2013年09月13日

8月に読んだ本

2013年8月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2919ページ
ナイス数:182ナイス

森の力 植物生態学者の理論と実践 (講談社現代新書)森の力 植物生態学者の理論と実践 (講談社現代新書)感想
高知は山林面積が大きな県。戦後の計画造林の影響でほとんどが杉、檜の林。本来の照葉樹林ではありません。 本当は間伐をして手入れをしなければいけないのですが行き届きません。このままならいつかは破綻するでしょう。 筆者のいう本来の植生に戻すにはまた手間がいります。人口が縮減する今、その試みも必要なのではないか、と思います。 昔、川根本町の杉山嘉英・元町長の話を思い出します。「ここで育った材木を使って家を建てれば数百年は持つ家がつくれます。でも林は手入れが必要。もし元の林に戻すにはまた努力が必要です」と。
読了日:8月29日 著者:宮脇昭
政治学のエッセンシャルズ―視点と争点政治学のエッセンシャルズ―視点と争点感想
拾い読み可、大学生向けの講義なので実に理解しやすい(文章はかなり修飾関係が難解)。 1項目、政治と選挙では、英、米、豪などのいわゆる「民主主義」と欧州大陸の民主主義の概念を述べる(前者は二大政党制、後者は連立政権になる)。で、日本は、という話で、結局は地縁、血縁など縁を基盤にした価値判断が未だに主流を占め、これが「日本型」民主主義の典型と説く解説は明快。 後段の各章もわかりやすい。事前会計に重きを置く公会計と事後会計に重きを置く一般企業の差や、日本とアジア、天皇制など網羅した内容だ。各章の参考図書が親切。
読了日:8月27日 著者:松浦正孝,山口二郎,吉田徹,宮脇淳,辻康夫,空井護,中村研一,眞壁仁,中島岳志,川島真,野村真紀,田口晃,宮本太郎,山崎幹根,遠藤乾
脱グローバル論 日本の未来のつくりかた脱グローバル論 日本の未来のつくりかた感想
大阪市長時代の平松さんって印象がないのだけど、対談の形で提示されると興味深い。 「グローバル資本主義」が迫ってきたら、どうなるか、ということを考えていたというのがよく分かる本だからです。 今のTPP問題もそうですが、「政治的決断」とかいうのは松岡洋右のジュネーブでの姿同様、かっこうよくみえるけど、実際には違うのだということが後々見えてくるのです。 ネオコン以降、競争社会、市場経済こそ至上という考えが蔓延していますが、それだけではない社会、後戻りはできないけど、新たな形で創造しうるという励みになります。
読了日:8月23日 著者:内田樹,中島岳志,平松邦夫,イケダハヤト,小田嶋隆,高木新平,平川克美
華より幽へ―観世榮夫自伝華より幽へ―観世榮夫自伝感想
大学に入って最初に見た能がこの人の「頼政」ではなかったか。独特の存在感は比類ないものだった。 そんな思い出話はさておき、実に能の鍛錬のもつ、多様性を実践して見せた御仁だと思う。観世流の分家に産まれ、三つ子の魂で能に親しみ、戦火を潜って、戦後は「シテ一人で決める能ではなく公演する全体で作る能」を目指して喜多流に転じ、さらに能の世界から離れ、再び兄寿夫の死の後、能界に戻った。山姥のような人生。そのエネルギッシュさ。「自分の好奇心の赴くままに」と記述しているけど、好奇心を満たすには体力がいるのを実感。凄い人だ。
読了日:8月23日 著者:観世栄夫
師弟 ~吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年~ (ヨシモトブックス)師弟 ~吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年~ (ヨシモトブックス)感想
人ものの原稿を書く時の極意。2つ褒めて1つ貶す、と教わった。世の中に完璧な人間などいない。ひとさじのスパイスが造型を際立たせるのだ。が。 この本はしんどい。全編いい人、自分も善人という論調が続くからだ。事実かもしれない。でも何か違和感の方がさきに立ってしまった。
読了日:8月20日 著者:オール巨人
彼のオートバイ、彼女の島 (角川文庫 緑 371-9)彼のオートバイ、彼女の島 (角川文庫 緑 371-9)感想
片岡義男の本、なんてね。池波正太郎と並んで、数多く読んでる作家かもしれない。今から30年以上前の夏。プールの監視員のバイトをしながらこの1冊を読んだ。それ以来のこと。読み返してみて、マニアックな書き癖は何か今も文体に影響を与えられているのかもしれない。 今、高知のこの辺りではツーリングのバイクが多数往来。それぞれに「彼女の島」を目指しているのかもしれない。
読了日:8月13日 著者:片岡義男
映画は父を殺すためにある: 通過儀礼という見方 (ちくま文庫)映画は父を殺すためにある: 通過儀礼という見方 (ちくま文庫)感想
こういう解釈があるのかと思うと同時に、このキーワードを使えば何でもこじつけられるということできる。そのキーワードは「通過儀礼」。 「通過儀礼」の形式として、1日だけのローマの休日を楽しんだアン王女、「東京物語」の老夫婦の東京行などなど。挙げている解釈は明解とみるか、牽強付会とみるか……。 本文もさることながら、この本の一番の出色は文庫版解説の町山智浩の文章が一番おもしろかった、といってはいけないか。 島田裕巳という書き手の立ち位置が一番よく分かった。
読了日:8月13日 著者:島田裕巳
観世寿夫著作集〈3〉伝統と現代 (1981年)観世寿夫著作集〈3〉伝統と現代 (1981年)感想
荻原達子女史の編集にかかる1冊。彼女が拙に漏らした言葉「昔の学生さんは元気があったわよねえ」につきる。 というのは、寿夫の言葉、対談相手も含めて、ある意味での60年安保、70年安保の熱気が含まれているからだ。そういう思想に浮くの一つの事実。でも同時に、寿夫が指摘する「観客論」は今に至っても色あせることはない。なぜか。能の観客があの時代より進歩しているとは思えないからだ。否、退歩しているかもしれない。 彼は金のための家元制度、ということを喝破しているけど、その現実は何も変わるところはないのだから。
読了日:8月10日 著者:観世寿夫
ゴルフの作法ゴルフの作法感想
個人競技のゴルフで、師弟関係というのは不思議なものだけど、芹沢一門っていうのは、ノーブルなゴルファーが多い。藤田寛之、宮本勝昌、上井邦浩……。で、書いてある内容はごく常識的なものだけど、この人の看板で書かれると、ううん、なるほど、と思ってしまうのが不思議ではある。
読了日:8月8日 著者:
関西弁講義 (講談社学術文庫)関西弁講義 (講談社学術文庫)感想
大阪弁、京都弁など関西圏の言葉の言語学的論考。日本語はアクセントが1カ所で高低の変化をするのが一般的だが、関西弁は高い発音からと低い発音からの区別もあると説く。 種々の用例引証は興味深いが、実際のところ、音が頭の中で響かない悲しさ、ネイティブには面白い本だと思うのだが
読了日:8月8日 著者:山下好孝
「リベラル保守」宣言「リベラル保守」宣言感想
筆者の前提は以下の通り。「人間の理性によって理想社会を作ることが可能とする立場」に立ち、その実現の手段として、国家を使えば共産主義であったり、社会民主主義ということになり、それに頼らないとなるとアナキズムになる。一方、「人間の完成可能性を疑い、長年の制度や伝統や良識に信頼を置く立場」というのが保守主義(親鸞の悪人正機説もそうという解釈は上手い)。以下思索が続くのだけど、橋下市長の言動の分析や原発に対する立場など、教えられることが多い。いえば自民党宏池会みたいな存在が本当は一方の旗手になるのがいいのだろうが
読了日:8月5日 著者:中島岳志
有川浩の高知案内 (ダ・ヴィンチブックス)有川浩の高知案内 (ダ・ヴィンチブックス)感想
カツオ人間写真集第2弾かと思いきや、存外まじめなガイドブック。ちなみに自分が住んでいるところであるからして、どこを紹介するのか、気になったが、東は馬路と安芸だけ。本当は室戸まで行ってほしいんだけどなあ。でもアクセスの点で1泊2日のコースではしんどい、という現実がはしなくも現れる。ちなみに安芸は地場産市場と大山岬、伊尾木洞。馬路は馬路温泉。参考になるような……。日本3大がっかりの「はりまや橋」をきちんと紹介している視点はたしかにその通り。今度西の方に行くときには参考にしようかな。彼女は高知市内出身だそう。
読了日:8月1日 著者:

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posted by 曲月斎 at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする