2013年07月02日

6月に読んだ本。

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2557ページ
ナイス数:168ナイス

高柳重信全句集高柳重信全句集感想
高田馬場の「旗亭尚武」の思い出から浮かんできた俳人。日本海軍などの連作や、分かち書きの句の形式など、に取り組んだ方らしい。 こういう本は急に読み通す訳ではないけど、ぱらぱらとめくって、気になった一句を。「夕風/絶交/運河・ガレージ/十九の春」(日本海軍・補遺)
読了日:6月28日 著者:高柳 重信
昭和戦前傑作落語選集 (講談社文芸文庫)昭和戦前傑作落語選集 (講談社文芸文庫)感想
大日本雄辯会講談社の「講談倶楽部」といえば、戦前を代表する雑誌の一つ。その速記を集めたのがこの本だ。 第1)源平盛衰記に見る話藝の妙。 筆記されているのは7代目正藏のもの。つまり先代三平の父。解説に在るとおり、台本はないけど、三平〜当代と続く藝風の伝承を感じた。 第2)金語楼の存在 新作で名をはせた人物ではあり、「金語楼の後備兵」「女優志願」の2篇が収められているけど、不易流行とはいかんなあ。 第3)文楽、圓生、今輔、金馬…… 戦後まで生き残り名を残した人の口演は何か楽しい。荒削りなのかもしれないけど。
読了日:6月27日 著者:三遊亭 金馬,柳家 小さん,春風亭 柳好,柳家 金語楼,三遊亭 圓生,柳亭 左楽,桂 文楽,古今亭 志ん生,柳家 小三治,春風亭 柳橋,橘家 円蔵,柳家 権太楼,桂 米丸
コミュニティを再考する (平凡社新書)コミュニティを再考する (平凡社新書)感想
3・11以降、コミュニティの存在を称揚、あるいは至高の妙方のように、紹介する向きが多い。曰く「絆」「つながり」と。でも一歩、立ち止まって考えれば、そんな綺麗事ばかりではない。家であり、集落であり、個人の生活を優先する中にあって、否定されてきた存在ではなかったか。地域は人口減少で崩壊し、会社中心の終身雇用を基盤とした繋がりも消えたいま、コミュニティの文字を唱えれば頓服のように幸福になれるという幻想を掻き立てている気がしてならぬ。この文は頗る衒学的で難解だけど、この呪文の本当の意味を考える契機にはなる1冊。
読了日:6月25日 著者:伊豫谷 登士翁,齋藤純一,吉原直樹
「はなくそ時評」蔵出し100選(仮)「はなくそ時評」蔵出し100選(仮)感想
しりあがり寿の1コママンガ集。筆というか、割り箸というか、独特の線で俳画にも見えるのが不思議。 中で、今年の3・11。教室でこの数字を書いて見せた教師は「絶対に忘れてはならない。これはなんでしょう」と聞くと、生徒が「円周率」と答えるもの。何とも当たっているなあ、と。 こういう味は他の作家ではないものですねえ。 お約束のパタパタ漫画付き。
読了日:6月25日 著者:しりあがり寿
ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書)ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書)感想
こんな風に書き込んでいることも、どこかで収集されているだろうし、それを解析しようとする人もいるでしょう。「ビッグデータ」という漠然とした存在を、どう利用しているのか、というのを解説している本です。入門書としてはわかりやすい書き方に好感がもてます。Twitterの文字数制限の起源、あるいはアマゾンのデータ処理への姿勢、Googleの戦略など、なるほどと思わせることが続々出てきます。で、これから。東日本大震災の際のホンダのようにGPSデータを活用したいい例もある一方、個人情報の管理も難しいと改めて思います。
読了日:6月24日 著者:海部 美知
探偵ゲーム―怪盗Xより七つの挑戦状 (1968年) (カワデベストセラーズ)探偵ゲーム―怪盗Xより七つの挑戦状 (1968年) (カワデベストセラーズ)感想
1968年の初版。小学校3年ほどのガキが買ってもらうにはませ過ぎた本だけど、久々に巡り会った形。 類書の手本となったようなもので、文章上の表現に時代を感じさせるものがあるけど内容は古くない。焼死体の胃の内容物の豚肉から何人かを推理するとか、キリル文字を使ったトリックとか。 カバーに佐野洋が「高級な知識の遊戯として大変面白い。また仕事の合間の疲労回復にぴったりだ」といい、戸川昌子が「推理小説の楽しさを10倍にした本。謎解きゲームに夢中になって本業の仕事が手につかなくて困った」とか、笑わせてくれる賛辞つき。
読了日:6月16日 著者:藤原 宰太郎
風雅と官能の室町歌謡  五感で読む閑吟集風雅と官能の室町歌謡 五感で読む閑吟集感想
抽象的。「小歌を読むには多くの困難が伴う。作者も分からず前後の文脈もない。歌の成立事情や状況そのものがはっきりしない」と筆者自身も書いている。それでも「当時の人々が歌をどのように理解していたのか、近づきたい」と悪戦苦闘した結果がこの本である。 閑吟集、宗安小歌集、隆達節と、室町歌謡を読み解くのに、平安朝物語から和歌、能、狂言とありとあらゆる周縁を援用する。余計にわかりにくい。 何しろ楽しそうな歌うものだったろうに、どう歌ったかが分からない。 拙の頭の中では狂言の小舞や謡の小哥を連想していたが。茫洋。
読了日:6月14日 著者:植木 朝子
2分間ミステリ (ハヤカワ・ミステリ文庫)2分間ミステリ (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
たった2ページの「探偵小説」です。答えは1問先の次のページ。わざわざ活字が天地逆さまに組んであります。 以前に買って積読にしてあった気もするんだが……。 とあれ、なかなかに楽しい1冊です。 子供時代にわくわくしながら探偵小説を読んだ時の記憶がよみがえるというか。内容に言及するより、体裁に言及して楽しかった、という1冊です。 続、続々と買ってしまいそうな気がする。
読了日:6月9日 著者:ドナルド・J. ソボル
中世のなかに生まれた近世 (講談社学術文庫)中世のなかに生まれた近世 (講談社学術文庫)感想
サイン・花押などが書かれた文書を「判物(はんもつ)」といい、印を本人の証とした文書を「印判状(いんぱんじょう)」と呼ぶ。 戦国時代の武将らが、どんな体裁の書状を家臣や領民、寺社に与えたか、あるいは書面で使っている儀礼的な言葉(ex恐惶謹言など)がどう変化しているか、などを量的に分析して、支配体制の強弱や官僚化を探っていくという知的刺激に満ちた1冊。 東国の後北条氏でその官僚化が一番進み、西国の毛利氏や島津氏ではほとんど進んでいなかったという指摘がおもしろい。 巻末の用語集を先に読む方がいい。好個の入門書。
読了日:6月9日 著者:山室 恭子
犬の伊勢参り (平凡社新書)犬の伊勢参り (平凡社新書)感想
これも今秋の遷宮あやかり本ですな。犬が単独で伊勢参りをした、という伝説。これが事実だったと古文書から解き明かす。中ほどで延々と「六畜の穢れ」話が続くものの、これは不要では。元々、神宮と犬は禁忌だったというくらいで十分です。この本を読んで真っ先に思い出したのは「行旅病人及行旅死亡人取扱法」(1899年)の条文。旅先で行き倒れたら、亡骸は故郷まで送られるという内容なのですが、犬を次々に村が送っていく仕掛けはここにつながっていたんですね。あと伊勢参りは犬のほか豚や馬、牛もやっていたというのが驚き。
読了日:6月3日 著者:仁科 邦男
騎手の一分――競馬界の真実 (講談社現代新書)騎手の一分――競馬界の真実 (講談社現代新書)感想
競馬の取材に関わっていたころは「若手」と言われていた藤田伸二ももうベテランなのですね。栗東TCもシステマティックになっているのですね。 たぶん、聞き書きの編集ながら、本の中で出てくるデータとして、サラブレッドの国内生産の減少、騎手の減少……などが説得力を増しています。1000勝騎手の調教師転向の特典がなくなったのもボディーブローのように響いているんですね。 馬主→調教師→騎手の順で変化が起きていたのですね。小林稔、戸山為夫などなど、懐かしい名前が出てきました。 競馬世界の表層の繁栄と深層の制度劣化と。
読了日:6月2日 著者:藤田 伸二

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posted by 曲月斎 at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする