で読了。言語学の概念をご説明になっているのはわかるのだが、これは言語学を修めようといういう方向けの本です。文字は追えても難解です。正直にいうと途中から飛ばし読みになってしまいました。いくつか心に残る記述もありましたけど。
読了日:10月10日 著者:田中 克彦
江戸歌舞伎役者の“食乱”日記 (新潮新書)江戸歌舞伎役者の“食乱”日記 (新潮新書)感想
3代目中村仲蔵の日記「手前味噌」から、食い物ネタを拾い集め、再編集した読み物。終始軽い調子で読みやすい上に、筆者の脱線のし具合も丁度いい塩梅。本書で紹介している「鮎の素揚げを大根下ろしを添えた醤油で食う」とか、「筍を二つ割にして味を整えた生卵をいれ、再び合わせて荒縄で巻いて焼いたもの」とか。ちょっと食べてみたいものが次々こに出てくるのがたのしい。好読み物かな。関連したジャンルに関心を移していくと記す筆者に性向が近い所為かも。
読了日:10月10日 著者:赤坂 治績
関東大震災と鉄道関東大震災と鉄道感想
大正12年9月1日。南関東を襲った関東大震災での鉄道の被害に焦点を合わせた1冊。被害状況や事後の対応を点綴していく。印象深かった挿話。東海道線根府川駅の地崩れで列車が海まで押し流された惨事だ。あと関釜連絡線を管理していた門司鉄道局の対応。被害状況から船2隻を東京に回航、京浜間と清水港の貨客輸送の任に充てることを課長級の会議で決め、進めたこと。鉄道電話の活用の逸話、新聞記者がどう東京〜大阪を動いたか等々。事実の積み上げが全体像を浮かび上がらせる。その像を脳裏に描きながら今、同様の事態が起きたら、と考える。
読了日:10月9日 著者:内田 宗治
武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす (中公新書)武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす (中公新書)感想
中世の武士は今でいえば暴力団である、というテーゼは実にセンセーショナルではあるけど、本書の前半はこの命題の人文科学者としての解明の姿勢が貫かれたのしい。決して八幡太郎義家も武士であり無頼の徒でもあったのだ。後半はやや前段の詳解風で、重箱の隅感もあるけど、丁寧。ある意味で新鮮な驚きのある1冊。
読了日:10月5日 著者:野口 実
歌舞伎劇評歌舞伎劇評感想
渡辺センセも若かった、ということでしょう。能評なら、坂元雪鳥→大河内俊輝→堂本正樹という藝風の変遷があったわけだけど、歌舞伎評ならだれから始まるのかな。とあれ、渡辺センセがその最新の位置近くにいるのは間違いないのだけど。
読了日:10月2日 著者:渡辺 保
地図から読む歴史 (講談社学術文庫)地図から読む歴史 (講談社学術文庫)感想
地図ってのは、いろんな手がかりを今に残してくれているわけで、その点でこの本は地名であったり、遺跡発掘資料だったり、史料文献だったりと博索統合して、いろんな結論を導き出すという知的な「遊戯(といっては研究者に失礼か)」のやり方を教えてくれる本です。ただ、話が近畿に偏っていること、ちょっと……、かなあ。好きな分野で丹念に書いてある本だけど。個人的に地図を読むのは好きだけど、ちょっと読み方が小拙とは違う気もするので、違和感が残ったのかもしれない。今でも謄本でとれるけど、明治初期の地形図って確かに示唆に富んでます
読了日:10月2日 著者:足利 健亮
フェイスブックが危ない (文春新書)フェイスブックが危ない (文春新書)感想
データ検索をかければ履歴や行状は想像がついてしまうので公開しているけど、改めていろんなところに、落とし穴があるものと感心。自身のことはもとより、「友人」に迷惑をかけないような配慮が必要と再認識した。Facebookの一面を教えてくれる興味深い本です。 ということで、セキュリティの強化をしました。
読了日:10月1日 著者:守屋 英一
武器としての社会類型論 世界を五つのタイプで見る (講談社現代新書)武器としての社会類型論 世界を五つのタイプで見る (講談社現代新書)感想
人間の社会、というか世界の社会を5つの類型に分類したら、という話。曰く 1)上個人下共同体型→古代西洋社会がモデル 2)上共同体下個人型→中国の伝統的社会がモデル 3)全体共同型→日本の伝統社会がモデル 4)資格共同体型→インドの伝統的社会がモデル 5)掟共同体型→古代ユダヤ教社会がモデル という具合に類型化しては、というのがこの本の要諦。 でもおもしろそうなのだけども、申し訳ない、筆者が神学者だった。非常にわかりやすい文字が並んでいるのだけど、頭の中に絵が描けない。お手上げです。
読了日:9月30日 著者:加藤 隆
川と国土の危機――水害と社会 (岩波新書)川と国土の危機――水害と社会 (岩波新書)感想
一つひとつの要素は特に目新しいものではないです。でも一つひとつの事象をつなぎ合わせていくことによって、大きな景色を目の前に見せてくれる本です。 総じて地図も丁寧だし、記述も平易。明治以降の治水政策の限界であったり、高度成長期を挟んで、日本の水、川を取り巻く環境が変わってきたこと、あるいは沖積地の利用が変わってきたことがよくわかります。先の「森林飽和」と併せて読むとおもしろいかも。
読了日:9月30日 著者:高橋 裕
町の忘れもの (ちくま新書)町の忘れもの (ちくま新書)感想
なぎら先生の写文集。元々は東京新聞の連載らしい。 街角で見かけたもの、ポンプ井戸だったり、貸本屋だったり、公会堂だったり。 少し前まではごく自然に身近な存在であったのだけど、今は消えかかっているもの。なぎらセンセの筆にかかれば嫌味なく読み飛ばせるのが楽しい。 確かに、こういうものってあったよなあ、と思う。 ちょっと楽しい1冊。
読了日:9月30日 著者:なぎら 健壱
百年前の日本語――書きことばが揺れた時代 (岩波新書)百年前の日本語――書きことばが揺れた時代 (岩波新書)感想
表題は「百年前の日本語表記」とするべき本です。言葉に西洋活字が出会った時に、どういう変化が起きたか、という点では興味深い指摘かもしれません。でも、文科省の報告書のようで、その枠を超えない、表記法の話が大半です。本当は日本語の100年前の、話言葉の話を期待していたのですが。話言葉と書き言葉の乖離みたいなテーマならじっくり読みたかったけど。
読了日:9月29日 著者:今野 真二
新約聖書外典 (講談社文芸文庫)新約聖書外典 (講談社文芸文庫)感想
逡巡していた本。「古代オリエントの宗教」を読んで、手を出した。 所謂、新約聖書の正典=カノン=(ヨハネ、ルカ、マルタ、マタイの福音書など27編)の他に、外典=アポクリファ=とよばれる一群の本があり、それは時代によって、教派によっては正典とされ、あるいは読み物として流布していたものの、脱落していったものだ。でも、先記の本を読むと、何が正統というべきなのか、よく分からなくなる。そういう意味で、興味深い1冊かも。所収の「トマスによるイエスの幼児物語」なんて、もし事実なら恐ろしい内容、ですから。
読了日:9月25日 著者:
劇評家の椅子―歌舞伎を見る劇評家の椅子―歌舞伎を見る感想
筆者が評価の規矩としているのは3つ。「藝」「型」「役者」の3語だ。換言すれば演技、演出、俳優となるのだろうが、その意訳からはこぼれてしまう部分、澱のようなものが実はある。その出来不出来について、渡辺は一生懸命論じている。巻末の一文を読んでから、本編の劇評の部分を読んでいくといい。氏の文章は好きだけど、月1回の雑誌連載を1冊にすると、いささか鼻につく匂いもあるのは事実。「私はまず読者と、そして役者と真剣勝負をしている」とあとがきに書いているけど、これだけの手練れも時にウブになるのかな、と思った。
読了日:9月23日 著者:渡辺 保
重金属のはなし - 鉄、水銀、レアメタル (中公新書)重金属のはなし - 鉄、水銀、レアメタル (中公新書)感想
重金属、というと、日常生活に無縁のような感じがするけど、実は人間が生きて行くには微量は欠かせないもの。でも量が過ぎれば毒になる、という。筆者は重金属のもつ役割を丁寧に説明し、水銀や鉛、カドミウム、砒素、銅などの各論に進める。丹念な書きっぷりには敬服。末尾の方で、生物は酸素という有毒なものを生きていくために使うことを始めた時から、こういう諸物質を生かす機能を付けてきたというのはすこぶる示唆に富む。理系でなくても是非読んでほしい1冊。ついでに岩波新書の「口伝 亜砒焼き谷」を書棚で探しているところ。
読了日:9月17日 著者:渡邉 泉
佐川男子佐川男子感想
近所のカレー屋シェヌーで見掛けて買って見たけど、まあ、評すること能わず、という感じ。佐川のドライバーの図鑑です。それ以上でも以下でもない。お好きな向きはどうぞ。結構写真は綺麗です。
読了日:9月9日 著者:
舞台を観る眼舞台を観る眼感想
歌舞伎を始め、古典芸能の世界での評論が主なグラウンドの氏。その氏が所謂、商業演劇系も材料に評論した部分が大半を占める。でも一生懸命書こうとしているのだけど、ピンと来ない。なぜか。古典芸能なら「型」があり「規矩」がある。でも現代の演劇にそれはない。物差しが氏の目だけになってしまうと、箇条書きの説明も腹に収まらなくなる。ただ、随筆部分の「批評家の視座」の部分は、肩の力の抜けたように見せている好随筆が並ぶ。最終章の「折口信夫という存在」は折口の弟子筋で言えば第2世代に当たる筆者、言葉の調子の割に説得力に欠ける。
読了日:9月8日 著者:渡辺 保
日本の楽劇日本の楽劇感想
音楽と所作が伴ったものを、筆者は「楽劇」と呼んだ。歌舞伎、文楽、能楽、琉球舞踊、寺院での法要などなど。各分野のほんの小さなことでも一家をなせる業績だがいとも簡単に、横に並べて論じていくのはこの人しかできない才能だ。幼少期、相撲に親しみ、手さばきを1番ずつメモしたという。各章の論文の出来は明快で秀逸だが、巻末の自叙伝が秀逸。アルゼンチンに渡った幼児期、フランス語を生かして理丙に入りながら文学部に転じた学生時代、習志野で毒ガス弾を打つ練習をしたこと……。経験すべてを梭にかけて縦糸横糸見事に織り上げた天才だ。
読了日:9月8日 著者:横道 萬里雄
日本語雑記帳 (岩波新書)日本語雑記帳 (岩波新書)感想
全部で9章の章立てのうち、興味を持って読めたのは前半の5章まで。たとえば方言の項で、「学区」と「校区・校下」の使い分けが新潟・親不知から木曽三川に至る境界で分かれるとか、「シアサッテ」と「ヤノアサッテ」の順番が東西に分かれ、なおかつ首都圏では埼玉の影響が出るとか、アクセントの問題(しん」かん「せん、かしん」か」ん「せんか)とか、まではこの寸法の読み物として面白いのだけど。どうも終盤の方は、国立国語研究所の先生の顔がチラチラ見え出すのが気になる。軽い雑記帳としてはいい、読み物ですけどね。
読了日:9月7日 著者:田中 章夫
日本語練習帳 (岩波新書)日本語練習帳 (岩波新書)感想
だいぶ昔によんだけど、「日本語雑記帳」と間違って読んだ、を押しました。再読したわけではないのであしからず。しかし、のであるは、文章のリズムとして、碩学がどう言おうと、使う時は使う、のである。
読了日:9月7日 著者:大野 晋
詩歌と戦争―白秋と民衆、総力戦への「道」 (NHKブックス No.1191)詩歌と戦争―白秋と民衆、総力戦への「道」 (NHKブックス No.1191)感想
文部省唱歌を底流とした「官製の郷愁」から、大正期の童謡運動、労働運動を押さえ込もうとする動きの上にある新民謡運動−−北原白秋という人物を狂言回しに論考を進めていく。関東大震災後の混乱、不況、15年戦争へ。歌の担った役割は、郷土愛だったり、帰属意識だったり(校歌、社歌、新民謡)。白秋は先頭に立っていた。国への帰属意識の発露として出たのが国民歌謡。国家総動員体制への応援歌だった。でも、これらの動きは戦後も脈々と続いていく。「型に鋳込まれた」郷愁が歌で刷り込まれることを自覚しておくことは無駄ではない。
読了日:9月3日 著者:中野 敏男
あらゆる小説は模倣である。 (幻冬舎新書)あらゆる小説は模倣である。 (幻冬舎新書)感想
小説、否、文章を書くと言うことは誰かの模倣から始まる。それは仕方のないことで、意味が通じるからと言って話した言葉そのままでは文章にならないことを見れば分かるだろう。筆者はその1点を繰り返し述べる。夏目漱石であり、村上春樹であり。でもそれが何の新味があるというのだろう。特に最後の小説の習作を指導する部分はナンセンスだ。使う言葉は「盗作」「剽窃」とこけおどしだけど、遣っていること自体は何も新しいことはない。ちょっと残念な1冊。
読了日:8月24日 著者:清水 良典
古代オリエントの宗教 (講談社現代新書)古代オリエントの宗教 (講談社現代新書)感想
今のキリスト教世界から見るとマニ教も、イスラームもあるいはアルメニアのミトラ信仰も、すべて異端に見える。でも教義からいうと、拝火教は別にしても、ユダヤ教あるいは古代キリスト教の一派であり、日本国内で奈良仏教、平安仏教と、日蓮宗、浄土真宗ほどの差はない、ということに驚かされる。イスラームの信仰も一享受史に過ぎない。キリスト教を西から眺めるか、東から眺めるかでかくも姿、形が違って見えるというのが興味深い。消えた記録、文書から研究する碩学に敬意を表す。唯一、「もたらす」を「齎す」と書くのは筆者の衒学趣味?
読了日:8月21日 著者:青木 健
日本の土木遺産―近代化を支えた技術を見に行く (ブルーバックス)日本の土木遺産―近代化を支えた技術を見に行く (ブルーバックス)感想
橋、堤防、防波堤、築港、堰堤などなど、明治期以降に、こんなにも多くの土木工事が行われ、なおかつ現役で稼働しているというのは一種の驚きがある。 もちろん、単なる遺産になってしまっているものもあるが。 それにしても、鉄筋コンクリートという技術や、熔接という技術がまだ未成熟だった時代から、何とか工夫を重ねてきた先人には頭が下がるし、この本に取り上げられている構造物の多くには、一度はいってみようか、という気分にさせられる不思議な魅力がある。文体は正直のところ単調だけど、それを上回るおもしろさを教えてくれる1冊。
読了日:8月15日 著者:
戦前昭和の国家構想 (講談社選書メチエ)戦前昭和の国家構想 (講談社選書メチエ)感想
戦前日本の少なくとも政治を動かした4つの理念、「社会主義」「議会主義」「農本主義」「国家社会主義」の各観点から、どういう受容があり、それはなぜ主流たり得ぬものに転落して行ったのか、を紐解く。この本は著者の「戦前昭和の社会」(講談社現代新書)で感じた、今の時世を見た時に感じる既視感、特に議会主義、国家社会主義の項でそれを強く感じる。石橋湛山、斎藤隆夫……今振り返っても具眼の士とは思うが、力を発揮できないままに終わる。何とも言い難い「民意」とは何なのだろう。
読了日:8月12日 著者:井上 寿一
明治百年―もうひとつの1968明治百年―もうひとつの1968感想
一言で言えば「渾沌」。明治百年だったこの年は、記憶を辿れば、日本中に奉祝の提灯がぶら下がり、新聞・雑誌が特集を組んだ。色々な事が同時多発した。一つひとつの動きは関連があったとは思えなかったけど、筆者の羅列するように、この年には大いなる何かの意図があったのかもしれない。この本、最後までカオスなのだが。 ある意味で、これだけの変化の結節点だった、ということを再確認する意味ではいい本なのかもしれないけど、当時の政府を含めての意図、大いなる力が働いていたような気もする。
読了日:8月11日 著者:小野 俊太郎
俳句の向こうに昭和が見える俳句の向こうに昭和が見える感想
自作他作を含めて、昭和の時代に詠まれた俳句をネタにした自叙伝。 佐田岬半島の小村に生まれた筆者が、川之石高校に進み、立命大に進み、教師になり……という間に、世の中は米が余る時代になり、高度成長期になり、バブルに向かって一直線。 時代の諸相と、自身の思い出とを横糸に、取り上げた俳句を縦糸に、時代の姿を織り上げていった1冊です。 なかなかに出来はいいと思います。 それと、故郷が原発立地となったことについて。昔は甘藷や雑穀の畑がいつの間にか密柑山になり、原発ができると放棄農地になっていった、という話は示唆的。
読了日:8月10日 著者:坪内 稔典
特高警察 (岩波新書)特高警察 (岩波新書)感想
一言でいえば、筆者が結びに代えてでいう、「特高警察とは戦前日本における自由、平等、平和への志向を抑圧統制し、総力戦体制の遂行を保持した警察機構、という定義になる。ただこの官僚組織は当初の目的を逸脱して、共産主義、国家主義、宗教と次々に取り締まるものを増やした。要はミジンコの様に官僚組織は現状維持のためには無限増殖するという一番の好例だろう。
読了日:8月8日 著者:荻野 富士夫
カラー版 北斎 (岩波新書)カラー版 北斎 (岩波新書)感想
「富嶽三十六景」に至るまでの北斎の画業の積み重ね、そして終えた後(版元の都合もあろうが)の肉筆画に移行していく過程と、いずれも資料、作品の積み重ねからの考察で気持ちがいい。 ただ惜しむらくは、絵が少ないこと。特になかなか閲覧の困難なものも多そう。こういう時のために、画集を別冊にして出してくれないだろうかね。岩波さん。 今後もっと工夫してほしいなあ。 中で「彫りにうるさかった北斎と摺りにうるさかった広重」という記述が出てくる。2人の作品の差を言い表して妙。いい本。
読了日:8月5日 著者:大久保 純一
治安維持法 - なぜ政党政治は「悪法」を生んだか (中公新書)治安維持法 - なぜ政党政治は「悪法」を生んだか (中公新書)感想
警察組織、思想動向を統括した内務省と、法曹の世界を牛耳った司法省。この2つの組織の思惑に乗り、目先の利益(政争)での覇権を願った政党。 その三位一体が「治安維持法」という怪異な法律を生み出していった、というのがよく分かります。 いきなりこの法律が生み出された訳ではなく、その前段として「小さく産まれた」段階があった訳で、これは今の政治にも当てはまるような気がします。 今、政治の世界で「決断」と称して専断していこうとしていることが、政党の消長とは無縁にことが進んでいく。この法律の教訓をしっかり掬み取らねばと思
読了日:7月29日 著者:中澤 俊輔
いしいひさいち  仁義なきお笑い (文藝別冊/KAWADE夢ムック)いしいひさいち 仁義なきお笑い (文藝別冊/KAWADE夢ムック)感想
やはり巻頭のインタビューが出色でしょう。インタビュー形式で本人が書くというもの。いままで画業40年の来し方行く末を語っています。 朝日新聞連載の「ののちゃん」が「写経」というのは秀逸。と同時に、「地球防衛軍のひとびと」のしりあがり寿と、「ののちゃん」のいしいひさいち。同じことを言っているのだけど、自分という立場をともに見据えていることに好感を持ちましたね。
読了日:7月26日 著者:
へうげもの(15) (モーニング KC)へうげもの(15) (モーニング KC)感想
関ヶ原の合戦編。そこは通り一遍の小説とは異なり、山田ワールドであります。光成が最期に頓悟した世界、ああいう風に絵にされると非常に愉快。 それとこの巻から登場の大久保長安。だれかの絵に似ていると思ったら、たぶん藻黒服蔵のイメージなんですね。 上手い本歌取りです。 という訳で、この漫画も大団円が近くなってきたのがちょっと寂しくもあります。
読了日:7月25日 著者:山田 芳裕
ミッドウェー海戦 第二部: 運命の日 (新潮選書)ミッドウェー海戦 第二部: 運命の日 (新潮選書)感想
第1部でそういう印象を持ってしまったので飛ばし読み。いろいろな人物が登場するけど、毀誉褒貶は世の習い。きちんと結果を清算しないままに、都合のよい事実だけで次に進むというのは、日本の国民性なのかもしれない。ただ、筆者の言いたかったことはこの巻の「あとがき」に尽きる。そういえばあまりピンと来なかった「作家と戦争 城山三郎と吉村昭」の筆者であったかと後で気がついて、ちょっと後悔。
読了日:7月22日 著者:森 史朗
ミッドウェー海戦 第一部: 知略と驕慢 (新潮選書)ミッドウェー海戦 第一部: 知略と驕慢 (新潮選書)感想
世に知られた太平洋戦争の転換点。その前後を綴った1冊なのだけど、どこまでが資料に依拠しての記述なのか、どこからが小説仕立てなのかが、正直のところよく分からない。この手の話はその1点が一番肝心なところだと思うのだが。
読了日:7月22日 著者:森 史朗
藤森照信の茶室学―日本の極小空間の謎藤森照信の茶室学―日本の極小空間の謎感想
分かりやすく要約すれば、利休の作ったと言われる二畳台目の茶室は、メビウスの帯の親戚、クラインの壺であったという見立てをした点。「へうげもの」という作品は、この本を画像化したということがよくわかる。 あと、待庵という空間は、仮設の茶室で、宝積寺阿弥陀堂内に作られたという解説はすこぶる興味深い。後段は近代建築における茶室の享受史。前段の絵解きに比べてちょと、ね。
読了日:7月22日 著者:藤森照信
鉄道地図 残念な歴史 (ちくま文庫)鉄道地図 残念な歴史 (ちくま文庫)感想
新味なし。残念な内容です。もっと丁寧な本があります。期待したので……。 明治時代の民鉄の国有化、先の大戦前後の混乱などなど、既出の話が多く、もっと新しい視点がほしかった。 それと、国鉄民営化のどさくさの影響をもっと掘り下げてほしかったですね。
読了日:7月12日 著者:所澤 秀樹
句読点、記号・符号活用辞典。句読点、記号・符号活用辞典。感想
真剣に読む本じゃありません。でもパラパラとめくっている分には楽しい。 ちょんちょん括弧を井上ひさしが使っていたり、単柱2本が日本語入力の時はダッシュの用例として普通、とか。 あれこれ、文章を書く上で、飾りをどう使うのか、考えさせてくれる本です。 そう、池波正太郎の括弧にも一時、あこがれた時期があったなあ。
読了日:6月30日 著者:
銀幕の銀座 - 懐かしの風景とスターたち (中公新書)銀幕の銀座 - 懐かしの風景とスターたち (中公新書)感想
元は連載。本にすると一部重複感はあるけど楽しい1冊。「昔恋しい銀座の柳」の時代から、東京五輪前後までの映画に出てくる銀座を取り上げる。映画のあらすじを紹介しつつ、俳優のエピソードもいれ、自身の感想も織り込む。こういう藝はなかなかにできることではありません。 取り上げられている映画何本かは実際に見てみたくなるような気も起きます。 東京五輪前後で筆を置いていますが、「それ以降は銀座が映画の舞台にあまり取り上げられなくなった。新宿、渋谷と繁華街が増えた」からと分析する。確かに一つの文化が終わったといえまいか。
読了日:6月22日 著者:川本 三郎
大相撲新世紀 2005-2011 (PHP新書)大相撲新世紀 2005-2011 (PHP新書)感想
期待した私がバカでした。新味がない。途中から身辺雑記になっている。世間様に問うほどの中身はない。一番の今の角界の問題は、NHKが勧進元になって支えている構図。もしNHKがつっかえ棒を外したら、土俵は維持できなくなる。その自覚が全くないことこそ問題なのだが。
読了日:6月19日 著者:坪内 祐三
将棋名人血風録    奇人・変人・超人 (oneテーマ21)将棋名人血風録 奇人・変人・超人 (oneテーマ21)感想
いわゆる聞き書き。本の構成がなっていない。次に内容が平板。木村、大山、升田の下りから、ちょっとでも将棋の本を読んだ人間なら新味が全くない。第3に将棋の手筋の話が出てくるのに、盤面図がない。不親切極まる。第4に結局は自慢話である。1冊読むのは苦痛。同じ将棋の世界なら、先崎学くらいものが見えていないと、新書にする意味がない。最も筆者が一番の奇人かもしれないのだが。
読了日:6月15日 著者:加藤 一二三
日本のお守り―神さまとご利益がわかる日本のお守り―神さまとご利益がわかる感想
お守りの本。オールカラーで、きれいな本だ。興味とすれば、何を日本人が祈ってきたのか、という点。昔から伝わるものには、それなりの趣が備わっている一方で、神社仏閣も商業主義に走らざるを得ない現実の前に生み出されたものも目につく。ま、それなりに楽しい1冊。でもこの値段は高かったかな、内容と比べて。造本からして仕方ないのだけど。
読了日:6月11日 著者:
三日月とクロワッサン三日月とクロワッサン感想
筆者は東大大学院理学系の教授で、専門は宇宙物理学。ダークマターの存在などを研究している方。産は安芸市。最初の方に「高知県のソウルフードは柚の酢」という自己分析に感銘を受けて読み通してしまった。途中までは(具体的には東大出版会のUPに連載していた部分)は門外漢でも読みやすい。人生の幸せについての対数微分(全然分からぬが)し、さらに積分と数式で考えるところ面目躍如。後段でこの数式の間違いもまた自ら挙証するのは科学的態度である。「ローの精神」「三日月とクロワッサン」等々、力の抜けたいい文。註にまた味がある。
読了日:6月8日 著者:須藤 靖
劇評になにが起ったか劇評になにが起ったか感想
1960年代後半、つまり70年安保前夜の時代の劇評(というか演劇論)を集めた1冊。確かにあの時代は熱かったというのは伝わってくるけど、この渡辺保らしい理屈だった立論に若さの故か、余裕がなく、読んでいていて息苦しくなってくるような感じ。でもこういう時代があったればこそ、渡辺保の今があるのかな、とも思えてくる。ともかく、アジテーション紙一重、の時代なのだった。
読了日:6月6日 著者:渡辺 保
「ガード下」の誕生――鉄道と都市の近代史(祥伝社新書273)「ガード下」の誕生――鉄道と都市の近代史(祥伝社新書273)感想
ガード下、というのは当たり前の話だけど、都市文化なのである。都市でなければガード下はない。 で、ガード下というのは、建築と土木の中間、隙間のような存在であるという指摘は当たっているし、全国各地のルポも楽しい。 で、次の展開があるのか? 鶴見線の国道駅周辺や、阪堺線の美章園駅付近を美化するのは簡単だ。でもそれだけではすまない問題があるような気がする。 もうひとつ、掘り下げてほしかった。 でも。それはそれなりにおもしろい本でした。
読了日:6月4日 著者:小林 一郎
究極のナローゲージ鉄道 せまい鉄路の記録集究極のナローゲージ鉄道 せまい鉄路の記録集感想
ナローゲージ、というのは線路の幅がJRの在来線よりも狭いもの、いわゆる軽便鉄道のこと。地方の私鉄や森林鉄道、拓殖軌道、鉱山鉄道など、全国各地にあった。この本は今までの本にはない、個人商店のトロッコまで掲載しているのがおもしろい。中で立山砂防軌道の話が出てくる。実は中、高時代の畏友のお陰で、今では乗ること自体が幻になってしまったこの軌道にのったことがある。トロッコに屋根がついた程度の客車で4段、18段といったスイッチバックを上がっていった。その写真も多く掲載されていて、思い出の再確認となった。一興!!
読了日:5月31日 著者:岡本 憲之
コンパスと定規の数学: 手で考える幾何学の世界 (アルケミスト双書)コンパスと定規の数学: 手で考える幾何学の世界 (アルケミスト双書)感想
中学時代、幾何の作図はコンパスと定規しか使ってはいけない、と習った。 そんな懐かしいユークリッドの世界を思い出し、遊んでくれる本です。 最初は垂線を立てる、平行線を引くといった基本的な話から、正多角形の作図、黄金分割、螺旋、楕円といったものの作図まで、順を追って説いてくれています。勿論理解を超える説明もありますが、久しぶりにコンパスと定規を操ってみたくなること請け合いです。
読了日:5月31日 著者:アンドルー・サットン
股間若衆: 男の裸は芸術か股間若衆: 男の裸は芸術か感想
一言で言えば、男性彫刻、あるいは絵画、写真に於いて「股間」をどう表現してきたか、という論究。元々は芸術新潮の連載にて、3編に渡って書き継がれたもの。 明治時代に公序良俗の名の下に、男性の股間はあるものは切断され、あるものは「とろけて」いく。それも戦後の訪れとともに、日の目をみるようになる。 この本の難解さは、先に書いた通り、3編のオムニバスになっている点にある。もし、構成を換骨奪胎して、時系列に書き直してくれていたら……。ずっとわかりやすい本だったに違いない。 もっとも美術史書である。わかりやすい、という
読了日:5月26日 著者:木下 直之
家元探訪: 未来を見据える十人家元探訪: 未来を見据える十人感想
土台は読売新聞web版の記事。その中身だけど、一つには人選。家元制度については林家辰三郎、西山松之助を初め、先賢の研究が積み重ねられてきたのだけど、その辺の知見が生かされている感じが薄い。何か、「家元」と称する人に、「よいしょ」の質問をして、喜ばせて1冊に仕立てた、みたいな感じがある。どうにもよろしくない。中で何人かは、面白いものもある。でも、駄作のインタビューが大半を占める気がする。第二次大戦後に芽生えた、理非を明らかにする視点を見失った。中で団十郎丈のものが出色。
読了日:5月26日 著者:河村常雄


posted by 曲月斎 at 03:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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