2010年11月03日

「歌う国民」


歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ (中公新書)

歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ (中公新書)

  • 作者: 渡辺 裕
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2010/09
  • メディア: 新書



「唱歌」というと日本人の原風景を描いた世界みたいに思うけれど、その実は結構、違う姿であったということを教えてくれる1冊です。
明治の文明開化の当時、なぜいち早く、明治政府が音楽教育(正確に言えば歌うこと)を教科として導入したのか。文部省教科書の中で、国語と唱歌はある意味で素早く形になった訳ですが、その意味を歌うことを通じて国家の意識を醸成することにあったという視点は示唆に富んでいます。
その後の県歌(「信濃の国」が代表例として取り上げられますが)や、校歌、ラジオ体操や、地方の新民謡運動まで、一つの水脈が続いているというのは、すこぶる面白い展開です。さらには、戦後の「歌声喫茶」まで話が展開すると、歌うという作業のもつ意味の大きさを改めて考えさせられます。
同じテキストの歌を同じように歌えること、というのは、意外や大きな力を持っていることに気付かされます。知的な刺激の多い1冊でした。
それと、日本には「替え歌」の文化があるという話も面白く、今はやりの著作権の観点からは、いろいろと堅苦しい問題も派生しているのを改めて認識したことでした。
お勧めの1冊です。


posted by 曲月斎 at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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