2011年11月01日

10月に読んだ本。

matome_gimage_25109_1.jpg10月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:3419ページ
ナイス数:56ナイス



本と怠け者 (ちくま文庫)本と怠け者 (ちくま文庫)
元は雑誌の連載とネットの連載と震災以降の身辺雑記からなる。今は顧みられることの少なくなった作家、源氏鶏太とか、尾崎一雄とか。もっといえば、小林秀雄もその範疇かもしれないが。そういった作家、評論家の著作からの偶感を連記したもの。筆者はしきりに批評と評論という行為について言及しているけど、結局は何をいっても批評は印象批評に戻る。客観的な批評なんてありえない(この小文もそう)。理屈をこねる部分はいささか興に欠けるが、魅力の再認識という点では新鮮かもしれない。個人的にはこんな生活はうらやましいが、辛そうでもある。
読了日:10月31日 著者:荻原 魚雷
正真正銘 五ツ星源泉宿66(祥伝社新書253)正真正銘 五ツ星源泉宿66(祥伝社新書253)
筆者の偏狭な考え方に基づいた1冊です。某氏が提唱するという温泉水の酸化還元のどうこうという理論は全く理解できません。温泉水は還元系、さますと酸化して効能が下がるとか。無加水、さまさず、そのままでかけ流し。塩素系殺菌剤を加えないのは賛成しますが、水温40度前後の温泉なんて日本にはそう数があるはずないのです。地下数千bまでボーリングをして得ているものが有り難いというのは解せません。筆者は地熱発電に警鐘を鳴らしながら、そのくみ上げは何も問題視しない。論理的には理解できません。選ぶ旅館も何をかいわんや。
読了日:10月29日 著者:小森 威典
徹底検証 日清・日露戦争 (文春新書)徹底検証 日清・日露戦争 (文春新書)
申し訳ないけど、こういう座談会はしんどいです。どう読んでも張り扇をパンパンと叩いている講釈師を連想します。既読感が強く、半藤一利さんのたぶん主催した本とは思えない内容です。実はこの時代の日本とアジアという問題はそう簡単にはいかない気がしています。その辺りまでの言及があればもっと違った本になったと思うのですが。個人的には「轟く砲音、飛び来る弾丸……」「遼陽城頭夜は闌けて……」文部省唱歌に郷愁を抱ける人にとっては溜まらぬ1冊なのかもしれません。
読了日:10月29日 著者:半藤 一利
外邦図――帝国日本のアジア地図 (中公新書)外邦図――帝国日本のアジア地図 (中公新書)
地図というと、太平の世に生きる身としては安直に考えますが、世界の中では今でも国家機密になっている国は多いし、海外持ち出しも禁止という話も聞きます。日本もそうでした。国の基本図は旧陸軍の陸地測量部(現国土地理院)が作ったワケですが、帝国主義の時代。植民地や在外地域、シベリアや東南アジアまで地図を作って回ったんですね、日本は。方位磁石と歩測、まるで伊能忠敬ですな。航空写真の登場(今なら衛星写真ですな)あり、戦線拡大の急あり。いずれにしても地図1枚にも、日本という国のありようがうかがえるような1冊です。
読了日:10月27日 著者:小林 茂
フジモリ式建築入門 (ちくまプリマー新書 166)フジモリ式建築入門 (ちくまプリマー新書 166)
藤森照信先生は、難解な事象を簡単な事象にまで分解して説明してくれる人物のひとりです。この本では建築史という難解な話を絵解きしてくれるのかと思ったのですが、図版が少ない分、非常に難解になってしまった。××大聖堂とか、その例が脳裏に浮かぶ方にとっては、すこぶるわかりやすいのでしょうけど、門外漢には厳しい。文章のすすみ方はフジモリ節で楽しいのですけどね。新書で刊行するにしても、別の組み方があった気がします。
読了日:10月20日 著者:藤森 照信
日本の分水嶺 (ヤマケイ文庫)日本の分水嶺 (ヤマケイ文庫)
中央分水嶺っていうのは、日本列島の真ん中を南北に走るラインです。太平洋側と日本海側に、水がわかれていく線です。ブログでもこの話を書いていますけど、そのラインの点綴旅日記です。でも、点綴がかえって仇になっています。読み応えという点で物足りない。でも日本山岳会が創立100周年の記念事業でやった「中央分水嶺調査報告書」の方が面白いというのが、皮肉なものです。分量が違うといえばそれまでですが、テーマに対する基本的な姿勢の差があるような気がします。
読了日:10月20日 著者:堀 公俊
仏教漢語50話 (岩波新書)仏教漢語50話 (岩波新書)
1語4ページあての本です。「寺門興隆」というお寺向けの雑誌に連載されたものだそうで、原題は「漢字仏教徒然行脚」。我慢、玄関、睡眠、道楽、乞食、殺生、方便、我慢、因縁、世間、堪忍……。何げなくつかっている言葉には仏教にその由来を持つものがたくさんあります。そういう言葉を原典の経典に当たり、中国の漢詩文に当たり、日本での用例をさぐりと三国伝来の妙味を味わわせてくれます。典籍の話題にとどまらず、時事にまで話題が及ぶところかが軽妙。読み返してはやめを繰り返して読了まで3カ月かかりました。
読了日:10月15日 著者:興膳 宏
日本のコピーベスト500日本のコピーベスト500
精読するというより、パラパラとめくって眺める本です。日本の広告コピーの名作集ですから。俳句の「取り合わせ(二物衝突)」の妙技を繰り返し読むような感じ。と、同時に自分の歴史を振り返ることにもなります。若い読者には新鮮なものも多いことでしょう。お勧めです。組み版の体裁については異論があるとは思いますが、ベスト500です。よく精選したと思います。ちなみに1位は「おいしい生活」。と同時に、実はかつてマドラ出版が刊行した「片岡敏郎スモカ広告全集」を思い出しました。この才人の偉大さを改めて認識させられる1冊です。
読了日:10月11日 著者:安藤 隆,岡本 欣也,仲畑 貴志,前田 知巳,小野田 隆雄,佐々木 宏,山本 高史,児島 令子,一倉 宏,澤本 嘉光
男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望
久しぶりに全く手も足も出ない本に出会いました。なぜか。まず英文学の基礎知識がない。筆者が何を主題に論じようとしているのかが全く分からない。2番目に文体が難解。翻訳の諸賢も必死に日本語にしようとしているのですが、まったく生硬く、おまけにカタカナの用語が多く、つっかえつっかえでしか読めません。「ホモソーシャル」という概念を提唱した基礎文献ということで買ってみましたが、まったく歯が立たない。参りました。2次資料から内容を推量するだけで、撤退することにします。
読了日:10月11日 著者:イヴ・K. セジウィック
ゴルゴ13SPECIAL EDITION依頼人諜報のプロたち (SPコミックス)ゴルゴ13SPECIAL EDITION依頼人諜報のプロたち (SPコミックス)
1968年とかの作品も出てきます。今から43年前。ゴルゴ13も若い。でも黒沢明風に言えば、「ざっとゴルゴ六十郎になっちまった」というところでしょうかねえ。
読了日:10月11日 著者:さいとう たかを
ゴルゴ13SPECIAL EDITION依頼人世界の著名人 (SPコミックス)ゴルゴ13SPECIAL EDITION依頼人世界の著名人 (SPコミックス)
七屋士堂にこのシリーズの文庫があるとつい買ってしまいます。ただこの2冊は2009年の再版なのですが、初版扱い。よくわかりません。
読了日:10月11日 著者:さいとう たかを
ことばと文字と文章と―お言葉ですが…〈別巻4〉ことばと文字と文章と―お言葉ですが…〈別巻4〉
高島俊男先生の専門は中国文学だそうです。どうも国語に絡む問題になると理屈っぽくなって、天賦の伸びやかな論理展開がなくなってしまうのが残念。この本の中でも「いぎたない」の章が出色。それ以外の章はどうも天衣無縫な面白さに欠ける気がします。ところで1巻分だけ、週刊文春の連載が文庫化されていないのですけど、実現するのかな。
読了日:10月10日 著者:高島 俊男
青函連絡船ものがたり (朝日文庫)青函連絡船ものがたり (朝日文庫)
何度も読み返しているので、サクッと読めるのが楽。何で読み返すかといえば、洞爺丸台風の時の各連絡船の船長の判断がそれぞれに明暗を分けたのが実に劇的で示唆に富んでいるから。
読了日:10月10日 著者:坂本 幸四郎
男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望
ホモソーシャルって言葉を初めて知った。ちなみに定義もどきを引用すれば「ホモソーシャルとは同性愛嫌悪と女性嫌悪を基本的な特徴とする、男性同士の強い連帯関係のこと。それ自体同性愛的なものながら、異性愛者同士で閉鎖的な関係を築く」というもので、俗に体育会系と言われる人間関係や家父長制な社会を説明するには便利な概念のことです。米国で提唱された概念ですがアジアの社会でも蓋然性は高いみたい。中で赤木圭一郎&宍戸錠や、高倉健と鶴田浩二、中村錦之助、池部良と続く顔合わせの映画をこの視点で絵解きして見せるのは実に新鮮です。
読了日:10月10日 著者:

2011年10月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター


posted by 曲月斎 at 00:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近、更新がないである。
Posted by Manado at 2011年11月16日 20:00
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