2014年04月02日

☆3月に読んだ本。

2014年3月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2848ページ
ナイス数:155ナイス

サバイバル宗教論 (文春新書)サバイバル宗教論 (文春新書)感想
臨済宗相国寺派の僧侶100人を相手に開いた講演の講義録。話言葉なので論旨は実に錯綜する。神学と宗教学の違い、中世の実念論と近代文明につながる唯名論の差、日本の哲学で今も影響を残す京都学派、日本共産党内での講座派と労農派の話。その合間にシリア、イラン、ロシア、イスラエルなどの陰謀論めいた内輪話。はては沖縄独立論まで。話は七転八倒、正直に言えば理屈は局面では分かるけどどう繋ぎ合わせたらいいのか? という感じ。終わってみれば野良猫を1匹飼って18年飼うと約250万円かかる、という話が頭に残ったりして……。
読了日:3月27日 著者:佐藤優
増補版 歌舞伎手帖 (角川ソフィア文庫)増補版 歌舞伎手帖 (角川ソフィア文庫)感想
この本とも長い付き合いになる。駸々堂の新書版で出たものを愛用してきたのだが、増補版のひとことに惹かれて買い直し。ただ、版組が大まかになった気分でハンディではなくなってしまった。この本のよろしさは、狂言ごとに来歴やあらすじ、見所がコンパクトにまとめられて、役者の藝談の抜き書きがつくという体裁にある。歌舞伎座の桟敷で、明日は芝居かという夜にでもささっと読めるのがいいのだが。内容についてはなんの文句もありません。
読了日:3月27日 著者:渡辺保
直木賞物語直木賞物語感想
正直のところ、飽きました。というのは、直木賞という文学賞はその性格が明確ではないゆえに、銓衡基準が揺れ動いているという話を繰り返し繰り返し叙述している本であるからです。まず何を対象に賞を与えるのか。作品なのか、作者なのか、履歴なのか。それすら定まることもなく、年に2度ずつ、賞が授与されてきた、というのは逆に言えば驚愕すべきことです。この本では賞を逸した人々の短信もついています。それを読んで楽しいと思うかどうか。権謀術数であったり、選考委員の好みであったり。思わぬ人物が登場してくるのは楽しかったけど。
読了日:3月19日 著者:川口則弘
ご先祖さまも被災した――震災に向きあうお寺と神社ご先祖さまも被災した――震災に向きあうお寺と神社感想
ルポという本の性格上、物足りなさが残る。事実を提示され、最後を判断するのは自分自身だからだ。だが、この書き方が適切だったように思う。内容は東日本大震災の被災地の寺社が再建や離散した檀徒の世話、被災者の心の拠り所たらんと苦闘する群像を描く。それぞれに直面する困難は違う。でも寺社が地域社会の拠点であるのは間違いない。しっかりせねばという僧侶や神官の使命感、職業観に頭が下がる。番外で扱う海龍王寺と歌う尼さんやなせ氏の話が興味深かった。有事に当たって神仏、宗旨の垣根を越え、宗教界が出来ることは大きいと思う。
読了日:3月16日 著者:小滝ちひろ
知の格闘: 掟破りの政治学講義 (ちくま新書)知の格闘: 掟破りの政治学講義 (ちくま新書)感想
言って見れば口述記録を歴史史料に活用するのが御厨政治学。それを振り返ったのがこの1冊。筆者は仕事ごとに本を出しているのでそれを読んでいないと実感が湧いてきにくいかも。中で小泉純一郎はオーラルヒストリーの対象にならぬ、という指摘は興味深い。内容としては後段の方が読みやすい。邸宅を活用した吉田、鳩山、岸らの総理と、庭の見識すらなくなった池田、佐藤。そして新官邸の中で孤立した最近の首相との指摘のある建物と政治、あと書評と時評、映像とWEB、この3章を先に読むといいかも。歴史を語ることが難しい時代ではあるが。
読了日:3月8日 著者:御厨貴
昭和怪優伝 - 帰ってきた昭和脇役名画館 (中公文庫)昭和怪優伝 - 帰ってきた昭和脇役名画館 (中公文庫)感想
俎上に上がっている俳優を列記すれば。岸田森、佐々木孝丸、伊藤雄之助、天知茂、川地民夫、渡瀬恒彦、成田三樹夫……。専属契約の時代のこと、系列が新東宝に重心がある恨みは残るものの、よくぞ取り上げてくれました、という俳優ぞろい。しかも筋立てが決まっていて後は手を変え品を変えの映画作りだった時代に、その連作の裏の要素を読み解くのはさすが。実悪の丹波哲郎に対し色悪の天知、とか、内田朝雄に対する伊藤雄之助とか、系列があったが故の見比べができるのも興味。正当任侠映画には真の男のエロスが必要という指摘は当たっていますな。
読了日:3月5日 著者:鹿島茂
一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教 (集英社新書)一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教 (集英社新書)感想
企画した集英社の編集者に拍手。ムスリムの立場からの発言と引き出す聞き手と。二物衝撃が見事。イスラムの成り立ちから始まって、宗教というより生活に近いという感覚を説く。流浪の民の宗教であったイスラム、ユダヤ教と定住者の宗教のキリスト教という見立ては妙手。紙幣、あるいは仮想空間を飛び交う現代の通貨と常にリアルな金貨の違いも。ただ、対談という形式である以上、飛び交う言葉に酔ってしまう気味もある。個人的には「ユダヤ教 キリスト教 イスラーム:一神教の連環を解く」(ちくま新書)を読んでからだったので踏み止まれた気も。
読了日:3月4日 著者:内田樹,中田考
47都道府県別 日本の地方財閥 (平凡社新書)47都道府県別 日本の地方財閥 (平凡社新書)感想
全国47都道府県にいた「お金持ち」の中から、お話を選んで綴った1冊。元データは1934年の「帝国興信所調査筆者50万円以上全国金満家大番附附全国多額納税者一覧」(大日本雄弁会講談社刊)。筆者曰く地方財閥は1)地主系 2)老舗系 3)工業系 4)商業・金融系の4タイプに分かれるという。どれも第1次世界大戦後の世界恐慌&金融恐慌で自前の中小銀行は破綻、次に戦時下の統制経済下で企業統廃合で退場、とどめが農地改革と、ほとんどが今に残らぬ形というのがすごい。ただ1都道府県約4ページ、よく言えば網羅、悪くいえば羅列。
読了日:3月1日 著者:菊地浩之

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posted by 曲月斎 at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする