2013年12月01日

11月に読んだ本。

2013年11月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2513ページ
ナイス数:148ナイス

倫敦巴里 (1977年)倫敦巴里 (1977年)感想
引っ越しの余録。本棚のいい位置に鎮座していたはずだったが、久しぶりにひょっこりと出てきた。いわゆる「パロディ(筆者のいう『もじり』)」の極北を連ねた本、である。川端康成の「雪国」の冒頭のもじりであったり、「兎と亀」の映画版の想定だったり。ただいずれのものも、本歌(元ネタ)が分かっていないと笑えない、という代物。今読み返してもおもしろいと思う。でも今の若い世代に理解を求めるのは難しいだろうとも思う。ただ、それ以上に、今の時代に、こういう共通認識みたいなものが形成されていないことが不思議であり、不安でもある。
読了日:11月26日 著者:和田誠
山賊ダイアリー(4) (イブニングKC)山賊ダイアリー(4) (イブニングKC)感想
今年2013年の本、となれば、この山賊ダイアリーシリーズが5指に入るのは間違いない。その新刊。イノシシには美味いと不味いがあるなんていうのはまさに実感。下手なものを持ち込んで、店の親父に嫌みを言われることもままある訳で、狩猟をしなくても、筆者のいうような生活感はあるのであります。今回は猟そのものよりも、その周辺の生き方(獲物の捌き、休猟期入り前の暮らしなどなど)を重点に取り上げているので、それはそれ、おもしろいものであります。今、猟期。今年はまだシシ肉の到来がないなあ。どこかで探してこなくては。
読了日:11月24日 著者:岡本健太郎
神社の本殿: 建築にみる神の空間 (歴史文化ライブラリー)神社の本殿: 建築にみる神の空間 (歴史文化ライブラリー)感想
神社では何を拝むのか。筆者は本殿を拝んでいる、と喝破する。成立から発展を追いかけた1冊。本殿は仏教の影響を受けて住居空間の延長として発生。仏教とは違う姿たらんと発展、融合し、今に至っているとの説明だ。構造的な話、専門的な用語が頻出する本だけに、図版の配置や数にもっと配慮があれば初学の者でも理解しやすい本だったろう。神のいます空間は占有空間で人が基本的には入らないので粗略に作ってあるというのが面白い。中世からの進展で拝殿が大きくなり、今や拝殿を拝んでいるのが実態かもしれぬが。ありそうでなかった1冊である。
読了日:11月24日 著者:三浦正幸
詰むや詰まざるや 続 (2) (東洋文庫 335)詰むや詰まざるや 続 (2) (東洋文庫 335)感想
完全に眺めた本。将棋という世界のほかに、詰将棋という世界が広がっているのです。5五の位で詰むのが都詰という話とか、詰み上がりの形が盤面半分がすべて市松模様になったり、大とか小とかいう文字になったり。詰将棋作家がいて欠陥を指摘するファンがいて改作する好事家がいる。眺めているだけですが、趣味の世界の深淵さは何か空恐ろしいような。ちなみにプロ棋士のタイトルホルダーに詰将棋を作ってもらうと1題63000円らしいです。http://www.shogi.or.jp/kansai/kishi/kisihaken.htm
読了日:11月22日 著者:
歌舞伎は恋: 山川静夫の芝居話歌舞伎は恋: 山川静夫の芝居話感想
「大向こうの人々」の読後感がさわやかだったので読んだのだけど、ちょっと高踏的かなあ。澄ました感じではないのだけど、どこかに昔は良かった系の匂いがある。中村右介の「歌舞伎 家と血と藝」と引き比べると直接話を聞いている強みがある分、話の内容にはバイアスがかかる、というか。特に17代目勘三郎の個性に惹かれている分、随筆の行間にもそのにおいが残る。それをいいもんだと思うか、くさいと思うか。意見の分かれるところかなあ。
読了日:11月20日 著者:山川静夫
日本の家紋大事典日本の家紋大事典感想
読んだ、というのは正確ではないと思いつつ。家紋の本(紋帳)と解説書の中庸を狙った1冊。意匠は丁寧に描かれているし、もう少しサイズが大きければもっと良かったかも。筆者の意図で、他の紋帳に掲載されていないようなものを敢えて掲載しているなど、なかなかに意欲的な選択ぶりです。筆者は上絵師(家紋を和服に描き込む職人さん)で、そういう視点もこの本に反映されているよう。家紋って、と思ったら、この本はおすすめです。デザインを眺めているだけでも楽しいです。
読了日:11月19日 著者:森本勇矢
監督はスタンドとも勝負する (1963年) (コンパクト・シリーズ〈30〉)監督はスタンドとも勝負する (1963年) (コンパクト・シリーズ〈30〉)感想
三原脩、といってももう歴史の中の人物だ。この本は元々は「文藝朝日」という雑誌に連載されたものをまとめたもので、1968年刊。「主力選手の調子が少しぐらい悪くても、監督の勘がひらめかなくても、ちっともびくともしないようなチームに育てたい。(中略)野球は生きものであり、運、不運が勝負を決する度合いが他の競技にくらべてことさら大きいスポーツだ、ということだ。賭博的要素を含んでいるから面白いのだ」と書いている。こんなことを誰かから聞いたような気がすると思ったら、弟子の仰木彬だった。今読み直しても球趣に富む1冊だ。
読了日:11月10日 著者:三原脩
金融政策入門 (岩波新書)金融政策入門 (岩波新書)感想
安倍内閣の発足、日銀の黒田総裁の就任と、国内の金融政策に関心を集めている中、もう一度確認するために読んだ。かいつまんで言えば、景気対策として財政政策よりも金融政策が有効である/日銀の人事には国民は直接関与はできないものの、議院の議決が必要であり、間接的に民意の反映である/というところかなあ。ともあれ、中央銀行の役割から説き起こして、今はやりのインフレターゲット策まで書き綴った内容です。ただ、末尾の「おわりに」で筆者が自戒の意味を込めて書いたという6箇条の但し書き部分が一番、得心がいった部分だったかな。
読了日:11月5日 著者:湯本雅士
囲碁発陽論 (東洋文庫 412)囲碁発陽論 (東洋文庫 412)感想
日本のスポーツ記事の起源は大相撲にある。その大相撲の評論の文体は、碁将棋の解説にあるのではないか、と思う。江戸時代の囲碁の家に生まれた井上因碩の書いた詰め碁の本。作品自体のおもしろさもさることながら、評というか、注釈を入れている藤沢秀行の文体、その歯切れの良さが魅力になっているのがおもしろい。褒めるところは褒め、簡潔な解説ぶり。いつの日にか、この棋譜を自分で並べてみながら、渋茶でも啜りたいと思うのだが、当分先になるのはいうまでもない。この本の本当の楽しみはその日までとっておくしかない。
読了日:11月4日 著者:井上因碩
詰むや詰まざるや―将棋無双・将棋図巧 (東洋文庫 282)詰むや詰まざるや―将棋無双・将棋図巧 (東洋文庫 282)感想
将棋が上手い訳でも、関心がある訳でもない。でもこの本は不思議な魅力がある。江戸時代、将棋は伊藤家や大橋本家、大橋分家が幕府の将棋所を預かっていた。その7世名人の大橋宗看、その弟の看寿が書いた詰め将棋の本がこれ。読者として想定しているのは将軍只一人。自身の藝と能力、家の名誉など一切合切をかけてこれらの詰め将棋を考案したわけで、その藝にはうなるしかない。39枚の駒が消えていくもの、裸の王将1枚が詰んでいくもの、手数611手を要するものなどなど、緻密な藝はすごいとしかいいようがない。
読了日:11月4日 著者:伊藤宗看,伊藤看寿

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posted by 曲月斎 at 01:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする