2011年05月04日

鍋の味。

名古屋・光村の話の続きである。

合いの手が入った通り、ここの名物はかき揚げ。
かき揚げ.jpg
本当にさっくりとしていてうまいのである。
エビの甘みがよく分かる。

そしてこの季節限定の
山菜.jpg
山菜の天ぷら。
春先は冬眠から目覚めた熊同様、青いものの生気を人間も欲するのか。
ほろ苦さが味わい深い。

で、夜の部は9時過ぎに注文止め。
カウンターの中では片づけが始まる。
main.jpg
大きな銅の鍋が2口。
それぞれの前に職人が陣取って手際よく揚げていくのであるが、
仕事が終わればまず油を切り、磨き砂をつけてピカピカに磨いていく。
下職がするのではなく、揚げ手、いわば「花板」の仕事なのである。

いつ来ても鍋がきれいだなあと漠然とは思っていたが、当主の教えなのだそうだ。
自分で使った鍋は自分で洗え、と。長年、鍋の前に立っていた当主もきっと修業先でそのように教えられたのだろう。

始末のよくない鍋で揚げた天ぷらは衣の上に黒いポチポチが着いてくる。
いわば「鍋かす」
そんな品のない代物を決して出さない、というプライドともいえるだろう。

厚手のゴム手袋で金たわし。力を込めて磨いていく。
光村の天ぷらは鍋の味でもあった。

かつて帝国ホテルの料理長だったムッシュ村上は下職のころ、鍋磨きで一目置かれたという逸話があったが、それとはまた違う世界である。

そういえば、大阪の酒肆上野の上野さんは店を終うとカウンターに巡らせてあるバーとドアノブ、つまり真鍮の部分をピカールでいつも磨き上げておしまい、だった。

いずれにせよ、毎日続けることの尊さを思う。


posted by 曲月斎 at 21:58| Comment(1) | TrackBack(0) | 鯨飲馬食 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
カニの天ぷらも美味であれい
Posted by ナナシ at 2011年05月09日 15:49
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