2014年08月01日

☆7月に読んだ本。

2014年7月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3630ページ
ナイス数:262ナイス

「世間」とは何か (講談社現代新書)「世間」とは何か (講談社現代新書)感想
鴻上本からの転移。ただ、この筆者の本、読む順番を間違えたようで、前段の世間とは何かという部分はさておき、その後はひたすら日本の文学作品の上での「世間」「世の中」「浮世」などという用語例を引用しながら、その背景を探っていく。俎上には記紀万葉から徒然草、真宗周辺、井原西鶴、漱石、藤村と広汎に渡るのだけど食い足りない。門外漢の小手先という感じで。筆者が「世間」という概念について思慮を深めた別の1冊が前提になるのだろう。ま、「吾輩は猫である」「坊っちゃん」が今も不磨たりえるのは個人の確立ゆえというのは分かるが。
読了日:7月30日 著者:阿部謹也
「空気」と「世間」 (講談社現代新書)「空気」と「世間」 (講談社現代新書)感想
震災前の本。「KY」なんていう言葉が元気だった時代。でも本質は今も変わっていない。個が構成する社会との対立概念「世間」というもののの実態を解く。曰く1)贈与互酬2)長幼の序3)共通の時間認識4)差別的かつ排他的5)神秘性。阿部謹也の著作を要約しながら話を進める。で、この世間の形態が崩壊し、流動化した結果が「空気」という概念であると説く。地方に住んでいて「世間」は確実に崩れつつあり、空気を醸成するだけの人口もいないという現実。考えさせることは多い。打開のために異社会との交流を説くが現実的な処方箋なりや?
読了日:7月26日 著者:鴻上尚史
快楽の動詞 (文春文庫)快楽の動詞 (文春文庫)感想
山田詠美版「文学部唯野教授」という風情。掌編小説の連作集なのだけど、時代相が変わってしまったのだなあ、と改めて思う。
読了日:7月23日 著者:山田詠美
眞説 光クラブ事件  戦後金融犯罪の真実と闇 (角川文庫)眞説 光クラブ事件 戦後金融犯罪の真実と闇 (角川文庫)感想
東大法科の同窓生への取材の中で当時、人付き合いの悪い人間が2人いたという。主人公山崎晃嗣と平岡公威。この山崎の生い立ちから戦争体験、学生高利貸しから自殺に走る姿までを取材を通して描きつつ、一方で三島由紀夫の「青の時代」を状況証拠に使いながら文章は進む。戦争体験が影響が後の人生に影響を与えたのを示す一方、犀利な知性と幼稚さの同居ぶり、余りに世間知らずな様は驚くばかり。アプレゲール犯罪というレッテルは間違いであるのがよく分かる。この生き方は彼なりの戦争への総括だったのかもしれない。今も共通する何かがある。
読了日:7月23日 著者:保阪正康
計量言語学入門計量言語学入門感想
内容が古すぎ。前段部分だけを読むためなら、図書館で十分でしょう。正直のところ期待はずれです。
読了日:7月21日 著者:伊藤雅光
新装版 アメリカの日本空襲にモラルはあったか―戦略爆撃の道義的問題新装版 アメリカの日本空襲にモラルはあったか―戦略爆撃の道義的問題感想
この本によれば、日本本土で大規模な焼夷弾攻撃をし、原子爆弾を投下した米軍では一義的に「戦争の早期終結」が最大の目標であり、バターン死の行進の如き日本軍の残虐非道ぶりの前には無辜の非戦闘員を巻き込むことも致し方なく、民家を殲滅することは家内制手工業で作られる軍事部品の生産を阻害する有効な手段と判断した、ということがよく分かります。早くから焼夷弾による絨毯爆撃を企図していた米軍。欧州戦線での対応との差が際立ちます。やはりこういう行為は爆弾を投下する時、地上で何が起きているか考えない人ができる任務のようです。
読了日:7月18日 著者:ロナルドシェイファー
ないもの、ありますないもの、あります感想
「舌鼓」「転ばぬ先の杖」「大風呂敷」「取らぬ狸の皮ジャンパー」などなど、言葉の遊び、あやを取り上げ、まじめ腐って解説してみた1冊。読み終わってみて、個人的には何となく切れ味が欠けるなあという感じ。再読するかといえばしないし、あわいに流してしまおうかとおもっています。
読了日:7月15日 著者:クラフト・エヴィング商會
カクレキリシタンの実像: 日本人のキリスト教理解と受容カクレキリシタンの実像: 日本人のキリスト教理解と受容感想
切支丹禁教に始まった「隠れ切支丹」の歴史であるが、筆者はキリスト教を日本に伝えた宣教師不足が「コンフラリア(平信徒の組織)」の発達を招き、仏教や神道、修験道、加持祈祷にまじないにまで信心を広げ、普通に暮らしてきた故に伝わったのではないかと説く。「隠れ」の意識はなく、近代に至って教派神道のような形で信仰を表明することが求められるようになって「隠れ」という立場を認識したのではないかと分析する。クリスマスを祝い、初詣には神社仏閣を訪れる今の日本人の信仰形態は案外原初的に持っていたものに過ぎないのかもしれない。
読了日:7月14日 著者:宮崎賢太郎
第一次世界大戦と日本 (講談社現代新書)第一次世界大戦と日本 (講談社現代新書)感想
主戦場は日本から遠く離れた欧州でもその影響が甚大だったことが分かります。曰く金の流れ、外交。五大国という呼び名が登場したころ、その意味するところを冷静に考えていれば、と改めて思います。社会格差、女性の社会進出、大量消費と進んだ末の関東大震災、戦後不況。本の構成が、外交、軍事、政治、経済、文化の部立てになっているので、相互の関連を理解させるための年表が付いていないのが怨み。遠い戦役が日本のその後に大きな影響を与えることが最も得心が行くのではないかと。それにしてもどうして「軽躁」という言葉が脳裏を離れない。
読了日:7月13日 著者:井上寿一
文学報国会の時代文学報国会の時代感想
15年戦争末期、日本では「日本文学報国会」なる組織が作られ、文学者の大半、約3千人が所属した。戦雲急迫の中、相手の懐に飛び込んで意を通そうとして失敗した者、迎合した者、ナショナリズムの高揚感に身を委ねた者。結末は言うまでもない。戦争は始まればどうしようもないものなのだから。一方、別世界に沈潜する、韜晦、沈黙、非協力の者も。世の流れを止めるエネルギーはなくても余計者に徹するという消極的抵抗−−賛成論が力を持つためには反対論が必要、なら非協力も一つの戦略というのが筆者の結論。常に良心を貫くのが肝要、である。
読了日:7月12日 著者:吉野孝雄
昭和天皇 「よもの海」の謎 (新潮選書)昭和天皇 「よもの海」の謎 (新潮選書)感想
「よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ」とは明治天皇の御製。太平洋戦争開戦決定への御前会議で昭和天皇が読み上げたことで知られる1首である。この1首を巡っての謎解きが縦糸。「天皇ハ國ノ元首ニシテ統治權ヲ總攬」という立場ながら意思をなぜ通さなかったのかを関わった人物の証言、聞き書き、行状を綴ることを横糸に話は進む。天皇機関説と天皇主権説、陸海軍の思惑の交錯とそれに絡む皇族、あるいは自己保身のために言説を曲げる者も。入江相政、徳川義寛と2代の侍従長も。菊のカーテンの内側は今尚、深淵である。
読了日:7月11日 著者:平山周吉
スエズ運河を消せ―トリックで戦った男たちスエズ運河を消せ―トリックで戦った男たち感想
「ナチスを欺いた死体」がそこそこに面白かったので、期待していたのですが話が散漫で、ちょっと期待外れでした。
読了日:7月10日 著者:デヴィッド・フィッシャー
ポエムに万歳!ポエムに万歳!感想
ポエムってどういうことかというと、筆者の言うのは「安直な人情噺」のことを指しているのだろうか。確かに1サッカー選手の引退声明であれ、今の首相の「家族が乗っている船を護衛できない」みたいな感情的な論理展開であったり。論理的な文章をすべて超越してしまうのが「ポエムの力」なのかもしれない。でもポエムを求めたのは誰なのか。論理的な文章は下手をすると「上から目線」という評価の言葉になる。求める人がいるからポエムが幅をきかせるようになっただけではないのか。正直のところ、ポエム論より後段の文の方がおもしろかった。
読了日:7月7日 著者:小田嶋隆

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posted by 曲月斎 at 15:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする