2008年05月25日

「椿三十郎」2007年版

「椿三十郎」


買わなきゃ良かったDVD。正月映画で大宣伝をしていた割にすーっと消えてしまったので見損なったと、買ったもののやはりスカでした。
リメークものの常なのでしょうが、どうしてもオリジナルを思い浮かべてしまいます。冒頭に出てくる角川春樹事務所から気に入らないのですけど、織田裕二という役者の腹の出来具合と三船敏郎という役者の野太さがどうにも天秤にすら乗らないのであります。

もちろん、このDVDを買ったのは、原作の山本周五郎の「日々平安」の椿三十郎像がすこぶる軽みを持った姿に描かれているので、こういう配役もありなのかな、と思ったのがすべての間違いでしたな。

というのは森田芳光監督、脚本はオリジナルのそのまま流用しています。つき直せばまだどうにか造形が出来たのかも知れないですが、オリジナルのままでは役者がそろわない分、無理ができます。

さらにどの役者もどうしてもオリジナルの台詞回しをまねようとしてしまう。その点で中村玉緒でも造形が陳腐になっているのが悲劇。オリジナルの伊藤雄之助と入江たか子が今までおもっていた以上に名優だったのだな、と思う次第。同じ値段を払うならオリジナルの方が格が違います。

あとラストシーン。あのサプライズを再現するのではなく、スローモーションで見せています。手の込んだことをしているのですけど、説明をしようとすればするほど、物が安っぽく見えてしまうという法則をご存じなかったようであります。

「椿三十郎」
追記
posted by 曲月斎 at 01:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀幕緞帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月07日

S町の草競馬

kusakeiba.jpg生まれて初めて草競馬というのを観ました。
草競馬というと、フォスターの名曲を思い出してしまうのですが、今の時代にそうそうどこでもやっていることではありません。
で、この日、草競馬が行われたのはM市の相良の浜辺。普段はサーファーや夏なら海水浴でにぎわう砂浜を、競走馬が疾走していました。

後ろの青い部分が特観席で500円也。ノミ馬券を売っているわけでもなく、完全なショーなのでありますが、疾走する迫力は中央競馬に劣るものではないです。1周500メートルと小回りの馬場。サラブレッドにはさぞなしんどいことでしょう。
posted by 曲月斎 at 23:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 街角辻辻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

茶の香り

bista.jpgこの界隈は茶摘みの季節であります。
茶畑の色が本当に鮮やかな緑に変わります。輝くばかりの緑色です。
見た目の美しさに加えて、大井川筋のような谷あいに行くと、茶の香りがします。
茶葉を刈る時の茶の香りに加えて、茶工場からの荒茶生産の時の香り。茶の葉というのは摘んだらばすぐその日のうちに茶工場に持ち込んで茶の原材料荒茶まで仕上げてしまわないと発酵してしまうのです。
だから谷あいにも茶工場は点々とあります。
そんな谷あいの香り、この界隈ならではのものでしょう。近鉄特急が走っていても例によってこれは大井川鉄道、であります。
posted by 曲月斎 at 23:17| Comment(1) | TrackBack(0) | 街角辻辻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「幻の大連」

「幻の大連」


大連といえば、戦前の南満州鉄道の起点であり、満州への入り口として殷賑を極めた町だ。そこに少女時代を送った作者の回想記である。

何冊か、この時代を振り返った本を読んだ記憶があるけれど、これほど多彩で展開の面白い本は記憶にない。
張作霖の爆殺、阿片王と言われた石本竭セ郎の逸話、男装の麗人川島芳子との邂逅、大杉栄らを惨殺した甘粕正彦などなど、歴史上の人物がごく身近な存在として登場してくる。どんなドラマよりも、何気ない片言双句に本人の息遣いを感じることがあるけれど、そういう感じだ。

そして繁栄した町も所詮は、植民地の町という砂上の楼閣であったという述懐。母親に「祖国あっての植民地ですよ」とたしなめられるこの少女は今年92歳だそうな。歴史の中に体験は消えていくのだろう。
posted by 曲月斎 at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「3種類の日本教」

「3種類の日本教」

「日本の10大宗教」でその解析ぶりに感心した筆者の本なので、ちょっと興味があった。
途中までは納得できる内容だったが、後半は少しダレてしまった。あまりに論理の展開がステレオタイプだったからだ。

感心した点。
日本人の職業や生活スタイルから「サラリーマン系」「自営業・自由業系」「公務員・教員系」に分けて考える見方は興味深い。確かに生活感や価値観などにその意思は反映されている。自分の親がどの系統に属するか、ということで、受ける影響は大きいのは容易に推量できる。そしてその子供も同じ道を歩むことが多いだろうことは、想定できる。

感心できなかった点。
その3パターンに当てはめるのに、慶大、早大、東大をそれぞれ対応させて、スクールカラーで色分けしてみせているのだけど、そんなに簡単なものではないし、立論の仕方がこの人の近著「慶應三田会」の余録みたいな感じではないか。

と言うわけで、周囲に当てはめてみると、確かに蓋然性の高い理論のような気がする。ただ、自身を振り返った時。俸給労働者ではあるけれど、タイムカードを押したことがない。さて何系に当てはまるのだろう?
posted by 曲月斎 at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 汗牛充棟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする