2011年05月25日

「近代ヤクザ肯定論」

山口組を題材にヤクザ稼業100年史みたいな感じの内容。

近代ヤクザ肯定論 山口組の90年 (ちくま文庫) [文庫] / 宮崎 学 (著); 筑摩書房 (刊)

前半は港湾荷役前史から終戦後の混乱から顔役としての存在を確立するまで。

戦後に正業としての港湾荷役業と芸能興行が成功した時代から、海上輸送の形態変化(機械化、コンテナ化)により荷役専門の労務者が不要になっていく、港の革命と同時に、警察というか資本側からの「反社会的勢力」という烙印とともに、表舞台から追放され、地域社会との結びつきを失うのが高度成長期。

バブル経済へ社会が歩み始めると、情報のネットワークを生かしての資本主義社会での「掃除屋」稼業に転身していく様子を描く。そして暴対法、改正暴対法以降の「企業舎弟」からの進化を追う。

ある意味で、「ドロップアウトした人間の受け皿がない」=「セーフティネットのない社会」ということもできる。で今日的な暴力団の存立基盤と、NPOなど簇生する諸団体の発想が類似しているとの指摘は見事だろう。

さらに長年にわたって暴力団への人材供給源として在日朝鮮人や被差別部落民があったが、暴力団の関係まで言及して余すところなし。

裏の社会の論理だけで話を進めるのではなく、西欧の社会学用語や、一般社会の動きとリンクさせてきちんと考察が進められているので、単なる仁俠の本ではないことも、お勧めする理由です。
実によく出来た本です。お勧め!!。


posted by 曲月斎 at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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