2013年10月02日

☆9月に読んだ本

2013年9月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:3838ページ
ナイス数:201ナイス

戦前日本の安全保障 (講談社現代新書)戦前日本の安全保障 (講談社現代新書)感想
本の俎上に上っているのは4人。山県有朋、原敬、浜口雄幸、永田鉄山。山県を除けば、普選の人、金解禁の人、暗殺された人、ということに日本史の教科書的にはなるものの、その思惑が紹介されていて面白い。就中、英米との協調で貿易立国を目指した原は後の東洋経済の石橋湛山の考えにも通じるし、国際連盟や多国間条約で安定を目指した浜口の思考回路も興味深い。そして統制派の総帥・永田は軍官民の総力戦を認識しながら純粋に受け止めきれなかったのが後々の禍根となったのもおもしろい。山県を除く、残りの3人が斃れていなかったら……。if?
読了日:9月30日 著者:川田稔
へうげもの(17) (モーニングKC)へうげもの(17) (モーニングKC)感想
最終章に向かって本当に着々と進んでいる感じ。でも何かどんでん返しを仕掛けてきそうな。井戸茶碗でカレーを食べさせる発想は秀逸(ま、ドリアンを持ち出してきたかつてを思い出すけど)。ともあれ、無事に完結することを祈るばかり。
読了日:9月22日 著者:山田芳裕
相棒season10(上) (朝日文庫)相棒season10(上) (朝日文庫)感想
改めてノベライズ、という作業の妙味を実感。普通は本を読むことで頭の中に画像が浮かんで読書が進むのに、この本は逆。画像をおうように活字が進む。不思議な感じですね。あと、個人的には台本そのままを出版したらおもしろいのになあ。ノベライズと台本の間の落差がちょっと読んでみたい気がする。
読了日:9月22日 著者:碇卯人(ノベライズ),輿水泰弘ほか(脚本)
「方言コスプレ」の時代――ニセ関西弁から龍馬語まで「方言コスプレ」の時代――ニセ関西弁から龍馬語まで感想
今、高知に住んでいると、標準語を話すか、土佐弁を話すかの2分法だから得心があまりゆかぬ。ただ、土佐弁は変形している、つまり筆者のいうテレビの生み出した「土佐弁風」になっている気がする。確かに時制の概念は残っているけど、四つ仮名の聞き分け、発音は薄れているし、「××じゃき」「××ぜよ」という語尾は「年配の方」という語感になる。土佐弁のネイティブにとっても、コスプレ的な用法が生まれてるのかもしれない。「きんこん土佐日記」が表紙というのが象徴的。あと方言を上手く書き生かしているのは「カツオ人間」だと書いて置こう
読了日:9月22日 著者:田中ゆかり
江戸の艶道を愉しむ―性愛文化の探究江戸の艶道を愉しむ―性愛文化の探究感想
ちょっと内容的には今一つの本。江戸時代の色道指南本を中心に、挿絵とそれの翻刻、そして書誌的な解説と、内容が何とも。類書がないのかもしれないけど、その中身にはあまり掬すべきものはなかった気がする。
読了日:9月17日 著者:〓露庵主人
江戸の色道: 古川柳から覗く男色の世界 (新潮選書)江戸の色道: 古川柳から覗く男色の世界 (新潮選書)感想
何気ない文章が「陰間」と呼ばれた男娼の世界からのぞくとその隠喩となっているのを指摘している本です。確かに能「菊慈童」が皇帝に枕をまたいだからといって配流されて、その皇帝にまた思いを寄せるという訳の分からぬ世界より、こりゃ男色だと洒落のめした方が理解はしやすいかも。でも、肝心の筆者の生硬い講釈が続くのが何とも味気ないのは事実。同系統の本は数冊読んだけど、古川柳にカンしてはこの本がいいのかもしれないですけど、全体像から考えると見誤る気もします。
読了日:9月17日 著者:渡辺信一郎
血盟団事件血盟団事件感想
冒頭の提示がすべてな気がする。首謀者の井上日召は戦後、妾宅で暮らしで家族の面倒は見なかったという。ある種の右翼ゴロのような存在だったのでは、と思うしかない気がする。その理屈付けに社会変革を求めたのではないか、と。騙された者、犠牲になった者、戦後も「フィクサー」という生業を続けた者……。社会構造が未熟だった故の暴走だった部分もある。ただ、今は完備し、改善されたのかというと、はなはだ心元ない気がする。あと書き方は今一つ。マイケル・シーデルの「ディマジオの奇跡」みたいな味のある筆裁きならもっと読後感は違ったかも
読了日:9月17日 著者:中島岳志
戦略論の名著 - 孫子、マキアヴェリから現代まで (中公新書)戦略論の名著 - 孫子、マキアヴェリから現代まで (中公新書)感想
中国の古典孫子から近現代に至るまでの主要な戦略、戦術に関する書籍を紹介、というより、書かれた時代背景やその意義みたいなものを軽く紹介した本。ではその本に何が書かれているのか、ということは出ていません。 出ていないというか、そういうことよりも、戦略書入門みたいな話ですから、おかど違いな要求ではあるとは思いますが。 個人的にはちょっと本を選び間違えたかな、と思っています。
読了日:9月16日 著者:野中郁次郎
「鉄道唱歌」の謎―“汽笛一声”に沸いた人々の情熱 (交通新聞社新書)「鉄道唱歌」の謎―“汽笛一声”に沸いた人々の情熱 (交通新聞社新書)感想
作詞の大和田建樹は伊予宇和島の人。博覧強記を地で行くような人物で、数々の本を書き、詞を書き、旅をして。明治時代にしては太り過ぎで、54歳で死去。作曲の多梅雅は心臓を患い、51歳で死去。版元を務めた三木佐助は家業の出版業に加え、ヤマハのピアノなどの販売元として、あるいはスタンウェイの総代理店として大阪に今に残る三木楽器を育てる一方、出版業では開成館として手広く商い、大阪書籍などの設立に関与、74歳で死去。この3人を中心に進むのだが、誰の名も表舞台からは消えてもまだJRではこの曲を使っているかな。
読了日:9月13日 著者:中村建治
苦い蜜―わたしの人生地図苦い蜜―わたしの人生地図感想
澤地久枝という人は抑えた筆致で文章を書いていくのがモットー。この手のテーマでは吉村昭と双璧だけど、師匠という五味川純平の影響が強いのか、どこか剛直な感じも残る。この1冊は冒頭の「わが還暦・ゴッホへの旅」が一番。後は自著の追い書きのような内容が多く、本を読んでいない人間にはちょっと理解しかねる部分が残る。ちなみにこれは死んだ親父どのの本棚から見つけた1冊。奥付だと1991年刊とある。ちょうど現場の責任者をやっていたころに読んだものだったか。今のこの人の随筆はすこぶるいいのだけど、時代の差、かなあ。
読了日:9月13日 著者:澤地久枝
発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)感想
「地域が自立するための処方箋を描いた先駆的名著」という謳い文句や、「孤独なボウリング」にも出てくるのでちょっと気になってトライしましたが、どうにも頭に論旨が入ってこなかった。その点で巻末にある元鳥取県知事の片山善博の解説が一番、この筆者の言わんとしていることを要約しているように思えた。363ページに及ぶ1冊は13ページ分の解説に尽きる。国を単位とせず地域を単位として経済を考えるとする筆者の主張はよくわかる。ただそれ以上に日本では人口減少、高齢化が急激に進んでいるのも事実である。
読了日:9月12日 著者:ジェインジェイコブズ
昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)感想
田原総一郎が先日、テレビで勧めていたので読了。太平洋戦争開戦前夜に日本のエリート官僚らが日米決戦の是非をシュミレーションした、という話が前半の骨子。後半は戦争を回避するために、天皇から大命が降下しながら何もできなかった東條英樹の姿が後半の軸。小説風に仕立てることで、軽く読めるのだけど、むしろ、一つひとつのインタビューであったり、メモであったり、備忘録の記述であったり、事実を提示する形式で書いてくれた方が説得力があったように思う。もっとも猪瀬直樹の本はこういう形式が多いのだけど。ちょっともの足りず。
読了日:9月12日 著者:猪瀬直樹
歌舞伎 家と血と藝 (講談社現代新書)歌舞伎 家と血と藝 (講談社現代新書)感想
歴史書には「編年体」と「紀伝体」があるけど、どちらでも楽しめる本。渡辺保の本が「正史」なら、この本は「稗史」。出典も筆者が咀嚼した上で一篇の文章に仕立てている。際どい部分まで書き込んでいるけど、却って得心がいく。歌舞伎興行としての側面と、藝の伝承と、血統と「名跡」という看板と人気と。その連立方程式の一つの解を示す1冊だ。明治の團菊時代、昭和の菊五郎、吉右衛門、戦後の歌右衛門……。首魁が現れ、時代を動かした。筆者は当代を2代目吉右衛門にその姿を見ているが。こういう政治力学的に歌舞伎を読み解いた本は貴重。
読了日:9月7日 著者:中川右介
暴走する地方自治 (ちくま新書)暴走する地方自治 (ちくま新書)感想
要は軽躁に走るべからず。「改革派」を看板に登場する首長は新鮮に映るが立論の危うさをまず説く。 続けて主要国の地方自治制度に言及する。昨今取りざたの道州制も生なかの覚悟では実現できないし、基礎自治体のありよう、国全体の制度設計が必要なことがよくわかる。 首長は時に裸の王様である。本来は二元代表制でその一方を担うはずの議会の体たらくもある。 人口減少社会、財源の縮小。アベノミクスの破綻、或いは大都市を襲う災害によって地方交付税など吹き飛ぶ可能性もある。地方の基礎自治体が扶助費すら賄えない現状なのに。
読了日:9月3日 著者:田村秀

読書メーター
posted by 曲月斎 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする