2013年04月02日

3月に読んだ本。

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3652ページ
ナイス数:128ナイス

醤油鯛醤油鯛感想
大人の1冊です。 醤油入れとして使われる「醤油鯛」の収集をきっかけに、特徴を見極めて筆者が入手した全76種を6科21属に分類、その形質的特徴を考察した本である。 たかが醤油入れというなかれ。統一した意思の下に作られた崎陽軒のひょうちゃんと違い、全国津々浦々の業者が勝手に作った製品である。それを一つの意思の下に体系づけた労を多としたい。 筆者によれば絶滅種もいると推定される一方、新種も確認されているという。今後もこの研究が発展することをぜひに期待したい。
読了日:3月31日 著者:沢田 佳久
国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書)国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書)感想
序章と1章目は小生には難解。2章目から18世紀の欧州を舞台にした話になり、筆者の言う「均衡」「協調」「共同体」という国際秩序の実例が分かってくる。英露普墺仏の5大国による安定から米独日という新たな存在の出現による新しい枠組みの模索、第1次大戦→国際連盟→第2次大戦→国連まで続く。今や国と国という枠を超えて秩序を破壊する存在としての民族主義的な要素の指摘から、日米中の枠組みの俯瞰まで話は進む。文中に再々、米国務長官だったキッシンジャーの名が出てくる。翻って彼の著作を改めて読んでみたくなった。冷静で的確な1冊
読了日:3月29日 著者:細谷 雄一
京のわる口 (平凡社ライブラリー)京のわる口 (平凡社ライブラリー)感想
「位どり」という視点で、自分を如何に上げる(優位に立つ)のか、小細工に優れた待遇表現の体系を持つ方言としての京都弁の分析をしている。分析といっても1編が3ページ。題材が次の章立てに流れるようにつながっているのだから、たいしたものだ。悪口だけでここまで微妙な差異と使い分けが生まれているのだから。 京都弁訳の「源氏物語」「枕草子」などは秀逸。話す人間が伝えてきた精神性みたいなのが、現代京都弁に直してもにじむのがおもしろい。 名著「全国アホバカ分布考」で指摘していたように、流行の最先端地というのは実に奥深い。
読了日:3月27日 著者:秦 恒平
地図の遊び方 (ちくま文庫)地図の遊び方 (ちくま文庫)感想
図幅の大半を海が占める図の話から始まって、地図記号の話、地名の話と続く。この手の本の恨みになるが、せっかくの引用した地図図版が小さいのが残念。それでも、種々読み解いて見せるのは門外漢にも興味深いのではないか。今はないが「肥前鳥ノ島」という5万分の1の図があって、約400平方キロの地図にわずか187平方メートルの島(というか岩)が載っていた図があった。墨1色刷り、海を表す波状水線が芸術的だったことよ。筆者はこの図に触れていないが、そんな時代に育ち、地図が画面ではなく紙で育ったから書いた1冊かも。
読了日:3月24日 著者:今尾 恵介
地図を探偵する (ちくま文庫)地図を探偵する (ちくま文庫)感想
個人的な記憶だが、国土地理院の地形図に親しみ始めたのは中2のころ。5万分の1の「田野々、桜谷、五百石」だった。それからずっとつかず離れずの暮らしだ。地図は「読む」ものである。等高線を見やすくしたり、分水嶺を追いかけたり。筆者もそんな「遊び」から始まったのだろう。廃線跡を探したり、地名の変遷を追ったり。地図を読み、さらに深読みする作業の最たるものだ。巻末に「地図のたのしみ」「地図をあるく」の2冊で親しんでいた堀淳一さんの名前があったのも何とも懐かしい。マニア入門書として、その気分、分かる分かるという1冊。
読了日:3月24日 著者:今尾 恵介
ヘタウマ文化論 (岩波新書)ヘタウマ文化論 (岩波新書)感想
何とも散漫な本。中でいくつか興味深い見立て(東海林さだお、タモリなど)はあるのだけど、それ以上でも以下でもない。 本人曰く、寝る前に思いついたことを書き綴ったというが、それにしても。 ここまで散漫な本の前に、ぶきっちょなまでにぎちぎちの本「滑稽の研究」を書いた田河水泡のことを思い出した。
読了日:3月22日 著者:山藤 章二
方言漢字 (角川選書)方言漢字 (角川選書)感想
元々は三省堂のHPでまとめたものを下敷きに書いた1冊だそうだ。日本各地の地名などに残る用例の少ない漢字を博索して、その地域ごとの考察を展開していく。実地に現地に行ってみるという手法なので、ルポ風でもある。その点で、書斎で作り上げられた本とはひとあじ違う風味が楽しい。 ただ、こういう地域の風土や歴史を示す小字名(基礎自治体の中で大区分が大字、その下が小字)が消えていく中、こういう漢字も同様の運命をたどっていくのではないか、と思う。JIS基準外の字も多いし、PC上で表示されないというのは大きなハンディだから。
読了日:3月4日 著者:笹原 宏之
センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)
読了日:3月4日 著者:内澤 旬子
飲食事典 下巻(たーわ) (平凡社ライブラリー も 11-2)飲食事典 下巻(たーわ) (平凡社ライブラリー も 11-2)感想
ふと、連想したのが村井弦斎の「食道楽」。今は岩波文庫で原典が読めます。奇しくも筆者は村井と同じ報知新聞の出身。自ら小料理屋「つたや」を経営しつつ、この本の記述に当たったといいます。項目6000、小型随筆の体もあり、いい本です。ちょっと寝転がって読むには厚いけど。ちなみに下巻は「鯛」の「た」から、「わんぱ(忘八)」の「わ」まで。
読了日:3月4日 著者:本山 荻舟
飲食事典 上巻(あーそ) (平凡社ライブラリー も 11-1)飲食事典 上巻(あーそ) (平凡社ライブラリー も 11-1)感想
所謂「工具書」でしょうか。五十音順に食物に関する素材、料理法、人名、年中行事などなど、記述が並びます。各項目は簡潔で読みやすい。通読するものかもしれませんが、多分、拾い読みの楽しさを味わう本ではないでしょうか。上巻は「あいがも」の「あ」から、「樽俎」の「そ」までです。
読了日:3月4日 著者:本山 荻舟
近現代日本史と歴史学 - 書き替えられてきた過去 (中公新書)近現代日本史と歴史学 - 書き替えられてきた過去 (中公新書)感想
早くに出版されていれば、全然違う本の読み進め方ができたのに、と思います。新説の展開というより歴史学の研究方法の変遷を跡づけし、基礎的な文献や所説を解説、紹介していくという体裁です。 その3段階の考え方というのは、第1期はマルクス主義歴史学、第2期は実証主義歴史学、そして第3期は隣接する諸学問(社会学や民俗学など)の知見を生かした史学。 エポックで取り上げるのは明治維新、自由民権運動、日清日露戦争、大正デモクラシー、アジア・太平洋戦争時代、そして戦後社会など。何度も読み返して本を探したくなります。
読了日:3月3日 著者:成田 龍一

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posted by 曲月斎 at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする