2011年11月30日

留萌の人。

最近、1枚のCDを買った。
男たちの戦記 −東宝戦記映画音楽集−」というもので、詳しくはリンク先をご覧頂きたい。

要は1965年ごろから、東宝が8・15シリーズという作品を毎年夏に封切っていた。
いわゆる戦記映画なのであるが、中でなかなかの出来栄えと今でも思うのが「日本海大海戦」である。

日本海大海戦 [DVD] / 三船敏郎, 加山雄三, 仲代達矢, 松本幸四郎 (出演); 丸山誠治 (監督)

何でこの映画を思い出すかというと、NHKが年末に向けて「坂の上の雲」の再放送を始めているからで、役者の貫目という点で、この映画の出来がいいからであります。

ちなみに本篇では明治天皇役は白鷗の幸四郎。今のNHKで菊之助が演じているのとはまた違った造形で楽しいですな。それに、昭和天皇の侍従長と言われた入江相政が先般の戦災での炎上を惜しんだ明治宮殿の中の情景などもよく再現されています。

さて。そのサウンドトラックが上記のものであったのですが、映画音楽と担当したのが佐藤勝(1928〜1999)という人物でした。

映画音楽の世界の大家だったそうで、自分の知見の外の人物でした。

彼が携わった作品には「天国と地獄」とか「日本のいちばん長い日」とか、好きな邦画の名が並ぶんですね。
不思議な感じがします。

彼は北海道留萌の出身で町に2館あった映画館に母親に連れていかれていたのが、後の仕事の素地になったといいます。そして、長じては始発で旭川に行き、映画を見て、終列車で戻ったという。あの留萌の町に向けて走っていく留萌本線は今よりも炭鉱があったのでにぎやかだったとはいえ、南と東を暑寒別岳、西側は日本海という小さな町から出て、戻っていく日々はどんなものだったのだろうと思います。

好きな映画と映画音楽の関係なんて考えたことなかったけど、ちょっと興味深かったので。
posted by 曲月斎 at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 身辺雑事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月29日

某日。

▽某日
まだ、旅の空。この1年のまとめの原稿を書くのに、どこが書きやすいのかを考えて、ここを選んだ。うまいものがそろったデルタの街で、結局、街に出たのは夜11時過ぎ。
昼にゴボウ天うどんを食べただけだったので、至極空腹。知り合いの屋台に飛び込んで、とりあえずアジの天ぷらをつまみ、ハラミの串焼きを食い、一段落。デルタの真ん中にあるおにぎり屋で、塩鯖と塩からのおにぎりをつまんで、なじみのバーへ。
一通りの愚痴に付き合ってもらっていると、会社の同僚が2人、別々に登場。あり得ない組み合わせでの飲み会になってしまった。
某社は人事の話、某社は金の話、某社は仕事の話……と店主は噂話の違いを言う。
でもすべて嫌いなので、全く妙な話になってしまった。
ここでグランダッドのボンデッドのハイボール。どこでも同じになってしまった。

▽某日
宮崎での2週間を終えた。
結局、痛感させられたのは老い。
というのは、以前なら毎日焼き肉を食べに出掛けても、鰻の蒲焼きでも、どんと来い状態だったのだけど、もう、ダメですね。
やられたという感じ。食欲はない、便意が頻繁にくる。非常にいけません。
1度1度の食事は本当においしかった。でも連続してはダメなのですね。
でも宮崎では鰻と牛、です。委細はまた。

▽某日
荷物が重い。2週分の衣類、しかも寒いのか暑いのか、非常に曖昧な時期で、2様の支度をしなくてはいけない。帰任に当たっては少しずつ、荷物を減らしていく。でも九州から横浜はどうしても所用中1日。本当はレインウエアとかシューズとかをおくってしまいたいのだけど、担いで帰るしかない。そう、飫肥の卵焼き。冷蔵庫に入れてあるのだけど、忘れないようにしないと。
posted by 曲月斎 at 11:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 身辺雑事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月17日

某日。

▽某日。
そういえばこのところ、更新していない。
11月に入って、千葉であった。
茂原・武田屋旅館である。
通信環境が極端に下がり、畳敷きの8畳間で、ノートパソコンをパコパコ叩いているのはどうも興趣に欠ける。
ということであったのであるが。
布団のまわりに本の壁。布団は畳んでも、武田屋旅館はきちんと本はそのままにしてくれる配慮がうれしいですな。

▽某日。
今季の締めくくりは宮崎の現場。1週間半の居続け。
ホテルは去年と同じ。第3つぼやでホルモン焼き。店のお兄さんはこの夏独立して居酒屋を始めたよし。近所なので訪ねてみると、小体だけど気持ちのいい店になっていた。何でも網焼きホルモンの調理法と削り掛け(猫飯)と「つぼや」の屋号は創業者一族ののれん分けだけで許されるものだそうだ。そんなこととは知らんかった。

▽某日。
「ナチを欺いた死体」入手。以前、丸谷才一が随筆で書いていた推理小説の別仕立てらしい。
時は第2次大戦。反抗を開始した連合国はイタリアへの侵攻を企図するのだけど、チャーチル自身も「シチリア島しかない」というほどの上陸地点。これを欺くために、死体を遣った、という話なのですけどね。
死体といえばニュースがありましたな。奥多摩の鍾乳洞の地下湖で、25年前に潜水中だった上智大生の遺体が発見されたというもの。そういう遺体がよく見付かったなあ、と思いますな。

▽某日。
千葉からの帰途。また例によって房総横断道路。途中で何台かやり過ごして越える。千葉は首都圏とはいうけど、山深い。牧場の匂いも。
牧場の匂いといえば、この前の賢島の現場もそう。
東名阪道から伊勢道、このルートも結構、香りましたなあ。
伊勢道、伊勢湾岸道は切ないですよ。SA、PAが夜になってしまうと閉まっちゃう。
亀山味噌煮込み焼きうどんも、××屋ラーメンもなし。地方の高速は恐るべし、ですな。

▽某日。
賢島行きで小さな再開。
大学時代に伊勢で合宿した時に、志摩磯部という駅の近くにある「川梅」という鰻屋にいったのですな。時移り、この町に再び泊まることになって、見付けたわけです。
あの時は朱塗りの蓋ものに山盛りになっていた鰻、お櫃を抱えて食べたものですが。
もう2切れで満足。時の流れであります。
そう。あのときにはなかったものがこの日はありました。生牡蠣。
生牡蠣といえば的矢湾。昭和の時代、垂下式養殖法と、紫外線滅菌浄化法であります。
でも、まだ時期が早いのかな。磯の香りはしたけど、豊潤というまではいきませんでしたな。ちなみに1個250円。生8個に焼き4個。三陸の牡蠣にこだわって客に提供していた新橋地下街の「鳥の巣」はどうなるのだろ。
posted by 曲月斎 at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 身辺雑事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月01日

10月に読んだ本。

matome_gimage_25109_1.jpg10月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:3419ページ
ナイス数:56ナイス



本と怠け者 (ちくま文庫)本と怠け者 (ちくま文庫)
元は雑誌の連載とネットの連載と震災以降の身辺雑記からなる。今は顧みられることの少なくなった作家、源氏鶏太とか、尾崎一雄とか。もっといえば、小林秀雄もその範疇かもしれないが。そういった作家、評論家の著作からの偶感を連記したもの。筆者はしきりに批評と評論という行為について言及しているけど、結局は何をいっても批評は印象批評に戻る。客観的な批評なんてありえない(この小文もそう)。理屈をこねる部分はいささか興に欠けるが、魅力の再認識という点では新鮮かもしれない。個人的にはこんな生活はうらやましいが、辛そうでもある。
読了日:10月31日 著者:荻原 魚雷
正真正銘 五ツ星源泉宿66(祥伝社新書253)正真正銘 五ツ星源泉宿66(祥伝社新書253)
筆者の偏狭な考え方に基づいた1冊です。某氏が提唱するという温泉水の酸化還元のどうこうという理論は全く理解できません。温泉水は還元系、さますと酸化して効能が下がるとか。無加水、さまさず、そのままでかけ流し。塩素系殺菌剤を加えないのは賛成しますが、水温40度前後の温泉なんて日本にはそう数があるはずないのです。地下数千bまでボーリングをして得ているものが有り難いというのは解せません。筆者は地熱発電に警鐘を鳴らしながら、そのくみ上げは何も問題視しない。論理的には理解できません。選ぶ旅館も何をかいわんや。
読了日:10月29日 著者:小森 威典
徹底検証 日清・日露戦争 (文春新書)徹底検証 日清・日露戦争 (文春新書)
申し訳ないけど、こういう座談会はしんどいです。どう読んでも張り扇をパンパンと叩いている講釈師を連想します。既読感が強く、半藤一利さんのたぶん主催した本とは思えない内容です。実はこの時代の日本とアジアという問題はそう簡単にはいかない気がしています。その辺りまでの言及があればもっと違った本になったと思うのですが。個人的には「轟く砲音、飛び来る弾丸……」「遼陽城頭夜は闌けて……」文部省唱歌に郷愁を抱ける人にとっては溜まらぬ1冊なのかもしれません。
読了日:10月29日 著者:半藤 一利
外邦図――帝国日本のアジア地図 (中公新書)外邦図――帝国日本のアジア地図 (中公新書)
地図というと、太平の世に生きる身としては安直に考えますが、世界の中では今でも国家機密になっている国は多いし、海外持ち出しも禁止という話も聞きます。日本もそうでした。国の基本図は旧陸軍の陸地測量部(現国土地理院)が作ったワケですが、帝国主義の時代。植民地や在外地域、シベリアや東南アジアまで地図を作って回ったんですね、日本は。方位磁石と歩測、まるで伊能忠敬ですな。航空写真の登場(今なら衛星写真ですな)あり、戦線拡大の急あり。いずれにしても地図1枚にも、日本という国のありようがうかがえるような1冊です。
読了日:10月27日 著者:小林 茂
フジモリ式建築入門 (ちくまプリマー新書 166)フジモリ式建築入門 (ちくまプリマー新書 166)
藤森照信先生は、難解な事象を簡単な事象にまで分解して説明してくれる人物のひとりです。この本では建築史という難解な話を絵解きしてくれるのかと思ったのですが、図版が少ない分、非常に難解になってしまった。××大聖堂とか、その例が脳裏に浮かぶ方にとっては、すこぶるわかりやすいのでしょうけど、門外漢には厳しい。文章のすすみ方はフジモリ節で楽しいのですけどね。新書で刊行するにしても、別の組み方があった気がします。
読了日:10月20日 著者:藤森 照信
日本の分水嶺 (ヤマケイ文庫)日本の分水嶺 (ヤマケイ文庫)
中央分水嶺っていうのは、日本列島の真ん中を南北に走るラインです。太平洋側と日本海側に、水がわかれていく線です。ブログでもこの話を書いていますけど、そのラインの点綴旅日記です。でも、点綴がかえって仇になっています。読み応えという点で物足りない。でも日本山岳会が創立100周年の記念事業でやった「中央分水嶺調査報告書」の方が面白いというのが、皮肉なものです。分量が違うといえばそれまでですが、テーマに対する基本的な姿勢の差があるような気がします。
読了日:10月20日 著者:堀 公俊
仏教漢語50話 (岩波新書)仏教漢語50話 (岩波新書)
1語4ページあての本です。「寺門興隆」というお寺向けの雑誌に連載されたものだそうで、原題は「漢字仏教徒然行脚」。我慢、玄関、睡眠、道楽、乞食、殺生、方便、我慢、因縁、世間、堪忍……。何げなくつかっている言葉には仏教にその由来を持つものがたくさんあります。そういう言葉を原典の経典に当たり、中国の漢詩文に当たり、日本での用例をさぐりと三国伝来の妙味を味わわせてくれます。典籍の話題にとどまらず、時事にまで話題が及ぶところかが軽妙。読み返してはやめを繰り返して読了まで3カ月かかりました。
読了日:10月15日 著者:興膳 宏
日本のコピーベスト500日本のコピーベスト500
精読するというより、パラパラとめくって眺める本です。日本の広告コピーの名作集ですから。俳句の「取り合わせ(二物衝突)」の妙技を繰り返し読むような感じ。と、同時に自分の歴史を振り返ることにもなります。若い読者には新鮮なものも多いことでしょう。お勧めです。組み版の体裁については異論があるとは思いますが、ベスト500です。よく精選したと思います。ちなみに1位は「おいしい生活」。と同時に、実はかつてマドラ出版が刊行した「片岡敏郎スモカ広告全集」を思い出しました。この才人の偉大さを改めて認識させられる1冊です。
読了日:10月11日 著者:安藤 隆,岡本 欣也,仲畑 貴志,前田 知巳,小野田 隆雄,佐々木 宏,山本 高史,児島 令子,一倉 宏,澤本 嘉光
男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望
久しぶりに全く手も足も出ない本に出会いました。なぜか。まず英文学の基礎知識がない。筆者が何を主題に論じようとしているのかが全く分からない。2番目に文体が難解。翻訳の諸賢も必死に日本語にしようとしているのですが、まったく生硬く、おまけにカタカナの用語が多く、つっかえつっかえでしか読めません。「ホモソーシャル」という概念を提唱した基礎文献ということで買ってみましたが、まったく歯が立たない。参りました。2次資料から内容を推量するだけで、撤退することにします。
読了日:10月11日 著者:イヴ・K. セジウィック
ゴルゴ13SPECIAL EDITION依頼人諜報のプロたち (SPコミックス)ゴルゴ13SPECIAL EDITION依頼人諜報のプロたち (SPコミックス)
1968年とかの作品も出てきます。今から43年前。ゴルゴ13も若い。でも黒沢明風に言えば、「ざっとゴルゴ六十郎になっちまった」というところでしょうかねえ。
読了日:10月11日 著者:さいとう たかを
ゴルゴ13SPECIAL EDITION依頼人世界の著名人 (SPコミックス)ゴルゴ13SPECIAL EDITION依頼人世界の著名人 (SPコミックス)
七屋士堂にこのシリーズの文庫があるとつい買ってしまいます。ただこの2冊は2009年の再版なのですが、初版扱い。よくわかりません。
読了日:10月11日 著者:さいとう たかを
ことばと文字と文章と―お言葉ですが…〈別巻4〉ことばと文字と文章と―お言葉ですが…〈別巻4〉
高島俊男先生の専門は中国文学だそうです。どうも国語に絡む問題になると理屈っぽくなって、天賦の伸びやかな論理展開がなくなってしまうのが残念。この本の中でも「いぎたない」の章が出色。それ以外の章はどうも天衣無縫な面白さに欠ける気がします。ところで1巻分だけ、週刊文春の連載が文庫化されていないのですけど、実現するのかな。
読了日:10月10日 著者:高島 俊男
青函連絡船ものがたり (朝日文庫)青函連絡船ものがたり (朝日文庫)
何度も読み返しているので、サクッと読めるのが楽。何で読み返すかといえば、洞爺丸台風の時の各連絡船の船長の判断がそれぞれに明暗を分けたのが実に劇的で示唆に富んでいるから。
読了日:10月10日 著者:坂本 幸四郎
男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望
ホモソーシャルって言葉を初めて知った。ちなみに定義もどきを引用すれば「ホモソーシャルとは同性愛嫌悪と女性嫌悪を基本的な特徴とする、男性同士の強い連帯関係のこと。それ自体同性愛的なものながら、異性愛者同士で閉鎖的な関係を築く」というもので、俗に体育会系と言われる人間関係や家父長制な社会を説明するには便利な概念のことです。米国で提唱された概念ですがアジアの社会でも蓋然性は高いみたい。中で赤木圭一郎&宍戸錠や、高倉健と鶴田浩二、中村錦之助、池部良と続く顔合わせの映画をこの視点で絵解きして見せるのは実に新鮮です。
読了日:10月10日 著者:

2011年10月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
posted by 曲月斎 at 00:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする