2012年01月01日

2011年12月に読んだ本

12月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2321ページ
ナイス数:36ナイス

謡曲入門 (講談社学術文庫)謡曲入門 (講談社学術文庫)
「東の表章、西の伊藤正義」と呼ばれたという、能研究の泰斗の漫筆。元々が能の会のパンフレット用に書かれたものだから、いずれも掌編、ワンテーマ随筆の形式だ。ただ、内容は帯にあるような「代表的な40曲の鑑賞のポイント」というにはほど遠い。謡の詞章の論考、その典拠を探るものが大半をしめ、いささか堅い内容。一昔前の国文学の論文のようだ。能の研究では「能楽大観」という畢生の大著があるが、この注釈に、戦後進んだ研究の要素、たとえば中世に流布した和漢朗詠集や古今集の注釈書の利用を指摘したものが新味。古めかしい1冊だ。
読了日:12月31日 著者:伊藤 正義
歌謡曲から「昭和」を読む (NHK出版新書 366)歌謡曲から「昭和」を読む (NHK出版新書 366)
NHKは本当に商売が上手になった。テレビの番組を本にしたて直す。そういう意味でこの本は話すように書くという基本とおり分かりやすい上に、筆者ならではの知見、例えば音楽出版業の成立など、当事者ならではの記述が興味深い。ただ、若い読者には、古い曲はイメージできないだろな。テレビなら楽曲を流せばいいのだけど。
読了日:12月31日 著者:なかにし 礼
東京路地裏暮景色 (ちくま文庫)東京路地裏暮景色 (ちくま文庫)
元は雑誌荷風に連載したものをまとめたという。連載の転載ゆえか、話が簡単に完結してしまう恨みが残る。加えて図版の掲載が限られる分、読者には親切さが欠ける。旧著のような熱がないのが不思議。ほぼ同じネタを書いているのだけど。桜井敏雄の話が少し味を残しているくらいかな。なぎら調復活を願う。
読了日:12月31日 著者:なぎら 健壱
日本的経営の系譜日本的経営の系譜
日本は資本主義国であり、江戸時代、ひいては中世以来の商業の基盤の上にあります。組織を構成しているのはいまも昔も人間ですが、組織の意識がどう構成されてきたかを再考させてくれる一冊です。主従関係だったり、親方を頂点とする問屋制請負制度だったり、財閥とは何だったのか、あるいはパナソニックがかつて看板にした大家族主義、従業員を定着させるための福利厚生、終身雇用、年功序列などなど。それが、御恩と奉公から、権利と義務に変容したり。1960年代の本ですが基礎文献としては今読んでも有益です。日本人の考え方を考える上で。
読了日:12月25日 著者:間 宏
男子校という選択 (日経プレミアシリーズ)男子校という選択 (日経プレミアシリーズ)
よくも悪くも男子校の出身、6年間の経験は無駄にはできない。 我が身を振り返れば、国語に、それも古典にしか関心を持てなかった自分をそのまま善導してくれたのだから、ありがたいというしかない。 公立なら弾かれていただろうから。 筆者のいうほどに男子高の利点はカッコよくない。でも勝手なことに付き合ってくれてなんとかしてくれる先生もいて、友達も出来て、ええじゃないデスカ。その効き目は大学受験の時ではなく、社会にて、何十年ののちに実感することではある、と思うけど。男子校という場が大きな影響があるのは否定できないし。
読了日:12月20日 著者:おおた としまさ
性愛の日本中世 (ちくま学芸文庫)性愛の日本中世 (ちくま学芸文庫)
このテーマにジェンダーの話が絡むと非常に分かりにくい。申し訳ないが、小生の手には負えなかった。
読了日:12月10日 著者:田中 貴子
犯行現場の作り方犯行現場の作り方
有栖川有栖との対談を読んで、買ってみた1冊。実に机上の作品が多いのが面白かった。犯行現場となった建物を建ててみると、というのがこの本のコンセプト。でも不条理な建物を不条理なとは感じさせずに読ませてしまうのが推理作家の腕前なのかもしれない。と同時に、横溝正史の「本陣殺人事件」の出来の良さを改めて感じた。不自然ではない中から密室を作り上げていくというのが妙手。ちょうど小生が推理小説を読みふけったころは、社会派全盛のころ。こういう読み方も確かにあるなあ、と。でも、本にするものかな。Webでも十分な気がした。
読了日:12月10日 著者:安井 俊夫
ナチを欺いた死体 - 英国の奇策・ミンスミート作戦の真実ナチを欺いた死体 - 英国の奇策・ミンスミート作戦の真実
この本の内容は丸谷才一の随筆で見付け、読んでみたいと思っていた1冊です。第2次大戦中、連合国が欧州反攻をシチリア島から開始されるに当たって、その作戦を欺瞞するために架空の伝書使の死体を作り上げ、その携行している手紙からバルカン半島など外の地点に作戦計画を立てているかのように思わせたというのが筋。情報戦を仕掛ける側、仕掛けられた側、そしてその作戦に従事した側、それぞれに分析や取材を深めて、後を追っている1冊です。事実は小説よりも奇なり。何より後日談まで丁寧にのっているのがこの本の厚みを増しています。面白い。
読了日:12月02日 著者:ベン・マッキンタイアー

2011年12月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター


posted by 曲月斎 at 16:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新春之御慶賀

新春之御慶賀、自他幸甚幸甚。

これは日蓮が出した手紙にある章句です。

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たまたま街の中で見かけた張り紙にあったんですけどね。
何か自他幸甚幸甚、という文句に思いがある気がしていい文句だな〜と。

敬虔な真言宗信徒としてはそんなことを思うのであります。
尤も、この手紙の宛先は、真言宗信徒だったといいますがね。

日蓮の書って、勢いがあっていいんです。

ちなみに石川遼の「しんにょう」の運筆も日蓮に似ていますけどね。

今年は「自他幸甚幸甚」という1年となりますように。
posted by 曲月斎 at 05:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 身辺雑事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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