2014年03月01日

2014年2月に読んだ本。

2014年2月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4163ページ
ナイス数:237ナイス

だいたい四国八十八ヶ所 (集英社文庫)だいたい四国八十八ヶ所 (集英社文庫)感想
四国遍路をすると本が書きたくなる。でも多くは駄作である。だがこれは秀逸。自分の経験ともほぼ重なる(僕は歩いた訳ではないけど)。思い立ったが吉日と旅立つしかないのがこの旅。良さはというと、筆者が最後の最後に書いている通り、「お遍路しているときはな、何も考えんでええから、それがええねん。今日の宿どうするか、それだけ考えとったらええわけやから」という一言に尽きる。そして23〜24番の「室戸岬無補給ロード」が頂点という感覚も。肩肘張った遍路記より正直でいい。ただ筆者なかなかの手練れのようだ。嘗めてはいけない。
読了日:2月26日 著者:宮田珠己
都名所図会〈下巻〉 (1968年) (角川文庫)都名所図会〈下巻〉 (1968年) (角川文庫)感想
角川文庫でこの本を刊行しているのを知ったのは遙か昔。 文庫川村で買えば、いくらしたことだろう。 今となればリアルで存在する本の価値などなきに等しい。 ということで、今回巡り合う僥倖、である。 上下併せて1500円。 活字本なんてこんな程度なのかもね、今の値打ちは。
読了日:2月25日 著者:秋里籬島,竹原春朝斎,竹村俊則
都名所図会〈上巻〉 (1968年) (角川文庫)都名所図会〈上巻〉 (1968年) (角川文庫)感想
この時代の文庫本は本当に活字が小さい。読むのがつらい。 さはさておき、江戸名所図会と違って、名所が多すぎるのが都の難、なのかもしれない。 読んでいて、何かつらい。
読了日:2月25日 著者:秋里籬島,竹原春朝斎,竹村俊則
日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書)日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書)感想
一言で言えば物量で負ける相手と戦争をしても無益、ということ。米軍内で配布されていた「諜報公報」なる資料を基に米軍が日本陸軍の戦いぶりをどうみていたかを解析した本です。「日本陸軍は機械に支えられた人間の部隊であり、米軍は戦闘機械を用いる部隊である」という定義付けが象徴的です。水際防御、突撃といった餓島、ビルマ辺りでの戦闘から、比島での戦いを経て硫黄島、沖縄と専守抵抗を続ける策に転じて米軍が苦戦するというのは皮肉。衛生面(性病も含む)の配慮や捕虜の取り扱いなど、日米両軍彼我の差を考えざるをえない事実続きです。
読了日:2月24日 著者:一ノ瀬俊也
絵本江戸風俗往来 (東洋文庫 (50))絵本江戸風俗往来 (東洋文庫 (50))感想
筆者は4代目広重。直接の血縁はないものの、初代が売れない時分から縁のある家で、4代自身は火事の絵を出したりしていたよし。扨置、年初から大晦まで江戸という町の年中行事、習俗を綴る。実に梅見に花見、芝居に相撲まで拾い出しているのが上中巻。下巻は門付藝のあれこれや物売りの話など。所謂考証好きの随筆とは異なり、自分が見聞きしたものを無作為に綴っているのが面白い。失火した商家が譬え蔵が焼け残っても1ト前は態と火を入れて世間への詫びにする習慣があったなど書いてあるのは何でもないようなことだけど当時の空気を感じさせる。
読了日:2月23日 著者:菊池貴一郎,鈴木棠三
アメリカ様 (ちくま学芸文庫)アメリカ様 (ちくま学芸文庫)感想
虚構新聞の記事(http://kyoko-np.net/2013101101.html)の元ネタを披露し、活字版のモンティ・パイソンのような存在だった外骨の戦後の著作。外骨が長年戦ってきた軍閥や大出版社、特権階級など、進駐軍=アメリカ様によって取り払われたことを綴っていく。書けなかったことを書いておく、という性根。1編3ページほど。ただこの本もGHQの検閲に遭う。褒め殺しの手法。アメリカ様の存在の2面性を誰より自覚していたのは外骨だ。1946年5月3日、東京裁判開廷日に刊行。「筆禍史」を併せて抄録。
読了日:2月19日 著者:宮武外骨
増訂 工芸志料 (東洋文庫)増訂 工芸志料 (東洋文庫)感想
織物、石工、陶工、革、金、漆などの工芸について、国内での起源や主な事績を歴史資料の中から拾い集めた1冊。中身とすれば広文庫とか、古事類苑を連想していただくといいかもしれない。書かれた頃は明治の殖産興業の時代。パリ万博などで日本の工芸が注目された頃に、再認識の資料を作ろうという意気に満ちていた時代。今と違って考古資料や海外の情報がなく、史料といえば記紀や群書類従くらいだったことは考慮しなくてはいけないけど、何か意気軒昂という言葉が似合う1冊。本の扉には一誠堂のタグや前の持ち主の感慨が墨書してあるのも味。
読了日:2月18日 著者:黒川真頼
京都民俗志 (東洋文庫)京都民俗志 (東洋文庫)感想
「そうだ京都へ行こう」ではないけど、どこか行ってみたくなる時がある。しかも蘊蓄を知った上で。というのは彼の地に住まいする人々は堆積してきた知識の上での立ち居振る舞いをしている。何気ない挙措に奥行きを承知していたら楽しいだろう。京都の民俗を綴ったものというより、井戸、石、植物、動物。その名所旧跡を記した部分が大半を占める。冒頭にある暮らしのルポ部分、祇園祭の屏風祭が実は婿捜しの方便を含んでいたとは驚きの話。今も残る祭りや習俗も時代とともに姿を変える。この本は昭和初頭のその姿のよき記録でもある。拾い読み向き。
読了日:2月13日 著者:井上頼寿
日本経済の故郷を歩く(上)日本経済の故郷を歩く(上)感想
上巻が後になった。蓮如から始まって、利休、信長、秀吉、家康と続く文はいささか食い足りない。なぜならわずか8ページ内外で旅行見聞記を書き、取り上げた人物の事績を書き、著書や言葉を引用し、とやっていたのではなんとも虻蜂取らずになるのは自明ではござらぬか。そんな肩の力が抜けた後半に入ってこそ、この本の妙味でござる。視線が市井に近く、取り上げる人物が1件のテーマで収まるようになると、この筆法で収拾がつく。曰く合理性、曰く勤勉、曰く節約。何かそうばかりでもない気もしつつ読了。そも昔の中公文庫のカラーではないなあ。
読了日:2月13日 著者:舩橋晴雄
教科書には載っていない!戦前の日本教科書には載っていない!戦前の日本感想
コンビニでの思いつきで買う本は当たりが少ない。中でこの1冊は合格点かも。「仰天必至」は大げさだけど内容は「切り貼り本」としてはまずまず。例えば白系ロシア人の存在。日本に新しい文化を持ち込んだのは事実だ。カフェの女給、遊郭の遊女と貸座敷制度、戦前こそ今以上に苛烈だった受験戦争とその裏にある徴兵回避、大日本雄弁会講談社の「キング」、「足入れ婚」制度の存在、などなど、稗史ゆえに書き込まれることの少ない事項を拾っている。巻末に引用図書の膨大な羅列あり、興味を持てばそれを見ればいい。入門書としては好適。一覧性あり。
読了日:2月10日 著者:武田知弘
近世菓子製法書集成〈2〉 (東洋文庫)近世菓子製法書集成〈2〉 (東洋文庫)感想
2冊目も3種「南蛮料理書」「鼎左秘録」「古今新製名菓秘録」。多くの本で取り上げているのが「かすていら」の製法。曰く。「卵10個に砂糖160匁、麦の粉160匁。此の三色をこねて、なへに紙をしき、粉を振り、その上にいれ、上下に火を置いて焼き申也。口伝有」。作れたらすごい。「はんの事 麦の粉、甘酒にてこね、ふくらかしてつくり、布団に包み、ふくれ申す時、焼き申也。口伝有」。要はイースト菌なんてないから、酒種パンを作る、ということね、などと考えながら。と同時に南蛮、出島から入ってきた文物が多く流布していたのに驚く。
読了日:2月8日 著者:
近世菓子製法書集成〈1〉 (東洋文庫)近世菓子製法書集成〈1〉 (東洋文庫)感想
江戸時代の菓子製法を記した本4種。「古今名物御前菓子秘伝抄」「古今名物御前菓子図式」「餅菓子即席手製集」「童子話船橋」の書き下し、および解説からなる。本文の内容がこんなものもあったのか、と思うと同時に秀逸なのは解説文。「こんな作り方では固まらないと思うが」などの実作者としての見識や、「××にはこんな名前で掲載されているが」みたいな解説が実に軽妙にして的確。読んでいて何の役に立つというものではないだろうけど、読んでいる時間が結構貴重なように思う。
読了日:2月8日 著者:
ユダヤ教 キリスト教 イスラーム: 一神教の連環を解く (ちくま新書)ユダヤ教 キリスト教 イスラーム: 一神教の連環を解く (ちくま新書)感想
バビロン捕囚に始まるユダヤ人の歴史。地縁を切り離されたところから、絶対神を想定する一神教が始まったという言説から説き起こし、父親のない境涯から無縁の都会に住まざるをえなかったモハメットに始まるイスラム、そして「割礼」「律法」という枠を外して世界的に広がったキリスト教。この三つの相関を描いていく。シャネルやアリといった人物像から、平等の考え、博愛思想などの淵源を探っていく。内容の比重はユダヤ教、イスラムに傾いているけれど、皮膚感覚を持ちにくい分野だけに、Godを想定する感覚、論理展開の跳躍ぶりが逆に楽しい。
読了日:2月4日 著者:菊地章太

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posted by 曲月斎 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする