2012年11月01日

10月に読んだ本

2012年10月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2570ページ
ナイス数:88ナイス

古典劇との対決―能・歌舞伎・僕達の責任 (1959年)古典劇との対決―能・歌舞伎・僕達の責任 (1959年)感想
ま、60年安保前夜の本です。シテ第一主義、幽玄絶対主義などなど、戦前から続く能への評価への精一杯のアンチテーゼを示そうとしているのですが、悲しいくらいに稚拙、凡庸。「芸術家たらんとする行為を放棄しながら、芸術家として遇されたいという矛盾の谷間に、能楽師は常に漂泊している」と喝破するのは簡単なんですけどね。今となっては能にそれだけの熱を持って語っても聞いてくれる民がいない現実。ただ、雀百までといいますが、この人の言っていることはそう進歩していない、というのがよく分かる1冊ではあります。渡辺保もこの洗礼の下に
読了日:10月31日 著者:堂本 正樹
街場の文体論街場の文体論感想
「文体論」というよりも、言葉とは(意思の疎通とは)どういう仕掛けなのか、ということを説いておられます。講義録だから読み手としても軽快に、でも考えながら読めます。司馬遼太郎や村上春樹についての見立てが即妙。ただ文章を書くことを商売とすれば、「やさしく読みやすく」がともかく第一条件。内田先生のようになかなかに達意の文章というのはかけないものだ、と思い知らされます。
読了日:10月21日 著者:内田樹
四字熟語の中国史 (岩波新書)四字熟語の中国史 (岩波新書)感想
漢字2字の組み合わせで生まれる熟語。筆者はAとB(ex.矛盾)、BをAする(ex.臥薪)、Aと同じB(ex.名称)、AのB(ex.乱世)、Aと非AのB(ex.売買)の5類に分ける。それを2倍にしたのが四字熟語。「温故知新」の訓読を朱子学から古学に目を転じて論じたり、「不射之射」では中島敦の名人伝に論及したり。「宋㐮之仁」では春秋の公羊伝や左氏伝(余談ながら春秋三伝の残り一つは穀梁伝)の話が出たり。単に四字熟語の話というより、丸谷才一の中国版、という飛躍の仕方。楽しい1冊。
読了日:10月18日 著者:冨谷 至
差別語からはいる言語学入門差別語からはいる言語学入門感想
2012年6月発行のちくま文庫版で読了。言語学の概念をご説明になっているのはわかるのだが、これは言語学を修めようといういう方向けの本です。文字は追えても難解です。正直にいうと途中から飛ばし読みになってしまいました。いくつか心に残る記述もありましたけど。
読了日:10月10日 著者:田中 克彦
江戸歌舞伎役者の“食乱”日記 (新潮新書)江戸歌舞伎役者の“食乱”日記 (新潮新書)感想
3代目中村仲蔵の日記「手前味噌」から、食い物ネタを拾い集め、再編集した読み物。終始軽い調子で読みやすい上に、筆者の脱線のし具合も丁度いい塩梅。本書で紹介している「鮎の素揚げを大根下ろしを添えた醤油で食う」とか、「筍を二つ割にして味を整えた生卵をいれ、再び合わせて荒縄で巻いて焼いたもの」とか。ちょっと食べてみたいものが次々こに出てくるのがたのしい。好読み物かな。関連したジャンルに関心を移していくと記す筆者に性向が近い所為かも。
読了日:10月10日 著者:赤坂 治績
関東大震災と鉄道関東大震災と鉄道感想
大正12年9月1日。南関東を襲った関東大震災での鉄道の被害に焦点を合わせた1冊。被害状況や事後の対応を点綴していく。印象深かった挿話。東海道線根府川駅の地崩れで列車が海まで押し流された惨事だ。あと関釜連絡線を管理していた門司鉄道局の対応。被害状況から船2隻を東京に回航、京浜間と清水港の貨客輸送の任に充てることを課長級の会議で決め、進めたこと。鉄道電話の活用の逸話、新聞記者がどう東京〜大阪を動いたか等々。事実の積み上げが全体像を浮かび上がらせる。その像を脳裏に描きながら今、同様の事態が起きたら、と考える。
読了日:10月9日 著者:内田 宗治
武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす (中公新書)武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす (中公新書)感想
中世の武士は今でいえば暴力団である、というテーゼは実にセンセーショナルではあるけど、本書の前半はこの命題の人文科学者としての解明の姿勢が貫かれたのしい。決して八幡太郎義家も武士であり無頼の徒でもあったのだ。後半はやや前段の詳解風で、重箱の隅感もあるけど、丁寧。ある意味で新鮮な驚きのある1冊。
読了日:10月5日 著者:野口 実
歌舞伎劇評歌舞伎劇評感想
渡辺センセも若かった、ということでしょう。能評なら、坂元雪鳥→大河内俊輝→堂本正樹という藝風の変遷があったわけだけど、歌舞伎評ならだれから始まるのかな。とあれ、渡辺センセがその最新の位置近くにいるのは間違いないのだけど。
読了日:10月2日 著者:渡辺 保
地図から読む歴史 (講談社学術文庫)地図から読む歴史 (講談社学術文庫)感想
地図ってのは、いろんな手がかりを今に残してくれているわけで、その点でこの本は地名であったり、遺跡発掘資料だったり、史料文献だったりと博索統合して、いろんな結論を導き出すという知的な「遊戯(といっては研究者に失礼か)」のやり方を教えてくれる本です。ただ、話が近畿に偏っていること、ちょっと……、かなあ。好きな分野で丹念に書いてある本だけど。個人的に地図を読むのは好きだけど、ちょっと読み方が小拙とは違う気もするので、違和感が残ったのかもしれない。今でも謄本でとれるけど、明治初期の地形図って確かに示唆に富んでます
読了日:10月2日 著者:足利 健亮
フェイスブックが危ない (文春新書)フェイスブックが危ない (文春新書)感想
データ検索をかければ履歴や行状は想像がついてしまうので公開しているけど、改めていろんなところに、落とし穴があるものと感心。自身のことはもとより、「友人」に迷惑をかけないような配慮が必要と再認識した。Facebookの一面を教えてくれる興味深い本です。 ということで、セキュリティの強化をしました。
読了日:10月1日 著者:守屋 英一

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posted by 曲月斎 at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする