2013年01月01日

2012年12月に読んだ本。

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2601ページ
ナイス数:143ナイス

ダムの科学 -知られざる超巨大建造物の秘密に迫る- (サイエンス・アイ新書)ダムの科学 -知られざる超巨大建造物の秘密に迫る- (サイエンス・アイ新書)感想
門外漢にもダムの何たるかを冷静に教えてくれる入門書。トリビア的には、重力式のダムで、鉄筋をほとんど構造体には入れないとか、コンクリートも大粒の固練りで仕上げるとか、一般の建築物とは違う、ダムならではの不思議も教えてもらってちょっとお得、という感じ。身近にあるロックフィルダムの水利権更新が間近に迫っていることもあって読んだのだけど、濁水対策とか、自然負荷の軽減とか、今や日進月歩ですな。高度成長期に造ったダムも老朽化しているんです。あと黒四ダムってのは今も大した存在であるのだな、というのがよく分かります。
読了日:12月27日 著者:一般社団法人 ダム工学会 近畿・中部ワーキンググループ
9条どうでしょう (ちくま文庫)9条どうでしょう (ちくま文庫)感想
総選挙の最中、一つの単語が脳裏を離れなかった。「軽躁」である。ほんの60余年昔の日本という国を因数分解すれば、この言葉になると指摘したのは阿川弘之。筆者の論考はさておき、一色に染まってしまいやすいのが自分を含めての特質であるかもしれないというのは、誰も否定できないのではないか。本書で内田樹が書いている「内政的矛盾」を受け入れ、いきていくのがいい。GHQ民政局が提示した現憲法であるにせよ、軽躁さを自覚した当時の先人が受け入れた叡知という気がする。やはりこの件は自覚的に先延ばしにするのが一番いいように思える。
読了日:12月24日 著者:内田 樹,平川 克美,町山 智浩,小田嶋 隆
妄撮男子妄撮男子感想
写真の合成の趣向がちょっと気になって買ってみたけど、どうやって処理しているのか、とうとう分からなかった。今どきの写真は画像処理ソフトでどうにでもなるものなあ。
読了日:12月22日 著者:
文様別 そば猪口図鑑文様別 そば猪口図鑑感想
読んだというより、眺めた本。小さな蕎麦猪口の世界に広がる無限の意匠を次々と紹介してくれる。どうしてこういうデザインになるのかは、よく分からない。でもその形や色が小粋に見える。別に古伊万里でなくても古有田でなくても、現代の作家の作品でも楽しい。その本歌を集めた1冊。もう少し図版が大きいといいんだけど、文庫サイズだから仕方ないですね。
読了日:12月21日 著者:
世界軍歌全集―歌詞で読むナショナリズムとイデオロギーの時代世界軍歌全集―歌詞で読むナショナリズムとイデオロギーの時代感想
辞典本。世界の軍歌の流れを、ナショナリズムの目覚め、国民国家の盛衰、イデオロギーの時代、総力戦体制の完成、多極化する世界の5部立てで分類、その時代に成立した曲の歌詞を原詩、邦訳という形で紹介していく。冒頭の1曲目は「ラ・マルセイエーズ」。そして筆者は「今やYouTubeで簡単に曲を聴くことができるので、それを聞きながら読んでほしい」とも。Webとこういう形で融合した本が出現したのがすごい。それと先行したサイトで今は閉鎖されてしまった「軍歌索盤考」の名が懐かしかった。とてもいいサイトだったのだが。
読了日:12月21日 著者:辻田 真佐憲
随感録 (講談社学術文庫)随感録 (講談社学術文庫)感想
紐育のウオール街に端を発した大恐慌の下にあって、台風の最中に窓を開けるようなものと言われた金の旧平価での解禁を指揮した井上準之助蔵相。その政策を後押ししたのが浜口雄幸だ。「国家のために斃れるのは本望」と語り、ある意味では決断できる政治をしたかのように評価する向きもあるが、状況を勘案すれば如何だったろう。むしろロンドン軍縮会議を成功させたことに意義があったものの、彼がある意味で戦前の日本で舵を切ってしまった部分があるのは否めない。「率直な心情」とはいうものの、本音の10分の1も書き残して居ない気がする。
読了日:12月14日 著者:浜口 雄幸
アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲 (集英社文庫)アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲 (集英社文庫)感想
表題の内容は第1章の「強さこそがすべて」の各編に書かれているだけ。ステロイドはすごい。「大きく、強く、速く」をモットーにスポーツに取り組むと、こういう悲劇も起こるだろう。それが旧東欧のような社会主義国ならいざ知らず、資本主義の権化のアメリカで起こっているというのはポンチ絵だ。でもこの件に関しては人のことをいえないのかもしれない。2章以下それ以外の章、項目はトホホのアメリカスポーツ寸景集でごく軽い読み物。何分、日本と違って広大なアメリカのことだ。何が起きていても不思議はないし、4大スポーツがすべてではない。
読了日:12月14日 著者:町山 智浩
日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)感想
豊かさって何なのだろ、と考えさせられる本です。放浪を何度も繰り返した山下清ですが、駅のベンチで大半は寝た、といいつつも、三度三度の食事にはありついていた訳で。他人(というか家族以外)を宿泊させることすら、希有になっているのが今の時代。少し余裕があれば施しもする。ゆとりが実は日本という社会を作ってきたのではないか、とも。「兵隊の位」であり、「目方で何貫か」が関心事であるにせよ、除外せずに受け入れていた社会のありよう、というのを考えさせられる1冊です。と当時の新聞記者は実にいい加減でした。目に浮かぶような。
読了日:12月10日 著者:山下 清
私の歌舞伎遍歴―ある劇評家の告白私の歌舞伎遍歴―ある劇評家の告白感想
評論とはどういう作業なのかを解説した本です。素人が宛て推量、好き嫌いで、佳い悪いを言うのと、評を業として生きる人間が記す言葉の差がよく分かります。古典芸能はとにかく見続けること、そうするとある瞬間に今まで見えなかったものが見えてくるようになる。僕もかつて経験したことです。筆者はさらに江戸時代に遡る歌舞伎の原典に立ち返り、当て書きしている脚本であるからその役者の藝に思いを巡らせ、と話を展開していきます。詰まるところは「型」にその規矩があると言います。歌舞伎に限らず、書き物をする人は考えるところ多、でしょう。
読了日:12月10日 著者:渡辺 保
写真がうまくなる デジタル一眼レフ 構図 プロの見本帳写真がうまくなる デジタル一眼レフ 構図 プロの見本帳感想
正直にいうと、あまり参考にはなりませんでした。「構図」って何だろう、と考えると、自分がそれまでに見てきた(実景であれ、絵画であれ、写真であれ、映画であれ)、アレッと思う絵が一番、参考になるからです。あれこれと考える間もなく写す写真が多い所為かもしれません、こんなことを考えるのは。でもその一瞬を切り取る、一番象徴的になるような絵にする、と考えていった結果が「構図」になるのではないかなあ。個人的には広角系の上手い使い方の参考になるかと思ったのですが。選考会狙いのアマ写真家向け、という感じ。
読了日:12月10日 著者:立花 岳志,できるシリーズ編集部
大河内俊輝能評集 2 能の見方・考え方・楽しみ方大河内俊輝能評集 2 能の見方・考え方・楽しみ方感想
能の評論というのは、ほとんど成り立たない分野だ。なぜなら、同じ古典演劇でも歌舞伎や文楽は数日間は興行されるけど、能は1日、それも1回限りの藝。となれば、評してもそれは演者に対しての無益な先入観を読者に植え付けるだけになる。わかりきってはいるのだけど、つい読んでしまった。そして大いなる後悔。自覚はあるのだろうけど、これでは團菊ジジイ以下だ。若いころの筆の冴えを知るだけに、これはこれは「老いてはせぬが花なり」ではなかったか。
読了日:12月4日 著者:大河内俊輝

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posted by 曲月斎 at 03:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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